第14話 到着
誰かサブタイトルの決め方教えて下さい
薫の捜索を初めてから二時間が経ち日もすっかり暮れた頃、心当たりを探し終えた四音は学校近くの公園で連絡が来るのを待っていた。
連絡というのは、猛からの何らかの方法で伝えられる薫の居場所のことである。
すると、四音のズボンのポケットにある電話が鳴った。
四音が電話に出ると、案の定それは猛からの情報だった。
電話を切ってから四音はベンチから立ち上がった。
「町外れの工場跡、か…」
そう呟いた四音は一陣の風と深い足跡を残して公園から姿を消した。
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四音が医務室を出た頃、猛は何の迷いもなくただただ走り続けた。
目指す先は薫が捕らわれている町外れの工場跡。
ここはよく不良が溜まり場にするため、猛のディーラーズ時代お世話になった場所だ。
「はあ、はあ、ここか。四音への伝言は……浅井にでも任せればいいか」
猛はメールを打ってから携帯をポケットに仕舞った。
「よし!あとは四音が来るまでの時間稼ぎだな」
猛は様子を見ていた物陰から出て、工場の入り口へと向かった。
そこには見張りの男が二人立っていた。
「おいおい兄ちゃん、ここは今立て込んでんだ。遊びてぇんなら他を当たりな」
「雑魚に構ってる時間はねぇんだ。相坂の野郎にてめぇが待ち焦がれた奴が来た、と伝えな」
猛は明らかな挑発を交えて用件を伝えた。
「はっ!言ってくれるじゃねぇか。相坂さんに何の用かは知らねぇが、テメェなんざ俺らだけで十分だ」
そう言うと、見張りの二人は猛に左右から同時に殴りかかった。
猛はそれを屈んでやり過ごし、二人の腹目掛けて立ち上がって担ぐように持ち上げ、そのまま肩の上で一回転させ手を放した。
見張りの二人は為す術も無く頭から落ちて気を失った。
「手間取らせやがって」
猛は二人を一瞥すると、工場の扉に手を掛けた。
扉を開けると、そこにはざっと五十人程のガラの悪い男たちがいた。
「猛!」
声がした方に目を向けると、そこには胴着のまま首にナイフを突き付けられた薫がいた。
「よう、薫。医務室に向かうのに別れたぶりだな。元気だったか?」
「バカなこと言ってないで早く逃げて!」
「バカのこと言ってるのはお前の方だろ。お前を助けに来たのに何で逃げなきゃいけないんだ?」
「助けるって…この人数が見えないの?いくら猛でもこの人数は無理よ!」
「人数は問題じゃねぇよ。むしろ問題なのはお前が人質に獲られてるってことだ。
さっきからお前が動く度にお前の首のナイフが怖くてしょうがねぇんだ。だからもう何も言うな。すぐに助けてやるから」
「猛…」
いい感じで終わった二人の会話に水を差す奴がいた。
「ずいぶん早かったじゃねぇか」
猛は声のした方に顔を向ける。
「相坂…まさかお前がここまで馬鹿だったなんてな。正直言って怒りを通り越して呆れてるよ」
薫のときとは打って変わって、猛が一言発するたびに猛の体から寒気がする程の殺気が溢れ出てくる。
その殺気に動揺が走ったが、相坂だけはなぜか余裕の表情をしていた。
「どうした?さっきのように逃げ出さないのか?」
そんな猛の挑発にも相坂は何処吹く風だ。
「何で逃げ出す必要がある?知ってるんだぜオレは」
「知ってるって何を?」
「お前もう現役を引退してディーラーズじゃねぇんだろ?それはお前が昔より弱くなってるってことだ。
それから何よりこっちには人質がいる。どんなことが起こってもオレらが優位なのは変わらねぇ!」
(ほぉ~意外に冷静に分析してるじゃないか。いや、違うな。これは誰かに吹き込まれたに違いない。
それが分かると助かるんだがな。まあ少なくとも後ろの奴らではなさそうだ)
「はあ。こんな残念な奴が頭張ってるなんて…後ろの奴らには同情しちまうな。
どうだ、今からでもディーラーズに来ねぇか?心配しなくても現リーダーに口利きくらいしてやるぞ」
「そんな余裕がいつまで続くかな?おいオメェらやっちまえ!おっとヘタな抵抗はしねぇ方がいいぞ。もししたら…」
相坂の視線の先で薫に突き付けられたナイフを持つ手に力が込められる。
「はあ。分かってるよ。ほら、さっさと来いよ」
猛のその言葉を合図に前方にいた十人ほどが一斉に猛に襲い掛かった。




