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おかしな転生プロジェクト  作者:
侯爵令嬢リオレッタ
7/12

5話 運命の出会い?

 二人とも落ち着いたところで、立ち話もなんだからと部屋に備え付けてある椅子に向かい合って座った。

 一悶着はあったものの、懐かしい級友と再会したことでリオレッタは大いに浮かれ、世間話でもするように話し始めた。


『でもさ、ヨッシーも死んじゃってこっちに来てるなんてびっくりだよー。どうして死んだの?』

『階段から落ちたんだ。マリオは?』

『トラックに轢かれた……ことになるのかな?』

『そっか。ついてないよなー、俺たち……』

『そーだね……』


 リオレッタはキラキラと共に深いため息を吐いた。

 由樹は頭も良かったし、そこそこの大学に入ったのだろう。惜しむ気持ちは強いはずだ。

 莉緒も大学に入ったばかりで、これからもっと楽しいことが起こると思っていた矢先だったのだから、ため息も吐きたくなると言うものだ。


『そういえば、この物語の結末ってどうなってんの?』

『いやー、それが……四話書いてとまってるんだよね』

『はあ!?』

『荒らしにあってから書く気なくしちゃって……』


 莉緒はデスメタル★コンチェルトを、とある小説投稿サイトに投稿していたのだ。

 物語にはとにかく爆薬や拳銃、機関銃を使い、馬車で銃撃戦を行う描写もあった。しかし時代設定は何故か中世ヨーロッパ風だった。

 その結果、この時代背景でこんなものが出てくるのはおかしすぎる。そんな感想が当然のようにj感想欄に書かれたので、「ファンタジーにリアリティを求められても困ります。頭固いですね」と思ったままを返してしまったのだ。

 感想ページはあっというまに炎上した。あっさり挫けた莉緒はそのまま書くのをやめてしまったのだった。


『荒れるほどつまらない小説だったんだな』

『失礼な! 面白いとか超うけるとか言われたし!』


 確かに言われた。但しその言葉、前者はお世辞で、後者には「ド下手くそで」という前置きが付いた。もちろんリオレッタはそのことを知る由もない。


『題名は何なの?』

『デスメタル★コンチェルト』

『何それ……。バトル物? コメディ?』

『純愛』


 それを聞いた途端キラキラの表情が険しくなる。恋愛物が嫌いなのだろうかとリオレッタは首を傾げた。


『……もしかしてBLじゃないだろうな』

『よくわかったね』


 そう、デスメタル★コンチェルトはBLだった。そしてキラキラとエドワードの恋物語だ。

 二人の出会いは物語の冒頭。騎士になったばかりのキラキラは、リオレッタの爆弾により傷を負ったエドワードと運命的な出会いを果たし、恋におちるのだ。


 それをそのまま伝えると、キラキラは机を叩く勢いで立ち上がり、猛然と怒り出した。


『何て気色悪い物を書くんだよ!』

『その言葉、全腐女子を敵に回すよ! この国にもいっぱいいるんだから!』

『知るか! おかげで俺はひどい目にあったんだぞ! あのパルピーとかいう奴、騙しやがって……!』


 リオレッタとしてはそのひどい目にあった内容を聞きたいが、余計怒らせそうな気がしたのでやめた。その代わりにパルピーの話を聞くことにした。あの調子がよさそうな少年が、頭の良い由樹をどう誘導したのか気になったのだ。


『騙された? なんて言われたの?』


 そう尋ねると、キラキラはうっと呻いて狼狽えた。そして居心地悪そうに椅子に座りなおし、ぼそぼそと喋り出した。


『…………モテモテになれるって』


 確かに原作でのキラキラはモテモテという設定だった。但し男に。


『モテモテになりたかったんだ?』


 リオレッタがニヤニヤして言うと、キラキラはさらに狼狽え赤面した。


『い、一度くらいそういう経験をしてみたかったんだよ……。でもさ、男はねーよ……。中にはストーカー染みた奴にもいたんだぜ? 死ぬまでこの状態が続くなんて拷問だ』


 さすがにストーカーと聞くと笑えない。それに話の後半からキラキラがあまりにも暗くなってしまったので、リオレッタは不安になってしまった。


『……自殺とか考えてないよね?』

『いや、さすがにそれはしないよ。それに自殺すれば地獄行きって前もって言われてるし』

『あたし、そんなの聞いてない』

『マリオは自殺とは無縁そうだもんな』

『……まあね!』


 若干馬鹿にされているような気がしないでもなかったが、ほめ言葉として受け取っておいた。

 確かに自殺なんて莉緒の時もリオレッタでも考えたこともない。だが自分で実行しなくとも、死はいずれやってくる。何より、リオレッタは最初に死ぬキャラクターなのだ。

 そんなことを考えていたら、リオレッタは急に怖くなってしまった。一度経験していたとしても、やはり死は恐ろしい。

 

『大丈夫か?』


 急に黙り込んで元気をなくしてしまったリオレッタを、キラキラが心配げに伺った。


(そうだ、キラキラって主人公じゃん!)


 主人公には主人公補正というものがつき物だ。きっとキラキラと助け合えば、早死にすることはないはず。

 彼の顔を見てふっと思い出したリオレッタは、元気を取り戻して笑顔で頷いた。


『うん、もちろん! ヨッシーもいることだし協力して二人で生き延びようね!』

『そうだな。……いや、でもさ、本当にそれだけでいいのかな?』

『え? だって生き延びろとしか言われなかったよ?』


 リオレッタには言われている意味が解らなかった。生き延びることのほかに、重要なことがあるのだろうか。


『こっちもそうだったけどさ、最終的には高潔とか清らかな魂になるために何かしなきゃいけないんだろ? 生き延びるだけでそうなるとは思えないんだけどな』

『つまり良いことをしろってこと? 人助けとか』

『かもしれない……』


 今までリオレッタとして生きてきて、そんなことは一度たりともしていなかった。言われずともやるべきことを汲み取れとでも言いたいのだろうか。しかしあの嫌味なデスならばありえる話だとリオレッタは苦々しく思った。


 その時、扉が大げさな音を立てて荒々しく開かれた。

 そして地を這うような低い声が侵入者の口から漏れる。 


「私の目を盗んで逢引とはいい度胸をしているな……!」


 顔を怒りの形相に歪めたエドワードだった。


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