修行2日目 ー 天地優人の能力 ー
お疲れ様です。
相変わらず夜勤が続いて厳しいですが、なんとか隙を見てかき進めております。
どっかで折を見て過去に投稿したもののルビ振り等やっていきたいのですが、中々うまく時間を取れませんね。
ま、ゲームしなければもう少し時間が増えるんですが…
でもゲームしてるからこそ鋭気を養えるんですよね…
とりあえず、頑張って書いていきます!
「姉さんの炎って、遠くに投げ飛ばしたり遠くで発生させたりとかってできるんだよね?」
今日も昨日に続いて神社で修行だ。
なんとかして広範囲に神通力を発動させる術を得なければならない。
そのためには先ず、先人たちからの知識を得るのが最も近道となるだろう。
とはいえ、今は姉さんと2人きりだ。
それはそれで素晴らしいのだが、修行の観点から言えば少なくても人数は欲しかったところだが、ババアに呼び出されたということなのでしょうがない。
強いて言えばアカネがいないので、閉じ込められる危険はあるが、姉さんも一緒なのでそれはまずあり得ないと言えるだろう。
俺を姉さんごと監禁、幽閉しようものなら流石にアカネが黙っていないはずだからだ。
修行に集中するとしよう。
「もちろんできるわ。ハッキリと視認できる範囲に限られるけれど。ただ、投げるというのは少し違うわね。正確に言えば移動させる、という感じかしら?」
姉さんはそう言うとおもむろに手のひらを上に向けて炎を発生させる。
その炎は姉さんの操作なのか、手を離れて空中を真っ直ぐに進んでいき、やがて炎を大きく燃え上がらせて消失した。
「そもそも神通力で発生した事象には『質量』が無いものも多い。私の黒い炎もそう。だからそもそも『投げる』ということはできないの。動かせるだけでね。もちろん振りかぶるような真似事はできるけど、隙を作るだけだからあまり意味はないかしらね。そもそも移動させるのも手間でしかないから、狙ったところに発生させるのが効率的ね。」
先ほど炎が消失した位置、空中に突如として黒い炎が大きく燃え上がる。
「なるほどね。にしてもやっぱり姉さんの力はすごいね!不意打ちが決まったら勝利が確定じゃないか!」
「ふふっ。ありがとうユウ君。確かに私の力は不意打ちで使えばとても強力よ。まぁ速度はあまり出せないから、バレた時点で嫌でも近接戦闘になってしまうけれどね。」
「そうなったら俺が姉さんを守るよ!」
「期待してるわね、ユウ君。」
姉さんは優しく微笑んだ。
はー、かわいい。
「それで、遠隔で操作したり発生させるには何かコツみたいなのはあるのかな?」
「そうねぇ…やはり大事なのはイメージかしらね。離れたところで力を使うには、その座標に神通力を送る必要があるわ。ユウ君から見ればさっきの炎は急に空中に現れたように見えると思うけど、私の身体から放った神通力をその座標に送って事象を発生させる…そうね、発生させるプロセスとしては今いる位置でのメールの送信と、受信先でそのメールを開く…みたいな感じかしら?ごめんなさい。私はユウ君ほど説明が上手じゃないから…。」
「いや、言いたいことはちゃんと伝わったよ!姉さん!それじゃあ悪いけど、小さくてもいいから炎を出して貰えるかな?手の上で。遠くから消す練習をしてみたいんだ。」
「もちろんかまわないわ。大きさを抑えれば長く付き合えると思うし、一緒に頑張りましょう。」
そう言って姉さんは手の上に拳程度の炎を出してくれた。
俺も姉さんからとりあえず3mほど離れてみる。
当たり前だが、この離れた位置では姉さんの炎の不思議な暖かみも、昨日散々触れて感じた神通力特有の感覚も感じられない。
昨日は直接触れることによって神通力の感覚を掴み、それを消すというイメージで能力を使うことができた。
ひとまずなんの捻りもせずに、姉さんの出した炎に向けて念じてみる。
『消えろ』
予想していたが、消えることはもちろん揺らぐことすらしない。
おそらくこれは俺が消す対象の神通力をしっかりと認識できてないからだろう。
視覚だけでは意味がないということだ。
まずはこの離れた位置から、姉さんの神通力を俺が正確に認識する必要がある。
とはいえ、それは容易ではないだろう。
神通力の感覚を掴んだのはあくまで昨日が初めてだ。
それも触れた上でのことだったので、ここまで距離が空いてしまうと正直まるで何も感じられない。
少しずつ距離を詰めていきながら何度も挑戦してみるが、一向に成功の兆しは見えない。
もう手を伸ばせば姉さんに触れられる位置にまで来てしまっている。
そうして俺が苦戦していると姉さんが再び声をかけてきた。
「流石のユウ君も苦戦しているみたいね。私も自分の炎を動かすのには半年くらいは掛かっていたもの。ただ離れた位置に発生させるだけでも1年程度。狙った位置に正確に発生させられるようになったのはつい去年の話。それも集中してないとまだ少しズレてしまうわ。神通力での能力は全てが自分の感覚に依存するの。完全に本人のセンス、感覚に頼るしかない。それを訓練によって鍛えることはできても、初めて力を行使する時の感覚は自分で掴むしかない。」
姉さんは少しドヤ顔な感じで語り始める。
かわいすぎるやろ。
あー、抱き締めてぇ。
「とはいえユウ君だもの。ひょっとしたらすぐにマスターしてしまうと思いもしたけど、流石に無理みたいね。」
ね、姉さんに、見限られた…?
呆れられた…?
