第32話 四音の死
昨日誕生日でした。
気が付くと周りは地獄だった。
さっきの爆発の火が至る所に燃え移り、その炎によって父と母だった死体は焼かれている。
俺の右半身も爆発の衝撃で感覚がなく、左腕からは白い何かが覗いている。
左腕の激痛で意識が朦朧とする中、俺は必死に妹を探した。
妹はすぐに見つかったが見知らぬ二人の男が妹の前に立っている。
片方の男が何かを呟くと周りの炎が男の右手に集まって長大な槍になった。
男は投球の要領で槍を妹に突き刺した。
目の前に真っ赤な景色が広がる。
男達が驚愕の表情で俺を見ている。
―考える前に体が動いていた―
目線を下ろせばさっきの槍が俺の胸に突き刺さり、流れ出た血は槍の熱で蒸発している。
―肉の焦げる臭いがする―
視界が揺れ背中に衝撃がくるが頭は何かに支えられていた。
―チセの香り、心が落ち着く―
チセが俺の顔を覗き込んでくる。
―安心した、俺はチセを守れたんだ―
チセが泣きながら俺を抱き締める。
―はやく逃げろ―
チセは俺の名前を叫んでる。
俺もそれに答えるが、声が出ない。
―チセ―
視界が暗くなり、意識が遠のく。
今までのことが頭の中に駆け巡る。
―幸せだった―
そして痛みがなくなり意識がなくなり、俺は妹を守って
――死んだ。
登場人物紹介
カグツチ
日本神話の中でイザナギとイザナミの間に生まれた火を司る神。火の神であるが故に、出産の時にイザナミを焼き殺している。四音と一緒に研究所に囚われていたが、トミマツの傀儡化の研究に失敗してカグツチが暴走したのことが四音の脱出の切っ掛けになった。そのとき囚人側の総力を挙げて打ち倒し四音が喰らった。四音に喰らわれてからは他の意識から四音の意識を守るっている。また、カグツチの存在は強すぎるのでいつも少し漏れ出していて、その結果四音の身体は不死身になっている。
スライ
世界最速の生物である人狼。何人かの人狼と四音と一緒に研究所に囚われていた。脱出時には四音がドラゴンの解放に向かう間の殿を務め他の囚人を助けた。四音がドラゴンを連れてきたときには既に絶命していたが、その巨躯を活かして前線に仁王立ちして仲間を凶弾から守っていた。死亡後は四音に喰らわれカグツチと同じように四音の意識を守っている。四音が変化する機会が最も多い存在でもある。
ローグ
神と対等に戦うことが出来る地上最強の生物である大翼竜。年老いて力が衰えていた時に捕まり四音と同じ研究所に囚われていた。衰えていたとはいえ最強の生物だったので、研究所の地下に厳重に封印されていた。そのことを知っていたスライの助言で四音の能力で封印を壊すことに成功し脱出戦に大きく貢献した。また、その後の暴走したカグツチとの戦いではその命と引き換えに四音がカグツチに致命傷を与え、四音がカグツチを喰らう隙を作った。四音に喰らわれた後はカグツチやスライと一緒に四音の意識を守っている。
美空と美羽
四音と同じ研究所に囚われ研究されていた覚醒者の兄弟。姉の美空は性質付与の能力を持ち、苦痛の日々を過ごしているにもかかわらず元気で明るく、周りの囚人を励ましていた。弟の美羽は物質精製の能力を持ち、姉の美空とは正反対の性格で暗く人見知りが激しかった。しかし、同じ人間の四音には心を許していて何かと気を使っていた。2人はスライが死んだあと、スライに代わって最前線で戦いカグツチにも挑んだが、圧倒的な力の前に敗北し絶命した。死後は四音に喰らわれたが、存在が強くないために自我を保つのに精一杯で四音の意識を守ることは出来ていない。その代り四音が意識をカグツチに預けて休む時は話し相手になっている。
今のところはこんな感じです。新しいのが出てきたらその都度更新します。次回は猛の紹介です。




