5 冒険者になったよ。
<ピカ~チュウ!> 俺の胸が光輝いたので、着ていた【異世界の村人服】をはだけてみたら・・【黒十字】の宝石の様なものが埋め込まれていた。
神様は・・「それは【コア】じゃ。壊されるとダンジョンと共に【お主】も昇天することになる。それに・・【サンドボックス】についても【色々】と追加しておいた。」と言うと消えて行ったのだった。
教会から出て来た俺に、シスターは「祈りは終わりましたか。」と声をかけたので、俺は「神様から【調整】していただきました。」と答えた。
「よかったですね。個人の【スキル】については聞きませんが、砦には冒険者ギルド・魔術師ギルド・錬金術師ギルドの支部があるので、貴方の【スキル】に合ったギルドに登録すれば、仕事が貰えますよ。」と教えてくれたのだった。
俺は、教会を出ると小声で・・「ステータス。」と言い確認すると・・
++++追加・調整後のスキル+++++++
ジョブ: 【不死王】(上級職)
ギフト:【サンドボックス(下級)】
++++++++++++++++++
と言う風にステータスが上昇していたのであった。
俺はすぐに教会の敷地を出て~シスターに聞いた【冒険者ギルド】に向かった。
<カラン カラン>と鳴る両開き戸を開け~中に入るとそこは旅館・ホテルのロビーの様な感じであり、入り口付近の右が【食堂】で、左が【フロント】という造りだった。
俺はすぐにフロントに行き、窓口に居る案内嬢?に声を掛けた。
「すいません。加盟したいのですが?」
質問する俺を見た案内嬢は・・「あなたは商人ですか?」と聞くので俺は・・
「いいえ。アッチ村が盗賊に襲われて逃げて来た村人です。先ほど15歳の【成人の儀】を受けたばかりですが、冒険者を生活の主軸にしていくつもりで来ました。」と真面目に話すと・・<クス クス>という笑い声が、案内嬢の奥のフロントから漏れ聞こえ・・
<プフッ!主軸?ってどういう意味>と言う声が、隣の受付コーナーから聞こえたのだった。
「プッ・・ごめんなさいね!あなたの言い回しが【丁寧】だったので、商人じゃあないかと皆が思ったのよ!冒険者ギルドでは基本【敬語】は使わない事にしているのよ。上下関係が盗賊にバレると【上級者の命が狙われる】からなのよね。」と教えてくれたのだった。
「ああ~俺がまちがっていた、普段どおりに話すよ。」と素直な俺に、案内嬢は好感を持ってくれた様子であった。
ちなみに冒険者ギルドについてのチュートリアルだが・・
〇 国を越えた互助会であるが、現実には貴族や領主が戦力として活用している
〇 ランクは通常E~Sまであり、カードで身分を保証している。
〇 辺境では子供が働く機会が多いのでG・Fというランクを付けて死なない様に仕事を割り振りしている。
〇 仕事内容に応じた【クラン】が存在し、低ランク冒険者はクランから個別に仕事を貰う事が多い。
〇 ダンジョンは魔素によって【動いて】いるので、死体・廃棄物・汚物を搬入する仕事が多い。
という、簡単な説明と共に【Gランクギルドカード】を貰う。
「依頼は掲示板に【ある】から・・」と、言われ、壁の方に歩いて行くと【黒板】にチョーク】で依頼が記載されており~下に木枠に記号が描かれた【木の板】がぶら下がっている。
黒板には【常設依頼】と【特別依頼】がある様で、俺のランクでは【常設依頼】の中でも・・『街中に限る』らしい。
低レベルでは、魔物退治など危険でやらせてもらえないのだろう。
俺は【清掃用務】の札を取り~その場所に【自分の名札】を下げた。こうしておけば「冒険者サンドは現在依頼の対応中」と分かるからだ。
言い忘れたが、俺は自分の名前を『サンド』と書いた。始めは間違って・・『NO LIFE KING(不死王)』と書いてしまい「しまった!」と思ったのだが・・
案内嬢からは「プフフ・・可愛い!私の弟も、あなた位の年には『ドラゴンスレイヤー』と言っていたっけ・・フフフ」と笑われた。
明日中には、ギルド内で『中二病患者が現れた!』と、噂になることだろう。