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matataki  作者: 大橋 秀人
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どうしてどうして

瞬くと、つぶらな瞳を向けた4才になる娘が抱っこをせがんできた。




「ねえ、パパー?」




ごく自然に膝上に座り、如何にも不思議そうに首を傾げる。




「どうして夜はくるの?」




まっすぐこちらに視線を固定して娘は言う。




「それはね?」




またこの時間が来たかと思いながら、そんな考えはおくびにも出さずに私は娘の背中に手を回す?




「お日様が眠っているからだよ」




そういうと娘は彼女なりに憤慨して見せ、




「お日様がずっと起きててくれないかな?」




などと腰に手を当て言ってのける。




ついさっき、夜が来たからそろそろ寝ましょうね、と妻に諭されたのが気に入らなかったようだ。




「お日様もずっと起きてると疲れちゃうし、それはサリも同じだろ? 暗くなるとみんな眠るのが良いんだよ」




頭を撫でると、娘は納得していない顔で夜空を見上げた。




「お月様がキレイで、今日は夜でも明るいよ?」




確かに辺りの景色は月光で普段より識別できた。




「明るくても眠らなくちゃいけないの!」




キッチンで聞いていた妻が横やりを入れる。




雷をやり過ごすみたいにサリは首を竦めてみせる。




「どうして?」




抱きついてきた娘の問いに答える代わりにその体を持ち上げて寝室へ連れていく。




少し答えづらい問いは擽りを加えることで大抵はリセットされる。






「ねえパパー?」




布団に入っても疑問は止まらないらしい。




「どうして眠らないといけないの?」




「ずっとおきてると疲れちゃうからだよ」




「でも、サリ、全然疲れてないよ?」




「早く寝ないと朝に起きられないからだよ」




「でもサリ、いつもお利口に起きてるよ?」




「寝るのが遅い日が続くと起きれなくなるんだよ」




「じゃあ今日は眠くないから、明日は早く寝る!」




起き上がろうとする娘を制して、なんとか寝かせる算段に頭を巡らす。




「じゃあサリ、競争しようか」




その提案に娘は足をバタバタさせ応える。




「どっちが早く眠れるかね」




「えー、つまんない」




「じゃあどっちが長く目を瞑ってお口チャックできるか」




「まだお話したい」




唇を尖らせているのがわかる口調が愛らしいが、そろそろ本腰をいれて寝かせなければならない時間だ。




「行くよ? よーい、はじめ!」




問答無用でスタートすると、娘は無邪気に口をつぐむ。




しかしそれも間もなく解除される。




「ねえ、パパー?」




問いかけに反応しないでいると、ごそごそとお腹に乗ってくる。




「どうして寝たフリするの?」




耳打ちに笑いそうになるのを堪える。




サリは布団の中をゴロゴロしながら独り言を呟いている。




時折こちらの様子を伺うが、狸寝入りでシラを切り通す。




イビキをかいてみせると、娘もその真似をした。




「どうして笑ってるの?」




思わずニヤけたのが見つかった。




そうだ、今日は月明かりがあるんだったと思い出し、このままではダメだと眉間にシワをよせた。




「どうしてパパは、サリを寝かせたあとに起きていくの?」




ドキッとする質問から逃げるように寝返りを打つ。




子どもはなんでも気づいているのかもしれない。




そんなことを考えながらウトウトしていた。



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