6 クランで職を得たよ。
俺はギルドを出て、案内嬢に教えてもらった【クラン】に向かった。
ギルドが職安で、クランが派遣会社という感じなのだろう。
俺は前世の記憶が薄れていたので、自分に何が出来るか心配ではあったが、皆が親切なので『何とかなるのではないか』と感じていた。
街の出入り口から~大分離れた場所に【クラン】があったが、ギルドよりも小さい建物であった。
「こんにちは。ギルドから案内されたサンドだ。」と告げると・・
「へえ・・Gランクの15歳なんて、久しぶりに見たわ!」と、こっちの案内嬢が言う。
建物を見渡したが、特にクランだから質が悪いという感じは無かった。
「王都だとクランは多いのだけど、砦の街は人口も少ないのでクランは1つしかないのよ。」と言う。
「ドブ掃除、有害駆除、清掃、草取り、現場応援・・何でも屋ってところね!」
俺に何が出来るか?を聞かれたので、ギフトである【サンドボックス】を見せるが・・
「砂場?」と言って20歳位のクラン案内嬢はサンドボックスの砂を手ですくっていた。
「土だったら【焼き物】に使えるし【レンガ】にもなるのでしょうけど・・建設現場?でモルタルの骨材に混ぜるには良いかもね・・」と乗り気では無い雰囲気であった。
俺は「俺の砂は【塩分ゼロ】だし【翌日には補充】されるし・・コンクリートに混ぜると強度が増すと思う!」と言うが・・
「コン・・なにそれ・・たしかに【毎日補充】と言うのは魅力でしょうけど・・集合住宅を建て替える需要も無いので、今日は【ドブ掃除】お願いね!誰もやりたがらないのよ~」と、木製のスコップの様な道具をわたされたのだった。
<新入り!この桶をサンドボックス内に『収納』してくれ!> 「へ~い。親方!」
俺が神からいただいた【ギフト】であるサンドボックスは・・「翌日には【元通り】なんだろう?じゃあ汚れても臭いがしても回復するんだよなあ!」と言われ・・
<ドスン ドスン>と汚物や泥がタップリ入った桶を収納するハメになったのである。
異世界では『力仕事は半日~準備が半日』と言う感じであり、<全力を出しきれ!>と言う働き方では無かった。
前世での働き方は記憶に無いが、異世界の仕事方針の方が正しい気がしている。
「本当に馬車を出さなくていいのか?」と親方に言われたのだが・・「はい。汚物桶についてはオレのサンドボックスに収納しているので、午後から歩いてダンジョンに置いてきますね。」と告げる。
親方は「桶だけは持って帰ってくれよ。」と言うのだった。
門番に理由を告げ <スタ~スタ>と、北に向かって草原を歩いていると、ダンジョンの入り口に付いた。
砦の街の北方は全て10メートルから30メートルもの【絶壁】であり、奥には森と山が連なっていると聞いた。
ダンジョンに着くと【4メートル四方】位の土で出来た入り口が1つだけの普通の洞穴だった。
しかし中から・・<兄ちゃん【使える剣】があったよ!>と言う子供が聞こえて来たので入ってみた。
小さい子供が数人、廃棄物をあさっていた様子であった。
「「誰だ!」」と、子供達が俺を見て警戒したので、俺はギルドカードを出して「ドブさらいの仕事をしているGランク冒険者サンドだ。」と告げる。
「おまえ幾つだ!」と10歳位の汚い子供にタメグチで年を聞かれても、俺は平気だったので<俺は前世では何歳で死んだのだ?>と今更不安になる。
子供達によれば・・「穴が一つだけだから、ゴミは入り口近く。死体は中間。汚いものはず~っと奥だよ。」と言う話だったので、俺は石で出来た洞穴の奥に行く。
<ゾロ ゾロ>と、興味深々の子供が後を付けて来ていた。
おれはワザと「サンドボックス!オープン」と叫び、ドアを開けて中に入る。
ドアを開けっぱなしにしておくと、外から見える様で・・
「すげえ!空間魔法だ・・」「でも狭い。」「臭いわ・・」多くの意見を背に・・
<ヨイショ!>と言いながら、汚物が入った桶を外に引きずり出すと・・<ザバーン!>とダンジョンにぶちまけた。
「逃げろ!臭いぞ!」「キャア!」等と男女の幼児が入り口に逃げて行った・・すると・・