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知る者、知らない者  作者: 螺旋の凡人
~第1章~
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第12話 本気

四音が頑張ります。

「始め!」


主審による試合の再開の合図があったが、俺にとって試合なんてすでにどうでも良くなっていた。


相坂は始めと同じように俺に向かって突っ込んできて、鍔迫り合いになったとき話しかけてきた。


「はっ!どうだ、この俺の力はビビって声も出ねぇか?俺としてはもう少し遊んでやりてぇんだが、そろそろ終わりにするぜ」


そう言って相坂は俺から距離を取って打ち込もうとしたが、それは出来ずその場で動きを止めた。


なぜなら、相坂が離れた瞬間に俺が先程の猛出した以上の殺気を放ったからだ。


審判は急に止まった相坂を不振に思ったのか、一度試合を中断し相坂を確認した。


「この感じ…四音のヤツ本気だな。猛、四音に何を言ったんだ?」


「いや、対戦相手がさっき薫の手を潰した奴だから気を付けろって、俺も言ってから気づたけど、中々えげつない技を使うな」


「『水引流剣術、気構え、空蝉』だったか?」


「ええ、自分の気で場を満たし、相手の認識能力を阻害する技です。まあ俺には通じないけど」


「そうか、確かにえげつねぇな。だがまあ、これでこの試合勝ったな」


「ええ、あの四音には勝てるどころか、立ち向かう気すら起きませんからね」


唯一状況を把握しているベンチの二人は、勝ちを確信して張り詰めていた気を緩めていた。


四音から出た殺気はすぐ近くにいる審判には何の影響も出さず、ただ相坂一点にのみ集中していた。


試合が再開されたが、俺も相坂も全く動こうとしなかった。

いや、相坂の方は動けずにいた。


あまりの圧力に相坂が意識を失いかけたとき、不思議な現象が相坂を襲った。


相坂は目の前に俺がいるにも拘らず、急に辺りを見渡し始めた。


「ドコだ?ドコに行きやがった!」


相坂が急に暴れだしたので、審判が試合を中断しようとしたとき、今まで微動だにしなかった俺が動き出した。


パーン!


その動きはさっきの突き以上の速さのせいで視認できた人はほとんどいなかったが、

試合場に響いた乾いた音と打突を終えた姿勢でいる四音を見れば、結果は一目瞭然だった。


「め、面有り。勝負有り!」


主審による号令の後、俺は何事も無かったかのように立ち去って、何が起きたのか理解できない相坂はしばらくその場に立ち尽くしていた。

次回やっと話が展開します。

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