またいつか一緒に【第16話】
リレー小説(第二弾)設定・注意事項
★全40話
★一話2000文字以上
★登場人物数制限なし
★ファンタジー要素無し
★SF要素無し
★地の文は主人公視点
★重複執筆可
★ジャンルはその他
★執筆予約制廃止(予約を入れてくださる著者様を拒みはしませんが、ある程度の執筆予約が入ってからの執筆開始はしません。執筆予約を入れられた著者様に関しては、活動報告に掲示させていただきます)
★執筆著者様は、執筆前にご連絡ください
★執筆投稿後、必ず御一報ください
★あらすじは、前話までの要約を明記
★全ての物語を聖魔光闇さんと私がお気に入り登録します
★後書きに執筆著者様募集広告を添付
1話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1590t/
2話:日下部良介先生 http://ncode.syosetu.com/n2296t/
3話:ふぇにもーる先生 http://ncode.syosetu.com/n3991t/
4話:koyak先生 http://ncode.syosetu.com/n4630t/
5話:創離先生 http://ncode.syosetu.com/n8318t/
6話:蟻塚つかっちゃん先生 http://ncode.syosetu.com/n9612t/
7話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n1100u/
8話:伝次郎 http://ncode.syosetu.com/n2759u/
9話:koyak先生 http://ncode.syosetu.com/n4425u/
10話:このはな さくら先生 http://ncode.syosetu.com/n4766u/
11話:鳩麦先生 http://ncode.syosetu.com/n8057u/
12話:ポテトバサー先生 http://ncode.syosetu.com/n1332v/
13話:聖魔光闇先生 http://ncode.syosetu.com/n5466v/
14話:真野 優先生 http://ncode.syosetu.com/n8285v/
15話:koyak先生 http://ncode.syosetu.com/n9776v/
よろしくお願いします。
停留所に止まったバス。
乗らなきゃ……。ステップに足をかけて、中に入ってしまえば、黙っていても目的地に連れて行ってくれるはずだ。
分かっているのに、勝俊は足を踏み出すことができない。
バスのクラクションが鳴る。乗るのか乗らないのか、はっきりしろ、と言っているのだろう。
分かってる……分かってるよ。
運転手の目が、自分を睨んでいるのが感じられた。
背後から駆け寄ってくる足音が聞こえる。その足音は勝俊を通り越して、そのバスに慌てるように乗り込んだ。中年のおばさんだ。
「あー、間に合ってよかったわ」
その声が聞こえた途端、怒りを爆発させるかのように、勢いよくドアが閉められた。
そんなに急発進したら、あのおばさん、座る前に転んでるだろうな、と勝俊は余計な心配をしていたのだった。
――これで何本目になるだろう。
あの場所に行こうと思って、ここ数日悩んでいた。いや、悩む必要なんかないのだろうが、勝俊は心に引っかかるものがあったのである。
小学校のときに行った修学旅行。伊勢、鳥羽、志摩……。
自分たちが巻き込まれている事件は、あそこのあるのではないだろうか。
そう思った勝俊は、黒崎の情報を頼りに、その地に行ってみようと思っていたのである。
しかし、その事件の鍵を見つける前に、やらなければいけないことがある。だから、彼女が来るのを待っているのだけど……。
夕日も顔を隠し、辺りが暗くなりかけてきた。
次のバスが、あの場所に行く最終便になるだろう。乗るしかないか……。
ビルの陰から、彼女は出て来た。そしてまっすぐこの停留所に向かって歩いて来る。
近くまで来た彼女は、勝俊の顔を見て立ち止まった。
「――来ないのかと思ってたよ」
勝俊は、若宮遥の顔を見て、そう言った。
「伊勢に行くの?」
遥はそう訊いた。
「ああ。行く意味があるのか、俺にも分からないけど、前から気になってたんだ」
「あのおじさんの事よね。でも、もう亡くなってる。本当に可哀想なことをしたわ」
「黒崎さんが言ってたよな。家族がいるって。会ってみたいんだ」
「会ってどうするの?」