「まぁ、そもそも1日で能力を発現させたこと自体が天才という枠にもとても収まっ…あっ!?ユウ君!?ど、どうして泣いているの!?」
「ごめんなさい姉さん…。無能で、申し訳ありません…。どうか見捨てないで…。」
「み、見捨てる!?何を言っているの!?私がユウ君を見捨てるわけないでしょう!」
その後、あまりに深いダメージを負った俺は姉さんに抱き締められながらしばらくダウンすることになった。
5分後、
「ユウ君は異常な鋭さを持っているから、きっとすぐにコツを掴めるんじゃないかって思っただけよ。変な言い方をしてしまってごめんなさいね、ユウ君。」
姉さんは先ほどの発言の意図を説明してくれた。
とりあえず姉さんを失望させたわけでないのならなんでもいい。
気を取り直すが、姉さんが少し気になることを言っている。
「鋭さ?」
「ええ。ユウ君はよくアカネの不意打ちを躱すじゃない?アカネにとってはほとんどお遊びのような物であっても、中には私でも絶対に避けられないような物もユウ君は回避してしまう。それだけじゃないわ。杏の不可視の衝撃も初見で避けてしまったのでしょう?それは離れた位置から2人の何かを感じ取ったのではないのかしら?それがもし神通力であればこの修行もそこまでかからないかもと私が勝手に考えただけね。だから焦る必要はないのよ。できないのが当然、普通なんだから。」
「……………」
なるほど。
姉さんは俺の力を知らないから、
俺が無意識に相手の神通力を感じ取って、危機回避行動を本能で取っている
という風に解釈したのかもしれない。
実際にそうであったならすごく簡単だった。
視線や感情と同じように、神通力を感じ取ることができればぶっちゃけ効果範囲は300mはあるだろう。(調べたことはないが)
そもそも意識してやっていることですらないしな。
しかし、そこで思い直す。
否、考え方を変えてみる。
意識してやってみたらどうなるのだろうか?
普段はこの力に辟易しているだけだが、駅の時の危機的状況やメグとの初対面時などは、この力にも助けられている。
この力と向き合う時ではないのだろうか?
今までは平凡な学生生活の中で、ひたすら鬱陶しいだけのものであったが、これからの未来を想定すると戦闘を行う場面というのが必ず出てくるだろう。
よくよく考えればこの力は戦闘にとてつもないアドバンテージを発揮する。
神通力の無力化に加えてこの力もマスターすれば、それこそアカネすら相手取れるようになるかもしれない。
俺が使い方を分かっていない…分かろうとしなかっただけで、実際は神通力だろうが何だろうが知覚できる可能性だってある。
俺が今まで神通力を知らなかっただけで、
力を知った今であれば…
「姉さん。俺に炎を当てるつもりで、こっちにまっすぐ炎を動かしてくれる?」
「?まぁ私の炎ならユウ君に当たっても無害だけれど。」
「できれば焼き殺すくらいのイメージで放って欲しい…けど、それは無理だよね。」
「無理ね。」
そりゃそうだ。
姉さんが俺を殺そうとすることなんてあり得ない。
そんなことがあるとするならば、それはもはや俺が死ぬべきなんだ。
姉さんに殺されるなら俺も本望だろうし、何も問題はない。
…まぁ意味のない妄想はやめておこう。
今は修行だ。
できるだけ攻撃的な意思があったほうが知覚しやすいのは間違いない。
杏の時などもそうだった。
初見の時も本気ではないとは言え、明らかに攻撃の意思を持っていたからこそ避けることができた。
しかし姉さんには俺に明確に攻撃の意思を持つことはできない。
であれば他の感情で分かりやすいものを。
要は意思が明確なら良いのだ。
「姉さん。ちょっと変なお願いかもしれないけど、聞いてくれるかな?」
「ユウ君を傷つけるようなものでないなら、勿論よ。」
そこは姉さんとしては譲れないのだろう。
嬉しい限りである。
「姉さんは俺を大事にしてくれてるよね。その気持ちを強く持ちながら炎を出してみてほしいんだ。」
「気持ちを強く持ちながら?」
「うん。変なお願いでしょ?でも、やってほしいんだ。それで修行を大きく前進させることができるかもしれない。」
「変なことなんてないわ。でも、私はユウ君を常に大事に想っているわよ?そう言う意味ではいつもと変わらないんじゃないかしら?」
「そうだね。だから今回はいつもより更に…例えば心の中で如何に俺が大切かっていうのを意識しながらやってみる、っていうのはどうかな?」
「ユウ君がそう言うならやってみるわ。それじゃあ…こういう感じでどうかしら?」
姉さんは微笑みながら手のひらで炎を発生させる。
次第に炎が揺らめいて左右に広がっていって、何かの形に…
「ハートだね。そんなこともできるんだ。」
「ええ。私はユウ君が大切で、大好きだから。その気持ちを込めて作ってみました。」
その言葉からは嘘偽り無い、若干の恥ずかしさと、とても強い愛情が感じられた。
その愛情の欠片を、姉さんの出した炎から探し当てるのだ。
姉さんに向いている意識を半ば無理やり炎の方に移していく。
目を閉じて姉さんの姿を排除し、炎だけを映し出す。
集中しろ。
ハートマークの炎には、確かに姉さんの『気持ち』が感じられた。
残滓と言えるほど儚いものであるが、確かにそこには愛情があった。
そしてその愛情をとりまく『ナニか』が。
いや、
俺はもう、それを知っている。
『消えろ!』
俺が念じると同時に、
かわいいハートは一瞬でかき消された。
5/8テコ入れしました
↓は過去の投稿時のものです
夜渡り
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