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退屈は僕を殺したい  作者: おどろん


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ソトボリ

皆様、おつかれさまです。


また時間が掛かってしまいましたが、なんとかやっていけています。

仕事も新年開けてから大分バタバタしておりましたが、なんとか落ち着いてきたのでペースをあげようと奮闘しております。

(どうせすぐ忙しくなるんだけど…)


子供も3歳になり、もはや家でもバタバタしておりますが、なんとか気合いで続けていきたいと思うこの頃です(((^^;)

ユキの望みを知った翌日、俺はある場所へと向かっていた。

姉さんたちとの約束はあったが、今回は謝って断りを入れておいた。

まぁ俺の立場上、簡単には納得してもらえなかったが、今後普通の学生を続けていけるかも分からないし、時間がある今のうちに友人とできるだけ良い思い出を作っておきたいと懇願し、無事に許しを得た。

ただし、そんな()()()()()ことを言い出す俺をアカネはずっと不審な者を見る目でいたが…そこは気にしても仕方がない。

現在も1人で歩いているが、特に監視の目は無さそうだ。

アカネならこっそり尾行くらいしてくると予想していたが。

性格的にも立場的にも。

俺の能力を過信、というわけではないだろうが…。

言ってしまえば今回の『作戦』は姉さんたちの存在も加味しての物だったが、いないならいないで別に問題はない。

大枠の予定通り、()()から埋めていくだけだ。


そんなことを考えながら歩き、やがてある場所へとたどり着く。

ここは以前、例の報道連中に絡まれた後に立ち寄った公園だ。


「お~っすユウト!」


入口を通るとすぐに声を掛けられ、近づいてくる影がひとつ。


「相変わらず遊びに関しては集合が早いな、おまえ(ハヤテ)は。」


授業なんかではしょっちゅう遅刻をするくせに、こと遊びとなると俺より遅く来た試しが無い。

馬鹿なガキみたいだ……合ってるか。


「この休み期間暇すぎてよー。一人で外に繰り出してもつまんねーしよー。ゲームの新作出てなかったら暇すぎて死んでたなマジで。」


「新作?」


「ああ!またクロムが神ゲー出したんだよ!モーニングレインつってな…!」


聞いてもいないことをベラベラと熱く語りだすハヤテ。

キャラクターの個性やゲーム性についてずっと話しているが、止めなければ永遠に口を開いていそうだ。

余程そのゲームにハマってしまったのだろうが、正直そんなに熱弁されても俺はそこまで興味は持てない。

まぁ残り少ない普通の学生生活の友人関係だ。

暇な時に付き合ってやるくらいがちょうど良いだろう。


「まぁそれは置いておくとして…ハルカはまだ来てないのか?」


「少なくても俺はまだ見てねーな。というのかハルカはそもそも来るのか?あいつ結構根は真面目というか。外出を控えるように…って学校も言ってるからな。」


「その心配は無い。必ず来るはずだ。」


「そりゃユウトが呼んだら来るんだろうけどな。」


『心配は無い』とは言ったものの、その指摘自体は実に的を得ていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ユキとの逢瀬(まぁ実際には会えてはいないが)の後、ハルカとのやりとりである。


『昨日は悪かった。寝落ちしちゃってな。今日も忙しくて返信するのをすっかり忘れていたんだ。』


送信して返事を待つ。

30分程経過したところで、メッセージの受信を知らせる通知音が鳴った。


『ううん。大丈夫だよ。きっと神楽さんや他の可愛い女の子たちと秘密の特訓をしていて疲れてたんだよね。あたしみたいな雑草なんか気にしてる余裕が無かっただけだよね。』


…かなり卑屈というか、トゲがあるように思える。

まぁ気になっているところを放置されていればトゲも出してくるか。

しかも『秘密の特訓』とかいうのは完全に俺の自業自得でしかない。

ハヤテを意味なく煽って遊んでいたからだ。

とりあえずはハルカに怒りを鎮めてもらわなければ話を進められん。


『昨日も言ったが秘密の特訓なんていうのはハヤテをからかっただけで、実際は大したことはしていないんだ。確かに年上女子3人と一緒にいたことは間違いないが、だからと言ってそれがどうしたということもない。俺が姉さん以外の女に興味ないのはハルカが一番わかっているだろう?』


『まぁ、それは…ね。でも、だったらあの女の子は?二人っきりで、すっごい良い雰囲気で!』


ここで話が振り出しに戻る。


『そのことだったな。昨日は勘違いしてさっき言った3人の内の一人だと思っていたが、二人っきりと言うのならそれは多分、メグって女の子だ。知り合いの妹だな。姉属性特化の俺にとってはメグは他人の妹。年下だし、すごく懐いてくれてるから優しくしているが、別に良い雰囲気だとか、男女としてどうこうなんて全く思ってない。』