「――分からない」
勝俊は一瞬ためらってから、そう言った。「分からないけど、何かが見えるような気がするんだ」
この思いは、黒崎から情報を得たときから勝俊の中でくすぶっていたものだ。まさか残された家族が俺たちに復讐するとは考えられないが。
いや、ありえないことではないだろう。だから勝俊は迷っていたのである。
しかし自分たちがあの事件を起こしたのは、あのオッサンが離婚した後である。そこも、何かが気になっていたのだ。
「それで……」
遥はちょっと迷ってから、「私に話って、何?」
と言った。なぜか訊くのが怖い、と思ったのだ。
「一緒に行ってくれないか」
勝俊の言葉を、遥の中で理解するのに少し時間がかかったような気がする。
「どうして? 私が行ってなんになるの?」
「分かってるだろ、俺の気持ち。若宮――いや、遥。俺、お前のことが好きだ。前から、小学校のときから好きだったって、知ってたよな」
まだ遥が智哉と付き合う前、一度告白したことがあった。その時はうやむやになったままで、何の進展もなかったのだが、智哉と付き合うようになってから、勝俊は想いを心の中にしまっていたのである。
「私の彼氏、もちろん誰だか知ってるよね」
「ああ、あいつは俺の親友だ」
「じゃ、なぜそんなこと言うの? しかもこんな時に」
「こんな時だから……かな。正直言って、智哉が電車に撥ねられたとき、このまま死んでくれたらと思ったよ」
「ひどい……ひどいわ!」
「俺だって自分が情けないと思ったよ、そんなことを考えるなんて。でも、もう我慢できない。俺たち、いつ殺されるか分からないんだ。お前を好きだって言う気持ちを抑えられないんだ」
突然、勝俊は遥を抱き寄せ、その唇を奪う。一瞬のことに、遥は、抵抗することさえできなかった……。
病院を出た智哉は、母親と運転手に手伝ってもらって、車椅子専用のタクシーに乗り込んだ。
「いてっ!」
額の傷が、少しだけ痛んだ。ほとんど治ってはいるが、あのオッサンが投げた石の感触が甦るのだ。
この病院の階段で転んでから、ちょうど一週間が経っていた。どうやら三日間ほど意識が戻らなかったらしい。
その間、いろんな夢を見ていたような気がする。小学校の時のあの事件から、最近立て続けに起こる事件。もちろん僕が代行業者に依頼してやらせていることではあるが、どうもそれだけではない、他の要素が絡んでいるような出来事。
それらのことが、何度も何度も僕の夢の中に現われては消え、また同じようなシーンが現われる。
「――大丈夫?」
母親が心配そうに覗き込む。
「うん、大したことないよ」
そして、遥とは、まだ連絡が取れていない。
僕が怪我をする前、電話をかけても出なかったことを思い出したが、その後も電話に出ることはなかった。
どうしたんだろう……。
とりあえず、今日はこれから帰ってパソコンを開いてみなければならない。代行業者からのメールがたまっているはずだ。
それからもう一つ、頭の中に焼きついた椎名の死。
僕は最初の事故を目撃している。確かにあの事故で彼女は死んだはずだ。あの壮絶さは、生き残ることなどできないと確信せざるを得ないものだったのだ。
その椎名が、遥の部屋で倒れていた。
――僕に中で、ある考えが浮かんでいた。椎名が二度も……ではなく、椎名が二人、と考えたらどうなるだろう。
つまり、椎名は双子だった、と考えれば……。
双子……。どこかに接点があるような気がする。
タクシーがゆっくりと滑り出し、大通りを静かに走り始めた。
見慣れた町が、夕暮れのベールをかぶろうとしている。
辺りは薄暗くなりかけて、僕はぼんやりと外を眺めていたのだ。
バス停に立っている勝俊の姿が、僕の視界に入った。
その横にいるのは……遥じゃないか! あの二人、何やってるんだろう。
停まってもらおう、と運転手に声をかけようとしたときだった。
二人が抱き合う。そして、僕でさえまだ経験していない、遥とのキスシーン。
勝俊と遥が抱き合ってキスしているところを見ながら、タクシーはあっという間にバス停を通り過ぎていったのだった……。
これはリレー小説です。
リレー小説とは、複数の筆者による合同執筆(合作)を言います。
ご参加頂ける方は、聖魔光闇先生までメッセージにてご一報下さい。
参加していただける方は、再度メッセージにて、正式に依頼させていただきます。
その後、投稿後に、もう一度ご連絡いただきますよう、お願い致します。
現在、18話以降の執筆担当者様を募集しております。皆様のご参加、心よりお待ちしております。