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半神の少女と竜族の王子。

アーサ様の初恋を見守る会。

作者: 池中織奈

※お願いですから、私に酷い事しないでくださいの続編。

 竜族の国、ウエストレア。

 人口は人族の国に比べて断然少ないが、強力な武力を持っている列国である。自然が豊かなのもその国の特徴だ。

 竜族は竜の姿にも、人の姿にもなれる一族である。元々戦いが好きな人柄のものが多く、ウエストレアでは国民の戦いたいという欲望の元に月に一度武道大会なるものが行われる。

 その日、竜族の王族であるアーサは半神である少女、ルーナと共に武道大会を見に来ていた。

 基本的に神界で暮らしているルーナだが、よくアーサのいるこの国に遊びに来るのだ。

 「アーサ、今日は誰が勝つかな?」

 艶のある黒髪に、金色に輝く瞳を持つ少女、ルーナは特別席に護衛の騎士も伴って座っているアーサににこやかに話しかけた。ルーナの横に腰かけている血のように赤い髪に、漆黒の瞳を持つアーサが、答える。

 「一番有力なのは兄上かな」

 「サリエルさんも出るんだ」

 「うん。兄上も時々暴れたくなるらしいから」

 「アーサは15歳になってからは出るの?」

 武道会は15歳以上の竜族しか出場できないようになっている。人族より寿命の長い竜族は、成体まで一気に成長してその後は死が近づくまで寿命が止まるようになっている。アーサはまだ竜族として子供で、見た目も中身も人間の子供と変わらない。

 それは半神であるルーナも一緒である。

 「ルーナが応援してくれるなら」

 「うん。もちろん、アーサが出るなら応援に来るよ」

 にっこりとほほ笑むルーナに、アーサも嬉しそうに笑っている。

 そんな二人を見つめている沢山の人影が居る。護衛として存在している一歩下がった場所に立っている竜族の面々でさえじっと見据えている。

 武道大会はまだ始まっていない。今、注目されているのはルーナとアーサであった。








 「アーサ様、笑っているわね!」

 「ルーナちゃんが居ると王子の笑顔が二割増し輝いている気がするわ」

 「早く付き合ってほしいわね」

 観客席に座る観客達も注目しているのは例外ではない。この国、ウエストレアでは勢力を持っている一つの団体がある。

 それこそ、『アーサ様の初恋を見守る会』なんてふざけた名前を掲げている会だ。この会には、アーサの両親である王や王妃、王宮に勤める官僚達、騎士のメンバー、傭兵、商人など様々だ。

 会に入っている面々が凄いことになっているこの会では、文字通りアーサの初恋を見守るだけの会である。寿命の長い竜族にとってアーサの初恋を見ているのはほほえましくも楽しい事らしいのだ。

 ルーナとアーサの情報は驚くべき速さで、会員中に渡るほどである。まだルーナは9歳、アーサは11歳。まだまだ子供の二人が付き合う事を会員達は願っている。

 アーサを知る大人からすればアーサは可愛い弟のようなものなのだ。

 「ああ、アーサ様がルーナちゃんの頭なでてる!!」

 「何だかほのぼのするなぁ」

 「いけ、王子。行くんだ!!」

 本人達には聞こえないように囁かれる沢山の声。そんな中で、武道大会は始まっていく。

 







 

 「わー、強そうな人だね。アーサ」

 「そうだね。あっちが王宮騎士の新人で、向こうのが傭兵団グイーリの奴だね」

 「騎士さんと傭兵かぁ。それにしても皆凄いよね。私姉様とかみたいに神力も使えないし、剣とかも使えないもんなぁ…」

 「大丈夫。ルーナは使えなくても周りが守ってくれるから。俺もルーナの事守るから」

 「ふふ、アーサが強くなるの楽しみにしてるね」

 アーサの言葉に、ルーナは笑う。

 とはいってもアーサの恋愛感情にまだ9歳のルーナはもちろん気付いていない。

 「ま、その前にルド様達に認めてもらわなきゃだけど」

 「ん? アーサなんか言った?」

 「いや、何でもない」

 守るなんて言ってもきっと、最高神であるルド様とかシスコンであるサラ様とかその他の面々から認められない限り二人っきりに何てきっとしてくれないだろうと考えてアーサの気分は少し沈んだ。

 (……最高神とかに認められるとか、俺できるかな。あー、でもやんなきゃなぁ…)

 何分、ルーナは神々に溺愛されている。その大勢に認められない限り二人っきりとか無理である。

 (頑張ろう)

 決意を胸にアーサはルーナの方を見る。

 ルーナはその金色の目を輝かせて面白そうに武道大会を見ている。自身が戦う術を持たないためにこういうのを見ると尊敬というか、そういう思いがわくらしいのだ。

 「ルーナ、俺絶対強くなる。だから見てて」

 「うん。頑張って」

 武道大会を見学しながら、二人のそんな会話が繰り広げられる。

 後ろで護衛として存在している護衛の面々は、

 (アーサ様、頑張ってください)

 と心の中でエールを送っていた。護衛の騎士たちはほとんど『アーサ様の初恋を見守る会』の会員なのであった。

 「あの人騎士団長の人だよね。強いね」

 「あいつはこの国の中でもトップクラスだからね」

 周りに見守られながらも、アーサとルーナの観戦は続く。




 ――――アーサ様の初恋を見守る会。

 (そんなものがあるだなんて、ルーナとアーサは全く知らない)




ほのぼのを目指して書いたが、ちゃんとほのぼのしてますかね?


とりあえず竜族の国に居るルーナとアーサです。

はい、『アーサ様の初恋を見守る会』なんて会があり、この国内で大きな勢力となっているというか、権力者がかなり入ってます(笑)


大人達から見ればアーサの初恋はほほえましいので、何か皆応援してます。

短いです。感想もらえれば喜びます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 戦う事が好き。 でもコイバナも好き♪ 恋愛も戦いです。 成長して恋敵が出てきたら ...皆さんじれじれするんでしょうねぇ ... この幼カップルだと特に。 アレです、子供の頃から始まって大人…
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