第70話 レディーレディーレディーレディーレディー!!!
「エストさんッ!」
「えぇッ! 来ますわねッ!」
オレたちは武器を構える。
「あはッ! お姉ちゃん! コイツら人間の国で武器なんて持ってるよッ! 珍しいねッ! レディー!」
「ええ、そうね。でも、私たちの敵じゃないわ。レディー!」
妹の方が面前に左手を構え、姉の方が面前に右手を構えて宣言する。
……なるほど。
「エストさん、『大風属性魔法』が二人分来ます!」
「了解ですわ! では、こちらは……! レディー!」
エストが唇に人差し指を添えて『極大光属性魔法』を宣言する。なるほど、相殺は狙わずに極大級魔法の力で押し切るつもりだ。
「「『大風属性魔法ッ!!」」
「レディー、『取出魔法』ッ!!」
「『極大光属性魔法』ッ!!」
オレも微力ながら光属性魔法を放とうかと思ったが……一つアイデアを思いついた!
「なッ!?」
「レディー、『極大闇属性魔法』ッ!! ……あっ!?」
姉の方が左腕で妹を抱えて飛び退き、極大闇属性魔法を放つことでエストの魔法を打ち消す……そしてこちらは取り出した『水晶の杖』で『大級風属性魔法』の一つを水晶に取り込み、即座に杖の頭の水晶を叩き、放出するッ!
「うわあああぁぁぁッ!!!」
放出された『大風属性魔法』に為す術なく姉妹は吹っ飛ばされるッ!
……よし、これで村の外に追い出せたな!
「追撃しますわよッ!」
「ええ! あっ、でもエストさん、『極大光属性魔法』は後で忘れずに宣言しておいてくださいね! レディー、『中上昇魔法』ッ!!」
「ええ、もちろんですわッ! レディー、『大上昇魔法』ッ!!」
相手は極大級の闇属性魔法使いだ。エストは突っ込みがちなところがあるので、意識してもらわないとな……今は最悪、『ユアーレディーゴー!』でなんとか出来るとはいえ。
「極大級魔法……アイツなかなかやるね、お姉ちゃん! レディー!」
「ええ、でもお姉ちゃんも負けていな……ッ! レディー!」
「ハアアアアアァァァァァァッッッ!!」
「『極大風属性魔法』ッ!! 二度もくらわないよッ!!」
「……くッ!! そちらも極大級魔法使いですのねッ!」
再び空から落下攻撃を試みたエストであったが、極大級の風属性魔法でオレの元まで吹き飛ばされる。
「『極大闇属性魔法』ッ!!」
「『極大光属性魔法』ッ!!」
そして彼女の着地の瞬間を極大級闇属性魔法が狙ってくるが、極大級光属性魔法で相殺する。
「……くッ! 決定打がありませんわねッ!!」
「あはッ! そうなんだーッ! それじゃあアタシたちの勝ちだねお姉ちゃんッ!!」
「ええ、そうね。暴れてやりなさい、ラピファッ!!」
エストの言葉を聞いて、姉妹が自信満々にそんなことを言う。
思い返せば、監獄塔に収監されているのは、『強力な特殊能力を持った者達』で……オレたちはまだそれを目の当たりにしていない。
「レディーレディーレディーレディーレディー!!!」
「……ッ!? き、『極大風属性拡散魔法』が五連続で来ますッ!」
「なんですって!?」
妹の方……ラピファが面前に左手を構えて宣言をするが、それはただの宣言ではなく、五連続で行われるものだった!
「『極大風属性拡散魔法』ッ! 『極大風属性拡散魔法』ッ!! 『極大風属性拡散魔法』ッ!!! 『極大風属性拡散魔法』 ッ!!!! 『極大風属性拡散魔法』ーッッ!!!!!」
「うわわわわ……っ!!」
弾幕系シューティング、というのにハマっていた時期があったのだが……今目の前で放たれたソレらはそんな記憶を思い起こすものだった。
その中でも、『どうやって避けんねんコレ』とツッコミどころしかないシンプルに殺意に溢れた弾幕で。
魔法耐性がある制服は先ほどのグリフォンキングの『極大竜巻魔法』によりボロボロになっている。
……結果論だがストレンスにこっちを任せた方が良かったかもしれない。
「上空まで隙間がありませんわね……! 飛んで避けるのも厳しそうですわ……! かくなる上は……ッ!!」
エストが槍を構える。
……まさか。
「……ハアアアアアァァァァァァッ!!」
彼女が槍を大きく振るうと、こちらに飛んでくる風魔法の一部が粒子となって消える。
これは、エイバーさんがやっていた……。
魔法を解く攻撃ッ!!