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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

書く習慣まとめ

お題「たとえ間違いだったとしても」

作者: コトノハ
掲載日:2026/05/09

そうして終わりは告げられた。

一方が滅び、一方が生き延びた。

それは慈悲などない戦争だった。


私は歩いていた。

一面は焼け野原であった。


グレーと茶と黒だけが遺り、レンガ造りだった家も、整えられていた花壇も、大きな複合遊具も全て煤けていた。

灰の匂いがした。死んだ匂いがした。何もない匂いだった。


ふとゾッとした。それは此処で鍛えられた第六感だった。

振り返ると少女が瓦礫の裏からこちらを――震える手で拳銃を構えていた。


もう可哀想で仕方がなかった。

私は堪らず両手を上げて少女に近づいて膝をついた。


家族は?家は?友人は?

そんなことを聞いても仕方がないのはお察しだった。

少女に手を差し伸べ、私はこう言った。


「一緒に来ないか。」


少女は煤けていた。しかしまだ生きていた。

疑いを帯びた視線と拳銃を握る手が迷いに揺れて、やがて降ろされた。


「それでいい。」


私よりひと回りもふた回りも小さな手を、握り潰さないように包んだ。

生温く生きた感触がした。


立ち上がった。

私達はまた歩き出した。

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