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追放召喚者のダンジョンには、最強竜と魔狼(もふもふ)が住んでいます ~魔力SSSで始めるスロー・ダンジョンライフ~  作者: 黒猫ている


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7:何も起きない一日……のはず

ダンジョン運営を始めたからといって、すぐに冒険者が押し寄せてくる訳ではない。

それはそうだ、ここにダンジョンがあるなんて、誰も知らないのだから。

ヴィルベルみたいに魔力の動きに敏感ならばともかく、普通の人間は魔の森奥地で何かが起きているなんて、気付きもしない。


という訳で、今日も今日とてダンジョンは平和そのもの。

一応入り口とダンジョン内部には監視カメラを設置して、各階層の様子を確認出来るようにした。

その為、操作パネルのある部屋にはモニターがズラリと並んでいる。

さながらスーパーやビルの管理室みたい。

これらも全て、アイテムクリエイトで作り出したもの。


とはいえ日がな一日誰も来ない状況で、監視カメラを眺めていても意味がない。

結局は最下層でのんべんだらり……もとい、ヴィルベルとレムスに日本語を教えたり、ヴィルベルと一緒になって教材がわりの漫画や映画を見たり、ガルムと遊んだりといったのんびりした日々が過ぎていた。


「スズカ、この“すし”というのが食べてみたい」


寿司屋を題材にした漫画を手に、ヴィルベルが昼ご飯のリクエストをしてきた。

お寿司かぁ。私もお寿司は嫌いではないけれど……。


「ガルムはお魚は食べられるのかな」


一番の心配は、ガルムのことだ。

ガルム一人(?)だけ別のメニューというのも、可哀想な気がして。

だって、ここに来てから、毎日一緒にご飯を食べているんだもの。


「魔狼は雑食だろう」

「なら、平気かしら……でも、お寿司は私も自分で握ったことはないのよね」


せいぜい、友人宅でパーティーをした時に、手巻き寿司を作ったくらいだ。


「ここにも、一人前になるには何年か……あるいは何十年か、修行を積む必要があると書いてある」


ヴィルベルが真顔で言う。

寿司漫画から影響を受けすぎじゃないかなぁ。


「となると、実物を食べるのは無理か……」

「いや、そうとも限らないよ」


ガックリと肩を落としたヴィルベルに、声を掛けた。

自分で握れなくても、スーパーで売っている高級寿司のパック……あれをクリエイトすれば、どうにかなるかもしれない。


「ちょっと試してみる」


操作パネルの前に立って、アイテムクリエイト画面を開く。

入力する文字は『特上寿司三人前』!

これなら、握ってある寿司がそのまま出てくるんじゃない?


「……よし、きたぁ!」


予想は大正解!

次の瞬間、パネル上部にプラスチックの容器に入った特上寿司が現れた。

どう考えても三人前じゃ足りないんだけど、まぁ後で追加注文すればいいよね。


本当、このアイテムクリエイトってどういう仕組みになっているんだろう。

私が知るアイテムを、私が魔力で生み出している……ってことでいいのかなぁ。

その割には、全然疲れた感じがしないんだけれど。流石はSSS。


「ほほう、これが寿司か」


ヴィルベルは、興味津々でプラスチックの容器を見つめている。

ご飯の気配を察してか、ガルムもぴょこぴょこと歩いてきた。


「お醤油を付けて食べるのよ。色々な具材があるから、自分好みなのを探してね」

「ワン!!」


と言うわけで、急遽開催されました、寿司パーティー!

食欲旺盛な私達三人を、レムスが給仕をしながら微笑ましく見守っている。

まぁ、もっぱら食べるのはヴィルベルとガルムなんだけどね。


最初の心配はどこへやら、ガルムはお寿司もお魚も大好きみたい。

特に甘ダレのついた鰻の握りがお気に入りみたいで、食べさせてあげると、尻尾が千切れんばかりに左右に振れている。

やっぱり、子供だから甘いのが好きなんだろう。

今度鰻丼や鰻の蒲焼きもクリエイトしてあげようかな。


ヴィルベルは普通の握り寿司が好きなようだ。

いつの間にか箸にも慣れて、特上寿司を次々に口に運んでは、レムスにおかわりを注文している。


「やはり実際に食べてみないことには分からんな。生の魚が、こんなに美味いとは」


初めて食べるお寿司に、ご満悦だ。


「お寿司には、やっぱり緑茶なのよ」


かくいう私は、あつーい煎茶(あがり)を煎れて、一息吐いていた。

うん、これぞ日本人って感じがするよね。

ヴィルベルは煎茶も普通に飲めたけれど、ガルムに舐めさせたら、物凄い顔をしていた。

苦いし熱いし、これ嫌い!! って、かなりの拒否反応を示されてしまった。

うーん、残念。

ま、お寿司は気に入ってくれたみたいだから、それだけでも良しとするかぁ。

気付けば、テーブルの上は空の容器だらけになっていた。


なーんてのんびりとした食後の一時を過ごしていた私の視界に、奇妙な物が映り込んだ。

正確には“私の視界に映ったモニターに”だ。


操作パネルの周りに置いた、監視カメラの映像を映すモニター。

そこに、白くぼんやりとした何かが映り込んでいる。


「え、なにこれ……ひょっとして幽霊?」


画面の中でふわふわと漂う“何か”に、ぶるりと背筋が震えた気がした。

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