…だから安心しろ

と続けそうになって、慌てて文を改めたのは秘密だ。

そもそもメグが実際に年下かどうかも聞いてないから分からないんだけどな。

杏みたいな例もあるし。

この件に関しては嘘に嘘を重ねることになるから矛盾さえ残らないようにしておけばいい。

どうせ調べようもないことだしな。


『急に饒舌になったというか…そういう設定とかじゃないの?それにユウト君は年下だろうが懐かれようが基本塩対応じゃん!絶対にいつもの態度じゃないよ!絶対に!』


めんどくさい女ムーブ全開でもはや面白いまであるが、その指摘が正解なのが厄介だ。


『まぁ言いたいことは分かる。それにはちゃんとした理由があってな。それを教えるという意味でも明日ちょっと集まって遊ばないか?ハヤテも呼んでるんだが。』


『…明日?急だね。用事はないけど、今は外出自粛みたいなこと学校で言われなかったっけ?』


『優等生でもないやつがそんな小さなこと気にするな。』


『優等生とかじゃなくて、危ないとかそういう話じゃ…?』


それはそうか。

俺は今回の事件の被害者の状況から犯人まで知っているが、ハルカみたいな『普通』の人間には凶悪犯が近くにいるかもと思うのもおかしくはない。

警察もそう言ってたしな。


『そうか。無理強いしてまで来いとは言わないが…』


そうして早くも()()()()()をすることになった。

それを聞いたハルカは迷いつつも、

行く

と返事を寄越してきた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


エサで釣るようで少し申し訳なかったが、一応ハルカやハヤテのことを考えた上でのことでもあるので、2人にはどうしても来てほしかったのだ。

ちなみにハヤテも実は最初は例のゲームがしたいと渋っていたが、同じく()()を撒いてやると、一瞬で『絶対に行く』という宣言をした。


『可愛い女の子と遊びに出掛ける』


そのエサはハルカにとってもハヤテにとっても無視することは難しいことだった。


そんなことを思い出していると、チラチラと視線を感じる。

常にこちらを見ているのではなく、視線を切りながらこちらを覗いているようだ。

俺が入ってきた入り口とは別の入り口から入ってきたであろうその覗き魔は、公園内の施設物などの物陰に身を潜めながら確実にこちらへと近づいてくる。

ハヤテは俺に、例のゲームが如何に面白いかを説明するのに必死で全く気がついていないが、その魔の手は少しずつ俺たちの方へ近づいてきて、とうとう俺たちの背後へと到達したその瞬間、


「わぁーーーー!!」


俺は大声を出した。


「うわああぁ!?な、なんだ!?」

「きゃあーーーー!??」


2人の悲鳴がほぼ同時に上がった。


「えっ、えっ!?ハルカ!?おまえいつの間に来てたんだよ…」


「いや、こっそり近づいてきて大声で驚かしてあげようと…」


「それはハルカには100年早いな。俺に不意打ちは効かん。」


言葉のあやではなく、本当に効かん。

ただ、視界の端に映るこちらを指差す少年。

そしてその母親が制止するように手を引っ張る様子が気になった。


ヒソヒソ…


背後からもこちらを訝しむような感情が…


どうやら俺が頭のおかしいやつだと認識されてしまったようだ。

公共の場で急に大声を出すのは止めておこうと誓った。


「だからって不意打ちをやり返すなんてしないでよ…。というかまだやってないのに…。」


まだ心臓が激しく動いているようで胸を押さえてるハルカ。


「それは聞き入れられんな。昔、俺の師が遺した言葉にこういうものがある。

『打って良いのは打たれる覚悟があるやつだけだ!』ってな。」


「…不意を?」


ハルカがジト目でこちらを見てくる。

実際、わさわざやり返す必要は全くないんだが、向こうがやってこようとしたんだからやり返されても文句は言えないだろう?


