第24話 一時の幸せ
書き方を変えてみました。読みにくでしょうか?
「じゃあ新たなる家族薫の歓迎とミッチーと成海さんの婚約を祝してかんぱーい!」
「「「「「「かんぱーい!!!」」」」」」」
みんながお互いにグラスを当てて、部屋にキンキンという音が響く。
「ミッチー、ここにいるのが俺の家族だ。さっきも紹介したがこいつは氷澄雪奈、俺の幼馴染で俺がミッチーに会う前からの知り合いだ」
雪奈は大皿に乗ったオムライスを抱えて食べながらスプーンを振っている。ったく、口の周りがケチャップだらけじゃねぇか。俺が布巾でそれを拭いてやるとありがとう、と笑顔で言ってきた。
「で、あっちにいるラブラブのカップルが的井猛と化灰薫、知り合ったのは去年だが今ではこいつらがいないなんて考えられないな」
握手をした瞬間、猛の表情が一瞬だけ強張った。
「うむ。君は照玄君の息子か。噂には聞いていたが、こんなところで会えるとは思っていなかったよ」
「親父のことを?」
「まあね。何度か一緒に仕事をしたこともある」
「どなたですか?」
「ん?まあ仕事の関係者さ。機会があれば成海にも紹介しよう」
成海さんは先生が持参した酒を飲んで少し顔が赤くなっている。ちなみに先生はウチに来るときにはすでに出来上がっていた。
「最後にこの人が俺たちが所属する天ノ上高校剣道部の顧問の亜久間晴美先生だ。先生の親父さんはここら辺を取り仕切る亜久間組の大親分なんだ」
すると先生が真っ赤にした顔をミッチーに近づけてきた。先生はすでに一人でボトルを五本も空けている。すべて一升瓶でだ。
「四音から聞いてはいたが、この目で見るのとはやっぱり違うねぇ。なんかこうオーラみたいなモンを感じるよ。まあそれは猛の専門だがね」
それだけ言うと先生はまた手に持った酒を煽り始めた。
「君に負けず劣らずの個性的な家族だな。だが不思議と不快感はないな。逆に心地いいくらいだ。君が家族と認めるのも頷ける」
ミッチーは先生が持ってきた酒を飲みながら、俺の料理を食いつつ、成海さんとも話している。こいつが飲んでるとまさにお神酒だな。
「そうだろう。やっと手に入れた安息の地だよ。ミッチーたちがこれから作ろうとしているモンさ」
それを聞いたミッチーの顔に影が差すのを俺は見逃さなかった。俺が声を掛けようとすると、成海さんに阻まれてしまった。
「あの、さっき道真から四音さんが日本に帰ってきた、と聞きました。四音さんは帰国子女ということなんでしょうか?」
「少し違いますけどそんな感じです。それとさん付けはやめて下さい。成海さんの方が年上なんですから」
「それって私がおばさんって言いたいんですか?レディに年齢の話は厳禁ですよ」
成海さんが子供のように頬を膨らませて講義してきた。酒が入っていい感じに調子が出てきたようだ。
「いえ、そんなつもりは……成海さんはとても綺麗ですよ。ホントにミッチーには勿体無いくらいだ」
「ふふ、ありがとう。ところで良かったら外国にいた頃の話を聞かせてくれませんか?私将来の夢が世界をのんびり旅行することなの。もちろん彼と一緒にね」
成海さんはこれ見よがしにミッチーと腕を組むのを見せ付けてくる。リア充爆発しろ!
「構いませんよ」
「やった!何処に行ってたのかしら?やっぱりアメリカ?」
「いえ、もともと俺は日本出身ですよ。それで中学に上がってすぐに家の事情でヨーロッパにそれから南米、その後北米に行って中国経由で日本に帰ってきたのは中学の終わりですね。そこから猛勉強して高校入学して今に至ります。まあそのときの反動で今はまったく勉強していませんが」
「なかなかな世界旅行ね。家の事情ってご両親の仕事か何かかしら?」
「あっいえ、そうじゃないです。両親と妹は旅先の事故で死にました。それで日本に帰ってきたんです。親戚も見つからない俺をミッチーがしばらく育ててくれたんです」
「そう…だったの。ごめんなさい。無神経なこと聞いて」
「いいですよ。昔のことですから。それに今はこんなに素晴らしい家族に囲まれていますから、毎日が楽しくてしょうがないですよ。今日はそんな家族が二人も増えた喜ばしい日です。湿っぽい話はここまでにして楽しみましょう」
そう言って俺は次の料理を食べようとしていた雪奈の肩を組んでさっきのお返しをした。雪奈は何の抵抗もせず、俺の腕の中で小さく微笑んでいた。
「二人?」
成海さんは頭を可愛く傾げた。
「委員長と成海さんです」
「私も?」
「そうです。俺の家族であるミッチーの家族なら俺の家族です」
「ふふ、ありがとう。そうね、今夜は楽しみましょう!」
こうして宴の夜は更けていき、最終的に先生は十本、ミッチーは五本、成海さんは七本の一升瓶を空にした。酒豪だ。ちなみに俺と猛も便乗して飲もうとしたら委員長に木刀で殴られて怒られた。
お酒は二十歳になってから!!
