吹雪
てんこもりだ
こんもりだ
道も電線も
屋根もベランダも
わからなくなった
オレンジ色のライトの
下を横に斜めに
吹いて舞う
文明開化の音がして
自然の前では人なんて
何にも開化してはいなくて
深みに足を突っ込みながら
一歩進むも必死になって
鉄の足はお手上げで
鉄の翼も巨大なオモチャで
狭い箱の中から
埋もれていく我が町を
呆けた顔で眺めている
私と、誰か
進んでいるのは時であって
人じゃないのだ
と
凍てついたもの
びっしりついた床屋の
看板から
電柱から
標識から
聞こえてきた