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知る者、知らない者  作者: 螺旋の凡人
~第2章~
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第31話 戦士の休息

主要メンバーが登場しきったので、ここら辺で人物紹介を入れていきたいと思っています。

俺はトミマツの存在が完全に消えたのを確認すると炎を消し、刀を納めた。どうやらさっきの攻撃で覚醒者アウェイクンの能力を封じる装置も破壊したようだ。体に力が戻ってくる。


とりあえず皆の安否を確認するために意識を自分の内側に向ける。


『死ねぇ!』


『ブッ殺してやる!』


『助けて!』


『うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!』


皆元気なようだ。これらの声は俺が今までに喰らってきた存在の意識だ。まるで濁流のような勢いで俺の意識を飲み込もうと迫ってくる。


少し憂鬱な気分になって沈んでいるところに、周りより落ち着いた気配が近づいてくる。カグツチだ。


『無事であったか?』


「俺がそう簡単にやられると思うのか?」


『ハハ、そうであったな。まあ大事無いようで安心した』


カグツチはそれだけ言うと再び意識の海の中へ戻っていった。カグツチは身を挺して周りから俺の意識を守ってくれている。カグツチの他にも俺が普段から多用している人狼や竜など俺に対して好意的且つこの濁流の中で自分の意識を保っていられるほどの強い存在の者たちも俺のことを守ってくれている。


俺は意識を浮上させ現実の世界へと戻ってくる。気が付くと目の前に心配そうに俺の顔を覗き込んでいるルイとルカがいた。


「よう、お疲れさん。とりあえずこれでルカの目的は達成したわけだ。だから、次は俺の目的を手伝ってもらう」


「目的ってさっきの野郎を殺すことじゃなかったのかよ?」


「それは目的の1つだ。本来の目的はお前と同じように捕われた俺の家族を助けることだ」


「任せてちょうだぁい。で、私たちは何をすればいいのかしらぁ?」


ルイの緊張感のない間延びした声がやたらと大きく頭に響く。そろそろ限界かな。


「じゃあ、1回俺から離れてくれるか?そうだな、壁くらいまで下がってくれ」


言われたとおりに壁まで下がるルイとルカ。こうやって見ると顔はそっくりだな。ルイの方が若干垂れ目でルカが吊り目ぐらいか。まあいい。始めよう。


俺は大きく息を吸い込むと、竜の手助けを借りながら世界の果てまで届くような方向を上げた。


「ミィィィィィッッッチィィィィィィィィィ!!!!!!!!」


ドーーーーーーーーーーーン!!!!!


すると、それに応えるかのように天から極大の雷が俺目掛けて振って来た。


「私はミッチーではなああああい!!!」


黒焦げになった体を一瞬で再生させてルイとルカのところまで移動する。俺がさっきまでいたところには雷が貫通して大きな穴が開いていた。ルイとルカは目を見開いてその穴と俺とを交互に見ている。


「とりあえずその穴を下ってミッチーって奴を探してくれ。水引四音の使いだっていえば適当に指示をくれるからそれに従ってくれ。俺は疲れたからここで休んでる」


それだけ言って直ぐに眠ろうとしたとき、ルイが驚愕の声を上げた。


「水引四音ってぇ、まさかぁ、あなたぁプレデターシオン?」


ルイは先ほどよりも驚いた様子で俺の方を見る。


欧州そっちじゃそんな風に呼ばれてんだっけ?個人的にその呼ばれ方はあんまり好きじゃねぇんだよな」


「ルイ、プレデターシオンって何だ?」


どうやらルカは俺のことを知らないらしい。別にどうでもいいが、ヴァルキリーな把握しとけよ。


「ルカちゃんもヴァルキリーの奇跡は知ってるでしょぅ?人間攫われたヴァルキリーが無傷で帰還してっていう話よぉ」


「ああ、それなら知ってる」


「その奇跡の立役者が水引四音という人物でぇ、その能力からプレデターシオンって呼ばれてるのよぉ」


今度はルカが驚いている。


「じゃあ、こいつがそうだっていうのか!?」


「そういうことねぇ」


「どうでもいいが、早く行ってくれないか?俺だって暇じゃねんだから」


「そうねぇ。詳しいことは後で聞かせてもらえるかしらぁ?」


「ああ、分かった」


終わったらさっさと帰って寝るんだ。今日は疲れた。


「じゃあルカちゃん、行きましょうかぁ」


「ちょ、ルイ、待てよ!」


俺は薄れていく意識の淵で2人が穴の中に飛び込むのを確認した。


改めて自分の状態を確認する。体に外傷はないが、服が血が付いたりとボロボロだ。破けたところから胸の傷が覗いてる。久しぶりに無理をした戦闘だったから頭がボーとしてきた。このままじゃ意識を保っていられない。


『我らはもう大丈夫だ。そろそろ休んでよいぞ』


「じゃあお言葉に甘えて……」


俺はカグツチに全てを任せて意識を手放した。


+Sideカグツチ


『この感覚も久しいな』


四音もいくら強い能力を持っていたとしても所詮は人間。身の内にある意識の濁流に飲まれぬよう常に気を張っていては精神が崩壊してしまう。こうして時々意識を手放し息抜きをさせている。


その時、他の意識に乗っ取られぬよう我が四音の身体を守っているのだが、それがまた辛い。何せ濁流の中には人や人外、成り上がりなどがおるし、中には生き物ですらないものの意識が混在していて、御するのが難しい。


純粋な神である我ですら何とか踏みとどまるのがやっとだというのに、四音はこの状態で日常を送り、あまつさえ闘っている。尋常ならざる精神力だ。


まあ四音に救われた恩義のためなら、この程度の苦痛耐え抜いて見せるがな。


だから――


『今はゆっくり休め。世界を喰らいし英雄よ』


人物紹介

水引四音ミナグイシオン

本作の主人公。両親と双子の妹であるチセの4人家族の家庭だが、本人は年の離れた兄がいると言っている。四音のトレードマークともいうべきパーカーはその兄から貰った。

中1のときに覚醒者としてのチセの能力を知った宗教関係者に襲われ肉親を殺される。このとき四音もチセを助けるために死んでいるが、皮肉にもチセの能力で蘇る。この事件を切っ掛けに四音も覚醒者に成った。

その後一時はトミマツに捕まっていたが、脱出した後に道化師と名乗り覚醒者を違法に研究している研究者を殺しながら、2年後に日本に戻る。そのときにしばらくミッチーに世話になった。

覚醒者――捕食者プレデター――想い:愛憎、対象:妹

左腕から出る光の粒子に触れたものの存在を喰らう。

食事の延長のような能力で喰らった存在を自分のものにできる。さらに粒子は右腕で広範囲に拡散することが出来る。覚醒した当初は、触れたものを全て喰らうことしかできなかったが、今ではある程度取捨選択できるようになり、応用が効くようになった。

次回は四音に喰われた存在を紹介します。

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