+
「ナルミさんベッドに寝かせてきたよー」
「お疲れー」
薫の歓迎とミッチーたちの婚約を祝うパーティーも終わり、俺たちは今会場にもなった居間にいる。今にいるのは俺と成海さんを寝かせてきた雪奈、眠そうな薫、その薫に肩を貸してる猛、いまだに酒を煽ってる先生、そして俺たちに囲まれるようにソファに座っているミッチーだ。
「で、今日はいったいどんな目的でウチに来たんだ?成海さんには聞かれたくなさそうだったから、今まで黙ってたけどもういいだろ」
俺はミッチーの顔を正面から見据えた。
「どんなもなにも私たちの婚約の報告だよ。君は私の家族だからね」
「ふざけたこと言ってると家から叩き出すぞ」
さっきとは違い言葉に少しの怒気を含ませる。
「分かったよ。まったく相変わらずだな。君には敵わないよ」
「最初から話してりゃいいんだ。で、どういうことなんだよ」
「その前に君以外の人に改めて自己紹介をしようと思うんだがいいか?そのほうが説明も楽だろう?」
「そうだな」
するとミッチーは居住まいを正した。
「私の名前は菅原道真、成り上がりではあるが、“雷神”とも呼ばれる日本の神の一柱だ」
ミッチー――道真は両手の間に小さな雷を生ませた。でも誰も何の反応も示さない。薫なんかもう半分寝てる。逆に誰も驚かないことに道真が驚いている。
「言ったろ。ここにいるのは皆俺に家族だって。そんくらいじゃ驚かねぇよ」
「しかし無反応って、さすがに傷つくぞ」
「ねぇシオン、成り上がりって?」
「ん?成り上がりってのはな。カグツチみてぇに根っからの神じゃなくて、元々神じゃなかった奴が死後に神格化されて神に成った奴のことだ」
「へぇー」
「まあ神には違いないがランクとしてはかなり下だな」
「酷い言われようだな」
道真が肩を落としてる。
「まあどうでもいいことだ。それより今回私がここを訪れたのは四音君、君に頼み事があるからなんだ」
「頼み事?厄介事の間違いだろ」
「そういうな。頼み事というのはほかでもない。しばらく鳴海を預かっていてほしいんだ」
「それはまたどうしてだ?お前たちは婚約したんだろ?」
道真の顔が一転して真面目なものに変わる。それに合わせて場の雰囲気も一転した。
「今、日本にどんなことが起きているか、知っているか?」
「ん?ああ、そういうことか。まあこれでもカグツチを喰らってるからな。薄々感じてはいたが……これに関しては猛の方が専門だろう」
「どういうことだ?」
先生が身を乗り出してきた。ヤバい。前かがみになったから、肌蹴て露になった胸元が目に入った。酒が入ってるから肌に赤みが差しててかなりエロい。
「えーと、日本にいる精霊やら妖怪やらが姿を消しているんです。大方、人外の研究者が研究のために乱獲でもしてるんでしょ」
「その通りだ。それで私にその調査と解決の命が下った」
その言葉に少し驚く。
「お前に?いったい誰から?」
「……イザナギ様だ」
さすがにこれには驚いた。日本神話の最高神か。それは大分上からの事例だな。いくら成り上がりだって断ることは出来ないな。
「なるほど、分かった。そういうことなら仕方ない。安心しろ。成海さんのことは俺たちが責任を持って預かる。でも早くしろよ。でないと彼女お前から鞍替えしちまうかもしれないからな」
「フッそれはないさ。私たちは愛し合ってるいるからな」
「言うねぇ。すぐ行くんだろ?成海さんには適当に誤魔化しとくからさっさと帰って来い」
「行ってくる。成海を頼むぞ」
それだけ言うとすでにそこには道真の姿はなかった。皆の方を向けば唖然としてる。委員長だけは完全に寝てるけど……
「そんな安請け合いしていいのかよ?もし道真様まで帰ってこなくなったら、成海さんにはなんて言うつもりだ?」
「まあ、そん時のことはそん時に考えればいいさ。もう遅いからな、今日はこの辺でお開きにしよう。猛は委員長を家まで送ってくれ。俺は先生に付き添うから。雪奈はどうする?このまま泊まっていくか?」
「うーん、そうだね。シオンとナルミさんだけを一つ屋根の下に置いておけないよ。シオンのことはボクが責任を持って管理します!」
誰に対する宣言かは知らないが、敬礼までしてるから本気なんだろう。
「じゃあそんな感じで、ほら先生帰りますよ。自分の足で歩いてください」
「なんだ!雪奈は泊まって良いのに私は駄目なのか!私の何処に不満があるんだ!さっきも私の胸をあれだけ視姦してたってのに!」
気付かれてた!
「なんなら今夜一緒に寝るか?」
ゴクリ
先生の体を見て思わず生唾を飲んだ。
「ちょっとシオン!」
突然横から衝撃が来る。見れば雪奈が拳を硬く握り締めていた。
グーかよ……
「ハハハッそんな怒るなよ、雪奈。四音だって盛んなお年頃なんだ」
この後結局先生もウチに止まることになり、そのことを先生の家に連絡したら電話の向こうで「明日は赤飯だ!」と言うのが聞こえたが無視した。
勘弁してくれ……
いや~遂に高校を卒業しました。
いよいよ一ヶ月後は大学生です。




