表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
知る者、知らない者  作者: 螺旋の凡人
~第2章~
29/38

第29話 目的

それ以降、トミマツに対して縦に斬ってみたり八等分に輪切りにしてみたり、ルカが能力を使って頭や心臓を消滅させても死なない。こりゃ参ったね。ホントに不死身にでもなっちまったかな。


変化メタモルフォーゼ独奏ソロ人狼ワーウルフ


再生する間もないほどの速さで細切れにする。無駄だと分かっちゃいるが認められない。いくら科学者って言ったってただの人間が不死身なれるわけがない。


いい感じに人間のサイコロステーキが出来上がったが、そいつらはさっきまでと同じように一か所に集まって再生を始める。だが、俺も馬鹿じゃない。何度も同じ攻撃しかしないと思うなよ。


「変化、独奏、ドラゴン


奴が再生しきる前にドラゴンに変化する。そして口に魔力を溜めてブレスを吐く。


着地点で爆発が起こる。殺ったか?


爆炎が晴れるのを待ちながら変化を解いておく。煙が晴れたところに現れたのは焼き尽くされたトミマツの死体ではなく予想外の人物だった。


そいつは女だった。モデルのようにスラリとした身長だが、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでいて、腰まである銀髪が眩しい。少し露出の多い鎧のようなものを身に着け、肩に巨大な大槌を担いでいる。


外見の特徴から判断すればこいつが……


「ルイ姉ちゃん!!」


やっぱりこいつがルカの姉のルイか。ルカから聞いてた通りかなり良い体してんな。それに比べて……


「てめぇ!ブッ殺すぞ!」


「グハッ!」


まったく、口より先に手が出るあたりとか……


「もう一発くらうか?」


「遠慮しときます」


仮にも半神の拳は俺にも重すぎる。そう何発もくらいたいモンじゃない。


「それよりあいつがお前のお姉ちゃんで間違いないな?」


「ああ、あれは間違いなくルイだ。で、どうやって助けるんだ?」


「あいつがルイなら早いとこ傀儡化ドールを解いて……」


だが俺の言葉はルイが振るった大槌によって阻まれた。咄嗟に小太刀を抜いてその一撃を防いだがそれは間違いだった。


ルイの大槌は小太刀の防御を容易く破壊した。何とかのけ反って直撃は避けたがヴァルキリーの能力を使われて頭の一部を破壊された。一瞬意識がブラックアウトするがすぐに再生しバックステップでルイから距離を取る。


目を向ければさっきまで俺が立っていたところに大きなクレーターが出来ていた。おいおいなんて怪力だ。ドラゴン並じゃねぇか。


「おいルカ!どうなってやがる!何だあの怪力は!」


「ルイは怪力自慢なんだ。前なんか一撃で山を半分消し飛ばしてた」


何て化けモンだ。こりゃヴァルキリーを相手にしてるって思わない方がいいな。それに目を見る限り傀儡化がかなり進行してるな。


俺はそれを確認すると、指を鳴らして “とある性質”を付与した小太刀を創り出した。そのあとルイの馬鹿力に対抗するため速度の人狼ワーウルフに変化しようとしたができなかった。何故だ?


「ククク、能力が使えなくて困ってるようだね。いいよ。教えてあげよう。今この部屋には覚醒者アウェイクンの能力を封じる特殊な場が形成されているんだ。しかもこれのいいところは君の変化のような二次的な能力も封じることができるんだ」


トミマツの言葉で納得がいった。人狼に変化できなかったのは痛かったが小太刀が間に合っただけでも良しとしよう。こいつは昔から覚醒者や人外の能力を封じる研究をしていたからな。むしろ今ならこれくらいのこと出来て当たり前だ。だが、それで逆に新しい疑問が出来ちまった。


「今のお前の目的は?」


「何?」


「お前が今人外を捕獲して研究していることの目的は何だ?昔の研究は成功しこうして結果も出た。今回はそれも使っているんだろう?そうまでして研究するお前の目的を聞いている」


「……クククク、クハハハハ!!!」


俺の質問を聞いてトミマツの様子が変わった。


「クククッそれを聞くのかい?それを聞いてしまうのかい?」


俺はトミマツ突然の変化に得も言われぬ恐怖を感じた。そして再認識した。こいつは壊れてる。


「AC159番、私はね神に成るんだ」


“成りたい”という願望ではなく“成る”という断言か。だが、方法が気になるな。どうやって人間が神に成るか。


「ほう。だけどどうやって神に成るんだ?」


こいつは自分の研究のことに関する質問には気を良くして何でも答えてくれる。チャキチャキ吐いてもらおうかね。


「クク、気になるかい?気になるのかい?いいよ。特別に教えてあげよう」


トミマツは自慢げに教鞭をとり始めた。


「実はまだ神に成る方法自体は分からないんだ。だけど、それを発見する方法を発見したんだ」


ほう。いきなりの爆弾発言だな。どうやら講義はまだ続けてくれるようだ。


「こういう言葉を知っているかい?“失敗は成功のもと”だから私は神の失敗作である神話の中の神を研究しているんだ。そのために神を捕獲する方法を創り出した。これからやっと本気で研究ができる」


「ちょっと待て。神話の中の神が失敗ってどういうことだ?」


今まで空気になっていたルカが急に話に入ってきた。まあこいつは仮にもヴァルキリーだからな。自分が使える神が失敗だなんて言われたら黙っちゃいらんねぇか。


「簡単なことだ。自分たちに当てはめて考えればいいんだ。君たちだって何かに失敗してゴミが出たら捨てるだろ?それと同じように神は自分が入るための入れ物を作っていたんだ。そのときに失敗して出たゴミが今この世界で神と崇められてるものだ。私はその失敗を研究することで成功を掴み取ろうとしているのだよ」


なるほど。ただの人間が随分と大それたことを望んだモンだな。


コメントが欲しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