「まぁ、ユウトに不意打ち効かんのはどうでも良いけど、ハルカも来たんだ。本題の方はどうなってんだ?」


「ああ。一応時間通りに来るように()()()ある。」


それを聞くとハルカの表情にやや雲が掛かる。

対してハヤテは気持ち悪い笑顔を浮かべている。

公園内にある時計を見ると時刻は10時になろうというところであった。


「それではお二人にご紹介しまーす。」


俺は2人の方に顔を向けて言った。


2人とも

急に何言ってんだ?コイツ。

とでも言いたげな間抜けな面をしているが、

俺がサッと、左へ1歩ズレるとその顔が驚愕へと変わる。


「こちらメグちゃんです。はい、拍手~。」


「メグです。よろしく。」


ぱちぱちぱちぱち…


俺の拍手と近くから聞こえる子供の声しか聞こえない。


「い、いつの間に…?」


ハヤテが先に口を開く。


「お前は日々ぼーっと生きているからな。だからそういう小さな変化を見逃すんだ。」

「いや小さくないだろ…。」


『小さくない』


その言葉にメグは少し嬉しそう(無表情)だった。

そういう意味ではないけどな。


「遠くから見てた時はハッキリ分からなかったけど、すごく可愛いね…。」


どうやらハルカは突然メグが現れたことより、メグの容姿に驚いているようだ。


「い、言われてみれば確かに…。めちゃくちゃ可愛い…!すげぇなユウト!こんな可愛い娘とどこで知り合ったんだ!?子役モデルか何かか!?ひょっとして彼女なのか!?付き合ってるのか!?」


興奮するハヤテを落ち着かせる。

ハルカのほうは『彼女』というワードに特に強く反応しているようで、そっちもかなりそわそわしている。


「子役モデルとかそういう芸能関係の仕事は一切していないぞ。むしろ箱入りってやつだな。ハルカには昨日少し話したが、メグは知り合いの妹で最近会ったんだ。お嬢様ってやつで最近この街に引っ越してきた。その知り合いはすごく忙しいみたいだから今日は来れてないが、世間知らずの箱入り妹にこの町を案内してやってくれと頼まれてな。俺一人だと寂しいと思ってお前たちも呼んだってわけだ。もちろん彼女ってこともない。」


