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君は!英雄に!!なりたいか!!?  作者: 奏会
第二章 クアド防衛戦線 ー赤の英雄は不倒也ー
8/9

2-5 予定外と想定内

アッシュから見たミズキ達への感想。

慕情と自身を顧みた時の挫折を感じた。

それでも己の使命はと領主の元へ走るのだった。

アッシュさんが領主へと直接行くと言ってすぐの頃だった。

元々狭い個室という事もあり残されたのはボク達だけ。

机が一つに椅子が向かい合わせで一つずつ。

ボクはその一つに座って二人の顔を眺めていた。

そこでかのえから「念のため化粧を施します」と言われてなすがままにされてる。


「それから姫様はわたくしが合図するまでローブは被っててくださいね」


目を閉じてるから表情までは見えないけれど何やら警戒してる?

アッシュさんからは変な感じもしなかったし、何も問題はないと思うんだけど・・・。

それはそれとしてかのえがそう言うのであればそうしておこう。

ボクでは分からない事もかのえなら分かると信頼しているからだ。


「それとバドロス。貴方も何があっても怒らないように」

「・・・かのえ様が仰るなら如何様にでも」

「いまは姫様が優先です。わたくしのことも落ち着くまでは同僚として扱いなさい」


んん?

かのえが警戒というレベルじゃないほど気にしてるってなに?


「ねえ、かのえは何か気になる事でもあるの?」


尋ねると「化粧がずれますのでお静かに」と窘められてしまうけれど、これはしょうがないんじゃないかな!?


「そうですね。心構えとして姫様にもご説明しておきましょうか」


そう言ってこれまでの兵士の様子や会話を聞いた中で領主はあまり親しまれていない様だと結論をつけたこと。

これは為政者と民とでは求めるものが違うから多少はしょうがないと思うんだけど、きっとそういう事じゃないよね。


「時間がありませんのでこの話は後ほど詳しくお話ししますわ」


最後にボクの頭を撫でて「終わりました」という。

なんだか前より過保護になってきてないだろうか。


ボクの準備を整えたかのえがまた後ろに控えて少しするとドアがノックされる。


「失礼します」


ドアを開けて入ってきた人は知らない若い男性だった。


「どなたが姫様とやらですかな」


おっとお、その言葉遣いはないんじゃないかな!?

これまでもそれなりに雑な扱いを受けてきた事があるボクでも驚いた。


「こちらに居られる方が姫様ですわ」


かのえは無機質な声で対応する。

ごめんなさい、うそです。めっちゃくちゃ怒ってます。


若い男はボクを見ようとしてローブを羽織っているのが気に入らなかったのだろうか。

眉間にしわを寄せている。


「顔もお見せいただけないとは大層な貴人なのでしょうな」


こちらを品定めするような視線を感じる・・・。

うわあ、すんごい気持ち悪い。

気持ち悪いさに硬直していると若い男性、いやもうコイツでいいや。

コイツは信じられない事を言ってきた。


「まずアーレスティアなどという国はない。つまり王族などというのはそこな娘の妄言であろう。お付きの方々も振り回されて大変ですなあ」


バドロスすてーい!

びーくーる、びーくーるだよ!


焦るボクはバドロスがコイツを斬り捨てるんじゃないかとひやひやしたがそんな事はなかった。

静かにただ静かに立ってるだけである。

でも絶対怒ってる。ぶちぎれてるよあれ。


「ご領主様は暇ではない。このようなお遊びはこれまでにして頂きたいですな。では失礼」


言うだけ言ってコイツは扉を少し乱暴に閉めて出て行った。

もーこの雰囲気どうしてくれるんだよおおお。


重い・・・ね、ねえかのえ、これどうにか


「ぴぇっ」


振り返らなきゃ良かった!

振り返らなきゃ良かったああああ!!


「バドロス、よく耐えましたね」

「はっ」

「姫様、すぐにここから立ち去りましょう」

「あい!」

「返事は、はい、ですよ?」

「はい!!」


かのえがこーわーいーよー!!


そんな風に嘆いているとまたドアがノックされる。

誰だよ、こんな中に入ってこようとしているやつう!

二人とも返事をしないからどうしようかと思っていると、再度控えめにドアがノックされる。


「申し訳ございません。アッシュですが入室の許可を頂けないでしょうか」


え、アッシュさん?

驚いているうちにかのえが承諾し、アッシュさんが部屋に入ってくる。

そして膝をついて頭を下げた姿勢になった。


「紋章官が非礼を致しましたことお詫び申し上げます」


紋章官ってさっきのアレのことかあ。

ボクの中ではそんなことよりかのえを何とかして欲しい気持ちでいっぱいである。


「更に非礼を承知でお伝えしなければならない事があります」


アッシュさんは淡々と必要なことだけを伝えてくれた。

いまの状態ではその心遣いが非常に嬉しい。

さっさと嫌なことは終わらせてかのえとバドロスのご機嫌を取らなければいけないからだ。


アッシュさんが伝えたかったことを要約すると、どこの馬の骨かも分からないのに付き合うのは煩わしい。

王族を詐称した事は見逃してやるからさっさと居なくなれということだった。


「分かりました。こちらとしてもこのような対応をされると考えねばならぬことがあります。早急にこちらから離れましょう」


かのえはそういってボクを立たせてくれる。

当初の予定より大きくずれちゃってるけれど、どうすればいいんだろう・・・。

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