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知る者、知らない者  作者: 螺旋の凡人
~第1章~
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第18話 変化

やっとチート感が出てきました

<道化師>とは今、巷を騒がせている国際指名手配犯のことだ。


世界中の覚醒者に関連する研究所を襲撃し、そこにいる主要な研究者(後に調べて違法な実験を行っていたことが発覚した)を殺害している。


道化師について現状分かっていることは、覚醒者であること、能力を複数持っていること、ローブの上から見た背格好から男であること、そして恐ろしく強いことの四つのみだ。


ちなみに道化師という通り名は日本のメディアが道化の仮面から連想して付けたものが広まったものだ。



そんな裏の社会で有名になりすぎて、表の社会にまでその名が知れわたり恐れられている存在が目の前にいるという現実が源次達を動揺させた。


「な、何の冗談だ」


強がってはいるがその声は恐怖で震えていた。


しかし四音はそれを一蹴する。


「冗談だと思うのならそれもいいさ。でもな、仮にも一組織のボスを名乗ってるならどんな状況でも冷静な判断ができないと、その組織はもう終わりだ。」


四音と源次の間で緊張が高まる中、薫が見事にそれを崩してみせた。


「ちょっと待って!四音君、全然話が見えないんだけど、さっきから何の話をしているの?亜久間組って何?傘下の組織って?

それに何より四音君のその格好はどういうことなの?ことと次第によっては、この街の警察署の署長の娘としてあなたをお父さんに引渡すわよ」


「はあ、これが終わったら時間が出来る。だからそれまで待っててくれ。委員長もいつまでも猛が苦しんでるのは嫌だろう」


「…分かった。でもその代わり、知ってること全部話して頂戴ね」


薫は渋々了承した。


「極めて了解」


四音は顔を源次に戻し、殺気ではなく殺意を込めた鋭い視線を向けた。


「さて、猛もいい加減限界だろうからな、こっからは最速・・でいかせてもらう」


四音は三度指を鳴らした。


変化メタモルフォーゼ独奏ソロ人狼ワーウルフ!」


四音の体に異変が起きる。


まるで沸騰しているかのように体のいたるところで隆起と収縮を繰り返す。


「うぐぐぐ…」


計り知れない激痛を伴っているのだろう。


全身から血が噴き出し、その表情は苦痛で歪んでいた。


しかし、その傷も炎を上げて消え去った。


それを繰り返していくうちに四音の身体は炎に包まれた。


炎のあまりの勢いに四音の様子を窺うことも出来ない。


そして炎が収まったとき、そこには異形がいた。



人間より二回りも大きい体格

その身体を支えるため発達した後ろ足

獲物を逃がさず確実に仕留めるための鋭い爪と牙

全身を覆う灰色の体毛



「四音、君?」


しかし、薫の問いに答える声は紛れもなく四音のものだった。


「ああそうだ。お前もニュースで聞いたことあるだろ?道化師は化け物に姿を変えるって。この姿はワーウルフつまりは人狼だ。人狼はこの世で最も速い生物だ。速攻で片付けるから待ってな」


四音は


「さあ開演だ」


タァン!


次の瞬間、四音の姿は消え、相坂組の背後に現れた。


タァン!


でもすぐに消える。


今度は天井付近に現れる。


タァン!


でもすぐに消える。


次は側面の壁に垂直に立っていた。


タァン!


でもすぐに消える。


タァン!タァン!タァン!タァン!


四音は4ビートのリズムで工場内を縦横無尽に動き回る。


しかし、移動する姿を肉眼で捉えることは出来ない。


地面には爪によって削られた痕が残り、剥き出しの鉄骨は踏み込んだ衝撃で大きくひしゃげていたる。


「このビートじゃあまだ追いつける奴もいるだろう。だから…」


四音は源次の目の前数センチという距離に現れて


「上げてくぜ」


タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!タン!


リズムが8ビートに変わりその姿は動きを切り替える一瞬ですら目には映らない。


「さて、そろそろ始めるか。本日一発目の演目だ。見えない楽譜ブラインドノート


四音の移動が速過ぎるせいで、四音の声は反響して全方位から聞こえてくる。


それはまるで源次達が逃げ場はない空間に閉じ込められているような錯覚を引き起こした。


「ギャアアアア」


突然源次の部下の一人が悲鳴を上げて倒れこんだ。


その体には深々と爪の痕が残っていた。


「うわああああ」


「があああああ」


今度は別の二人が襲われた。


「ぎゃああああ」


「ぐはああああ」


「や、やめわああああ」


次は自分かもしれないという恐怖の中、源次の部下は次々と四音の手に掛かりその数を減らしていく。


ただの一瞬で工場の中は阿鼻叫喚の地獄絵図となってしまった。


そして部下の男達をすべて狩り終え残る標的が源次のみとなったとき、四音は高速の世界から姿を現した。


すると四音は変化を解き、元の姿で源次と対峙した。


「どうよ。有利だった立場から一気に突き落とされる気分は?今のお前はただ捕食されるのを待つしかない哀れな獲物だ」


「黙れ!」


バン!バン!バン!


源次は銃を乱射するが、一向に四音に効果を示す様子はない。


「あんたの部下は全員仕留めた。まあ致命傷は避けてはいるがな。残るはあんただけだ」


四音はもう一度指を鳴らした。


「変化、独奏、ドラゴン!」


再び四音の全身を炎が覆う。


そして姿を現したのは先程とは大きく形を変えて、ニュースでは報道されたことのない姿だった。



全身を包む強靭な鱗

逞しい手足

鋭利な爪と牙

太く長い尻尾



それだけ見ればトカゲにも見えなくもないが、それを許さないのが背中にある一対の翼だ。


四音はそれを広げ風を巻き上げた。


「俺はあの日、あの時、あの瞬間から家族に害をなすものには一切の容赦はしないって決めてんだ」


四音が一歩源次に近づく。


「お前は俺の家族に手を出した」


源次は一歩後ずさる。


「そのことが示す真実は一つ…」


四音はさらに源次に近づく。


「――お前の死だ」


四音から少しでも遠ざかろうと後ろに伸ばした足は倒れていた部下に引っかかり、源次を転ばせてこれ以上後ろに下がることを拒絶した。


源次は最後の悪あがきに手元の銃を撃ちまくった。


キンッキンッキンッキンッ


しかし、四音の肉体はおおよそ弾丸との接触とは思えない音を出しながら弾丸を弾く。


「無駄だ。ドラゴンの鱗はそんな豆鉄砲じゃ貫けねぇよ」


四音は一歩一歩確実に源次との距離を詰める。


源次の動きは尻餅をついた状態で止まっていた。


そして遂に四音は源次の位置に辿り着き、拳を振り上げた。


「これですべて終わりだ」


そして拳が振り下ろされた。

あと2、3話で今の話が完結します

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