第2話 日常
大変遅くなりました。
どんなに時間がかかっても完結させるつもりです!!
――――俺の腕の中に今にも死にそうな血まみれの少女がいる。
しかし、俺はその血が少女のモノではないことを知っている。
『―っ! ―っ!』
俺は少女の名前を必死に叫んでいる。
すると、俺の想いが通じたのか少女の目が開き、
『シオン シ…オン シオ…ン…』
閉じられ二度と開かれることはなかった。
そして、少女は俺の代わりに…………死んだ。
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バッ!!
「はぁ はぁ はぁ はあ。クソッ!!」
嫌な夢を見ちまった。最近は全く見てなかったのに。どうして急に……
まあいい。とりあえずシャワーでも浴びて、この汗をどうにかしないといけないな。
「時間は…」
―8時半―
ちなみに、8時55分には1限目が始まり、登校には急いでも30分はかかる。
それを確認した俺はシャワーを浴びて寝汗を流し、朝食の卵かけご飯を食べ、ゆっくり登校し、しっかり遅刻して指導部の教師にこってりと絞られた。
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俺の名前は水引四音。
成績は下の下で赤点常習犯の1人だが運動神経は良い。
高2にしては少し背が低め(ちょっと気にしてる)の普通の高校生いわば凡人……というわけではなく、ちょっとした能力を持っている。
と言ってもその能力というのは、俺だけが持つのではない。
実際、俺の通う天ノ上高校の生徒にも何人か持っている人間がいる。
覚醒者
そう呼ばれる能力者が初めて確認されたのは今から約百年前だ。
彼らの初期の能力はサイコキネシスなどの所謂超能力と呼ばれるものばかりだったが、最近では1人で軍隊を相手取れるような強力な能力も確認されている。
現在は昼休み
俺は遅刻したことにより教師から受けていた説教からやっと解放された。
そんな疲れ果てて机に突っ伏している俺に、いつも通りそいつが抱きついてきた。
「よりによって鉄人に見つかるなんてツイてなかったね、シオン♪あっ、でも生きて帰って来たんだからツイてるのかな?」
俺は声でも口調でも、背中に当てられている小さくも確かに主張する双丘でもなく、日常から誰かを判断する。
「ヘンジガナイ。タダノシカバネノヨウダ」
「…そっかぁ。じゃあ、何をされても平気だよねぇ♪」
そう言うや否やそいつは俺の脇腹をくすぐった。
「ッッッッッハーハハハハハ。分かった、俺が、悪かった。謝る、から。もうヤメてくれー」
「あれーおかしいなぁ?ただの屍のはずなのに、何か声がするような?」
そいつは手を止めるどころか、いっそう激しくしてきやがった。
「ハハハッたのむ、俺が、悪かったって、言ってるだろ。雪奈!!」
「ふふ♪しょうがないから特別に許してあげる♪まったく、ボク(・・)を無視するのが悪いんだからね♪」
そう言って雪奈は俺を解放してくれた。
「はあ。俺を殺す気か?」
「そんなわけないでしょ♪それに先にボクを無視したのは四音の方だよ。悪いのは四音なんだからね♪」
この今時希少なボクッ娘は氷澄雪奈。
スレンダーな体型をしていて女子にしては背が高い。(忌々しいことに俺より高い)
前述の通りスレンダーであるため胸が小さいことを気にしている。昔、そのことをイジったら、全力でボコボコにされて全力で泣かれた。
小5のとき俺の家の隣に引っ越してきて以来、小・中・高とずっと同じ学校の所謂幼なじみである。
頭は悪くないが良くもない。
運動神経は全般的に万能であらゆる部活に所属している。
俺の大切な家族の1人だ。
「返事ならしただろ!!」
「あれは返事とは言いませーん」
そんな不毛な言い合いを向こうで爆笑しながら見ている野郎を怒鳴りつける。
「つーか猛!!いるんなら助けろよな!!」
そう言っている間もそいつは笑い続けている。
苛々したので思いっきりブン殴ってやったら椅子ごと倒れた。
「痛ってぇな!!なにしやがんだ四音!!」
そう言って猛は俺に殴りかかってきた。
「フンッ!!人の不幸を笑うからだ。ん?あれ?何でお前がいるんだ?いつもは俺より遅いのに…」
俺は猛の拳を避けながら、日常と違うことに対しての疑問を口にした。
「はっ!!てめぇが来んのが遅すぎんだよ」
俺の疑問に答えながら猛は俺を殴るのを諦め、崩れた髪を整えている。
こいつは的井猛。
知り合ったのは去年だが、それ以前からグレていて、高校に入学してすぐに不良の中でも最強にして最恐の集団であるディーラーズのヘッドにまで成り上がった。
すでに現役を引退しているにも関わらず、たまに後輩に頼まれて喧嘩をしているらしい。
頭自体は良いのだが、不良であったため授業に出ておらず、退学一歩手前である。
ちなみに自他ともに認める重度のロリコンであり、周りが止めないと犯罪者になりかねないレベルだ。
こんな残念なヤツだが俺の家族の1人だ。
「マジかよ…猛より遅く登校なんてしたら、退学…良くて停学にされちまう」
「ザマー」
俺の顔が青ざめるのを猛を心底嬉しそうにニヤツいていた。果たして今の状況が笑っていられるかどうかは分からない。
「心配なんてしなくても、退学になんてならないから大丈夫だよ。何故なら…」
そう言って雪奈は人差し指を立てて、
「タケルはシオンより遅く来て、早く説教が終わっただけなんだから♪」
とイタズラな笑みを浮かべてそう言った。
「あーあ。雪奈バラすなよ。折角慌ててる四音を面白おかしく見てたのによ」
と笑いを堪えながら言うタケルを殴ろうとしたとき、横から現れた拳が猛をぶっ飛ばし、俺はそれを顔面でキャッチ、否クリーンヒットだった。
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