「へぇ…お嬢様ってやっぱ美人が多いんだなぁ…って彼女じゃないってことは、俺が立候補しても…?」


自分に指を差し、恐る恐るメグのほうに視線を向けるハヤテ。

対するメグは…


「メグは強い男が好き。」

「お、おお!俺結構ケンカ強いぞ。」


正直、俺から言わせれば喧嘩が強いというよりは喧嘩っ早いだけな気がするが…。

まぁ通っている学校内でどうかという話なら強いほうではあるかもしれない。

そもそも殴り合いの喧嘩をしようってやつがほとんどいないからな。


「頭が良い人はもっと好き。」

「べ、勉強は全然できないけどさ、君のためならこれから頑張れるぜ!」

「ほとんど成績最下位だろお前。」


頑張ってどうにかなる範疇を超えている気がする。

まぁ不可能とは言わんが。


「目標のために努力できる人は尊敬できる。学校で1番の成績になったら交際してもいい。」

「………えーっと?」


俺のほうに疑問の視線を投げかけてくる。


「よかったな。今はまだ駄目だけど、頑張って学年1位になれたら彼女になってくれるってよ。脈は無くはない…ってとこか。」


「マジかよ!?よっしゃーー!!」

「…いや、ユウト君がいる時点で不可能じゃんそれ。」


少し落ち着いたハルカから冷静な突っ込みが入る…ハヤテには聞こえていないが。

ありえない…とは言わないが、全科目満点でも取らない限り学年1位の俺に勝つ…というより並ぶことはない。

それが分からないのがハヤテが馬鹿であり、メグの彼氏になる資格が無いことの証明だ。

まぁその残酷すぎる現実は今ここで突きつける必要はない。

どうせすぐに諦めるからな。


「ちなみに妹って話だけど、お姉さんがいるの?それともお兄さん?」


わざとハッキリと言及しなかったが、やはり気にしているか。


「お姉ちゃん。すごい美人。」

「すごい美人…」


メグよ、ユキのことが大好きなのは分かるが余計なことを言わんでくれ。


「そうなのユウト君?」

「まぁ受け手によってそういうのは意見が変わるものだからな。だから一個人の俺の意見なんて聞いても何も…」

「ユウトお兄ちゃんもお姉ちゃんのことすごい可愛いって言ってた。」


「ええっ!?」

「メグちゃん。いい子だからちょっとこっちへ来なさいこのヤロー。」


少し強めに腕を引いてハルカから距離を取らせる。

ハルカは呆然と立ち尽くしている。

今の隙にメグを大人しくさせなくては…ってかユウトお兄ちゃんって何だよ。


「メグさんや。君は俺を困らせたいのかな?俺のことを困らせるのが好きなのかな?」

「ユウトを困らせたくはないけど、ユウトの困っている姿は可愛いかもしれない。」


何の答えにも解決にもなっていない。


「あのな、あの女は…」

「あの女は?」


言い淀んでしまう。


「あの女は…」


俺に対して好意を抱いている。


本人が言うならともかく、俺がそんなことを|言いだすのは何か違う気がする。

読む力(リーディング)によって自惚れというのとは違うのは分かっているが、とにかくその発言をすることに乗り気にはなれない。

卑怯…な気がする。

恐らくこれは『見栄』だ。

人の秘めた気持ちを盗み見する卑怯な自分を隠したい…と、心の底で思っているのかもしれない。


「磯部遥はユウトのことが好き?」


「まぁ…そんな感じだ。ってか名前も把握してるんだなやっぱり。」


言い淀んでいる間にメグから告げられてしまった。


「まぁそういうことだからあまり刺激を与えるようなことは言うな。」


「なんで?」


「なんでってお前…」


「ユウトはユキと結ばれるべき。ライバルになりそうなのは蹴落とさないと。」


「なかなか手厳しいんだな。」


「ユウトは魅力的な男性。余計な虫が近づかないようにしないと。」


「そう言ってもらえるのは素直に嬉しいが、数少ない友人なんだ。手心を加えてやってくれ。」


「…ユウトがそう言うなら、わかった。」


納得はできないが、言うことは聞いてくれるといった様子だ。


「ユウト君が神楽さん以外の女子にすごく可愛いって…?アカネさんや流行りの売れっ子アイドルにすら絶対に言わないのに…」


「落ち着けハルカ。メグは表情には出さないが冗談が割と好きなんだ。」


「冗談、大好き。」


メグも俺に追従してくるが、お願いだからもう少し抑揚をつけてほしいというか…なんだか言わされてる感すら出ていて逆効果になっていないか心配だ。


「…だとしても絶対に変だよ。知り合ったばかりの子にユウト君がそこまで親身になるわけがない。よっぽど特別な何かが…。」


「よし分かった。正直に言う。」


ハルカが簡単に納得しないのは想定済みだ。

ここで昨日、ユキと話して取り決めた『設定』を使用する。


「これは秘密にしてほしいんだが、俺はこの姉妹の親に雇われている立場なんだ。」  


「雇われてる…どういうこと?ユウト君って確か前に秘密のバイトをしているって言ってたけど、ひょっとしてそれのこと?」


「ああ。さっきも言ったがこの姉妹はかなりのお嬢様でな。姉の方のいわゆるお手伝いさんみたいな…便利屋のようなことをやっていた。突発的な依頼に対応するような形だから自由時間も多いし、給料もかなり良くて、俺からすれば物凄い優良雇用主なんだ。俺のことを買ってくれているし、今回も俺を信用して新しく託されたのがこの子の世話というわけだ。学校の休み明けから1年生として転入するから、ハルカも気にかけてやってくれ。明るい性格ってわけじゃないから友達もできにくいだろうしな。」


