第一話
刹那side
「チッ!無駄に数だけは多いな」
確か、黄巾党だったか。いくら斬っても減っている気がしない。
「こっちは、ボロボロだってのによ……」
路銀は底をつくわ、まともに飯も食ってもねえし、今日は朝から賊と戦ってたし、最悪だ。なんでこんなところに転生したんだ?
「だが、お前ら全員を消すまで死ぬわけにはいかねぇな」
再び、地面を蹴って、賊どもを殲滅しに行った。
孫策side
「そろそろね……」
私達は、袁術の命で、黄巾党の討伐に来ていた。癪だけど、今は客将だから仕方ないけど。
「我々、孫呉独立に向けの第一歩だ」
「申し上げます!」
偵察隊が帰ってきた。何かしら?
「現在、賊が何者かと交戦中!」
「交戦中じゃと?袁術はありえぬし……何処かの義勇軍かの?」
「そっ、それが……」
「どうした?」
「賊と交戦しているのは、たった一騎です!」
面白そうね……
「報告では約二万のはずだぞ!」
「特徴は!?」
「青髪で、片手には、黒い剣を所持していまた」
「青髪に、黒い剣……まさか、蒼鬼か!」
蒼鬼……確か、青髪の賊狩りだったかしら。それに、青髪か……その子を思い出すわね。
「待て、雪蓮!」
「策殿!」
二人がなにか叫んでるけど、お構いなしに馬を走らせた。私の勘が、そこに行けって言っているのもの。
刹那side
「はああぁ!」
ザクッ!ザシュ!ドンッ!
湧いてくる賊どもを、なぎ払い、氣弾で吹っ飛ばす。これで大体二千程度を斬ったはず。
「蒼流四神技 朱雀!」
黒剣『斬冥』に氣を溜め、斬冥を振るう。そこから、氣で作った鳥を飛ばす。射程は広くはないものの、効果範囲は広いつまり――
「グフッ!」
「ぐえっ!
「ぎゃぁ!」
一発で多数の賊を斬ることができる。
「チッ!」
その代わり、朱雀は大量の氣を使うため、そう何度も連続で使えない。
「死ねえっ!」
後ろから、斬りに来るが――
グシュ!
「お前がな……行くぜ」
斬冥を振るいながら、左手に氣を集め、獣のような爪を作り出す。
「蒼流四神技 白虎!」
ドンッ!
蒼流四神技氣の技 白虎。それは、足の裏に氣の塊を造り、それを爆発させ、速度を上げる技。氣の量を変えれば、更に速くはなる。その代わり速くなるにつれて、体に負担がかかってくる。
「はあああぁぁ!」
斬冥で薙ぎ払い、左手の氣でできた爪で切り裂き、足に氣を集め、賊にぶつける。
「きりがねぇ……」
斬っても、斬っても、減っている気がしない。逆に増えている気がする。全く……ゲームじゃないんだからよ。
「死ねえっ!」
また、後ろからかよ。だが――
「お前が……!?」
「ぐふっ!」
俺が斬ろうとしたところを、桃色の髪の人が賊を斬り捨てた。その人は――
「雪蓮様……」
「あら?久しぶりね、刹那」
今や王となった、幼馴染みだった。
「よそ見してんじゃ――」
ザシュ!
「黙ってろ」
「余計なお世話だったかしら?」
「いえ、感謝します」
「無茶するわね、この数を一人でなんて」
「雪蓮様こそ、なんでここに?それに、隊も連れずに」
「だって、蒼鬼がいるって聞いたから、どんな子か見てみたかったのよ」
蒼鬼って……誰だ?勝手に変な名前付けたの。
「全く、あなたは一国の王なのですから、少しは自重してください」
少しは、自分の立場を理解していただきたい。
「もお、冥琳と同じ事言わないでよ」
冥琳殿も同じ事言ってたんだ。相変わらず、冥琳殿も苦労してんだな。
「囲まれた」
「でも、殲滅するまでよ。私の背中、あなたに預けるわ」
「御意」
同時に飛び出し、再開した。
「はあぁ!」
「せいっ!」
グシュ!ザシュ!ザンッ!ズブッ!
「ぐふっ!」
「ぐはっ!」
「ぐえっ!」
大体五千ぐらいを討伐した。雪蓮様が来てから、格段にペースが上がった。それに、何故か息が合う。共闘したのは今日が初めてなのに。
「そろそろ潮時ね、引きましょう」
それと同時に、上から火矢の雨が降り出した。
「はい」
すぐさま、その場を引いた。炎はすぐに燃え広がり、賊を焼き払っていった。俺も潮時だな。ここは雪蓮様に任せて、次のところに行くか。
ガシッ!
「………………」
雪蓮様と別の方向に行こうとしたとき、腕を掴まれた。恐る恐る振り向いてみれば――
「ふふふ……」
不気味な笑みを見せる雪蓮様だった。この笑みを見せる時は、大体(俺にとって)良くないことが起きる前触れだ。何故か?勘だよ。
「あら、何処に行こうとしているのかしら刹那?」
「そっ、それは……つっ、次の賊を叩こうかと……」
「それなら、私たちと一緒にやらないかしら。積もる話もあるし」
やべえ、完全に無断で旅に出た事怒ってる……
「わっ、わかりました。行きましょう」
「そう来なくちゃ♪さあ、行きましょう」
そう言って、掴んでいた俺の腕に抱きついて――って!
「あの……雪蓮様?」
「なに?」
「俺は逃げませんから、その離してくださいませんか?」
「嫌よ」
即答っ!?
「もしかして、無断で旅に出た事を怒っているのですか?」
「怒ってないわよ♪」
嘘だぁぁ!!笑顔だけど、目が笑ってねぇ。とりあえず離してはくれないようで、仕方なくその状態で戻る事になった。うわー、嫌だ。