「転入?」

「なにっ!?メグちゃんは俺の後輩になんのか!?」


ハヤテも話に戻ってきていた。


「そうだ。だがハヤテはあんまり近づかないほうが良いかもな。」


「なに!そりゃどういうことだ!?」


「お前、自称不良じゃん。そんなやつと絡んでる所を他の連中に見られたらどうなると思う?メグまで学校で浮いてたらかわいそうだろ。」


「自称は外せ!…だ、だけどハルカは良いのかよ?」


「ハルカは別に不良でもなんでもないだろう。一部…というか俺やお前を嫌っている連中からは睨まれているが、普通に別クラスに友達だっているしな。」


「うぐっ…じゃあ俺不良やめる!」


「そんなんだから自称だっつってんだよ。」


何の意味もないハヤテの決意表明を流し、ハルカを見やる。


「まぁそういうことだ。あまり大ぴらにすることではないし、親御さんにも口止めされてたから言ったことは無かったが、要は少し特殊な雇用関係ってだけのことだな。」


「本当に?これからも…今まで通りに遊んだりできるのかな?」


「まぁ、少し忙しくなるが極力時間は作るつもりだ。」


「…うん、分かった。」


腑に落ちないところもあるだろうが、とりあえずは納得ができたようだ。

本当は秘密だけど、という体で話せばこちらが譲歩していることも伝わる。

ハルカは細かいことを気にしやすいが、無理強いのようなことをしてまでこちらを問い詰めてくることはないだろう。

ましてや守秘義務を匂わせているから、これ以上聞き出すと俺に迷惑が掛かるとハルカなら考えるだろう。

結局どこかで折り合いをつけるしかないのだ。

これでハルカは一旦大丈夫だろう。

しかし、以前言った嘘の設定をこんな風に生かすことになるなんてな。


以前、ハルカと連れるようになったあたりに、バイトを一緒にやってみないかとハルカから話を持ち掛けられたことがある。

その時は俺も既にバイトをしている(もちろん嘘)と言って断った。

金を稼ぐという目的自体は俺の意に反することではないが、正直に言って高校生のバイト代などたかが知れている。

俺が欲しい金というのは、自分で使えるお小遣い…というものではなく、将来姉さんと何不自由なく暮らせる資金を言う。

学校という拘束時間を終えた後の貴重な時間を無駄にはできない。

だから俺は短時間で稼げるよう色々とやってきた…色々と。

とても大っぴらにできることではないことばかりなので、ハルカには秘密だと言って流していたが、それを流用したのだ。


そうして無事に、こいつら(ハルカとハヤテ)とメグの顔合わせができた。

ハヤテにはああ言ったが、実際は多く行動を共にするようにつもりなので、遠くないうちに姉さんたちと自然に出会う機会が訪れるだろう。

まぁ本来は今日もアカネ辺りがこっそりついて来るとふんでいたが、焦ることはない。

むしろこいつらが()()()にメグを友人として普通に受け入れていれば、姉さんたちも自然とメグのことを受け入れてくれるだろう。

考えようによっては良かったとまで言える。


そうして少しずつ、メグの存在を不自然ではなくすことで今後すべての動きを潤滑に行える環境を整える。

少し心配し過ぎかもしれないが、失敗は許されないのだ。

細かい隙は極力無くし、牛歩戦術でも目的達成まで着実に進めていく。

今は作戦の準備段階、土台作りだ。


「…とまぁ長くなったが、メグと俺の関係については以上だ。というかお前ら、自己紹介くらいしたらどうだ?」


「ああ!そうだった!メグちゃん!俺はハヤテだ!須藤颯!ハヤテ先輩♡って呼んでくれ!」


「私は磯部遥。呼び方はメグちゃんの好きにしていいよ。よろしくね。」


「ハヤテとハルカ。覚えた。よろしく。」


「呼び捨てか?感心しないぞメグ。ハヤテも先輩をつけてほしいと希望しているし。」


「いや、これはこれで…年下の無表情女子から呼び捨て…なんか…良い…。」


「私も特に気にしないよ。クールな妹って感じでかわいいし。」


「お前らに年上としてのプライドとか無いんか?」


まぁ気持ちは分からんでもないが…


「変えたほうが良い?」


「…いや、本人たちが良いならそれでいい。」


まぁ、呼び方なんざどうでもいいか。

むしろフランクな間柄だと周りから思われる方が得策かもしれん。


「よし。ではお互い挨拶もできたということで、これから4人で遊びに繰り出すぞ。メグに一般学生が普段どのように過ごしているか体験させてやるんだ。」


「なるほど!それで俺たちを呼んだのか!流石ユウト!天才っ‼デート‼」


「…一般学生という枠組みかどうか大分怪しい気がするけど…もう考えるのも疲れちゃった!よぉーし!遊ぼう‼」


流石、俺が見込んだ(?)二人だ。

今日の作戦目標は顔合わせで、後は日々時間をかけて自然と進行するものだ。

つまり、今日はもう何も気にせず遊んでしまえばいい。


「メグ、何かやりたいことはあるか?先輩たちが何でも付き合ってくれるぞ。」


「なんでもいいの?」


「おう。田植えからバンジージャンプ、死体ごっこからピンポンダッシュまで何でもござれだ。」


「そのクソふざけた選択肢だと、もはやピンポンダッシュが一番学生らしいな。」


「コラコラ。馬鹿なこと言ってないで。学生と言ったらとりまカラオケでしょ!」


「カラオケ…。ユウト。私、カラオケ、興味ある。」


「おっ?興味ありか?よし、ではカラオケにゴーだ。ハルカ、案内を頼む。」


「カラオケ終わったらボーリング行こうぜ!」


「良いねハヤテ君!学生っぽい!それ!学生っぽい!」


馬鹿どもが妙なテンションになっているが、メグが楽しめるなら何でもいい。

メグの過去は詳しく知らないが、この歳で人を何人も殺しているような人生だ。

少なくても『普通の学生』という人生ではなかったんだろう。

作戦とはいえ、ずっと肩を張っていなければならないなんてことはない。

楽しむこともまた、作戦なのだ。

俺の計画が進むにつれて、普通の学生からはかけ離れた生活になっていくんだろう。

だからその前くらいは。

一緒に友人として楽しく過ごす時間があっても良いじゃないか。

だからこそのこのメンツ。


ごちゃごちゃ考えるのはもう終わりだ。

今日は精一杯、楽しむとしよう。


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