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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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99 無口少女と星2.5映画

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「ごめん、水無口のさん待った?」


待ち合わせの目印となる時計台の前に立つ水無口さんに手を振ると、小さくではあるけれど、手を振り返してくれた。


(優よ、すまないな昨日の今日で)


俺が今日、ここにいるのは、昨日ばあちゃんの家から、こっちへ帰ってきた時、水無口さんから、映画に行かないか、という誘いのメッセージが来ていたため、ここにいる。


「別に大丈夫だよ。タイミング的にも」


ばあちゃん家にいたら、断ってたとこだけど、ちょうどこっちに帰ってきてて、暇人だったからここに来れている。


「それで、映画って何見るの?」


何気に水無口さんから誘っできたけど、何を見るかは聞かされていない。


(そういえばそうだったな。実の所、我は普段あまり映画は見ないのだが、原作を読んでいる本が映画化されると聞いてだな)

「水無口さん、その本結構好き?」


わざわざ映画を見に来るくらいだ、原作の本のことを結構気に入ってるんだろう。


(原作は、わくわくするいい話なのだが)


途中まで文字を書いた水無口さんの顔が、少し曇ったような顔になった。


(実は、映画が待ちきれなくて、軽くレビューを見たのだが、評価が低くて不安だ)

「それはそれは……」

(まあ、そういうのも映画のだいご味というものだろう。楽しむとしようじゃないか)


評価に関して、不安はあるみたいだけど、水無口さんなりに割り切れているみたいだ。


(とりあえず、劇場へ行くとしよう。時も頃合だからな)


水無口さんと、今のところの冬休みの思い出を語らいながら、最上階にある映画館へと登っていく。


移動中に軽く、あらすじを聞いたところ、いつも通り水無口さん好みの、ドラゴンと剣のファンタジーものと言った感じだ。


とは言っても、普通に内容は面白そうではあるんだけど。


「水無口さんフードどうする?」


チケットを買って、上映時間が来るまで時間があるため、水無口さんに問う。


(我はポップコーンは全て食べきれないから、ドリンクだけ買おうかと思ってるぞ)


水無口さん少食なんだな。それに関して言えば、見た目通りという感じではあるけど。


「それじゃあさ、2人でわけない?」

(シェアか、別に構わないぞ)


ちなみに俺映画の時、絶対にポップコーンを食べるかと聞かれると、どちらかと言えば、チュロスとかの方が好きだけど、期間限定ペアセットというものを見つけたからそれを水無口さんに提案した。


「ご注文はいかがなさいますか?」

「えっと、ペアセットで」

()()()()ペアセットですね」

「お、ふーん」


どうやら、俺の都合のいい頭は、カップルという単語を落としていたみたいだ。まあ、特段カップルの証明は必要ないだろうし、ここは無視しよう。


「ところで、彼女さんは……」

「ああ、少々お待ちを」


どうやら、店員さんの方からだと、身長的に水無口さんが見えないようで、水無口さんに許可を取ってから、水無口さんを持ち上げ、店員さんに見せる。


「はい、確認しました。では、ドリンクと、ポップコーンの味をお選びください」

「じゃあ、俺はコーラで。水無口さんは?」


俺がドリンクを選んだあと、水無口さんに聞くと、宙に浮く水無口さんは、静かに紅茶の方に指を指した。


「ポップコーンは、いかがなさいますか?」

「それじゃあ、塩&キャラメルで」


水無口さんの好みわかんないし、これならいい感じだろう。俺は基本気分で決めるから、どっちでもいい。


「いやー、まさかカップルメニューだったとは」

(我らが通ったと言うことは、我らはカップルに見えたようだな)

「それはどうだろ、水無口さん身長低いから、兄妹に見えたけど、店員さんの良心で通った可能性あるし」


まあ、実際の話こういう系は、店員さん脳死で答えてるだろうから、そこまで考えてないだろうけど。


(そうか、その可能性の方が、高そうだな。我は、平均に比べ大幅に身長が低いからな)


そう書いた水無口さんの顔は、明らかに落ち込んでいるように見える。つまり、水無口さんは身長を気にしていたみたいだ。


「い、いやでも、俺と水無口さん顔似てないだろうし、前者の方が確率的には高いんじゃないかな」


そう、きっとそっちの方が確率は高いはずだ、さすがに兄妹なら、多少なりどこかが似るはずだし。


(そうかもしれないが、我はたまに小学生と間違われるから、あちら側には優が、小学生が好みのように見えたかもしれないな。すまない)


まずいな、フォローを入れたはいいけど、水無口さんが落ち込んだままだ。


「ま、まあ他人の評価なんてどうでもいいでしょ、大事なのはこっちがわかってるかだし」

(そうか?)

「そうそう。だって、他人からは異常に見えても、当人たちには、それが真実の愛なんてことはあるでしょ?」


ただ、そこに法律等が邪魔してくるだけであって、当人たちはそれが最高なんだ。だから、本人たちが良ければ、わかってればいいはず。


(それは、一理あるな。すまないな、気を使わせてしまって)

「いやいや、俺も何も考えずもの言っちゃったから」


よかった、必死のフォローの甲斐あって、水無口さんが少しは元気になってくれて。映画前に、気分だだ下がりにさせるとこだった。


「3番スクリーン入場開始致します」

「お、俺たちだ行こうか」


水無口さんの気分が復活したタイミングで、アナウンスが入って、俺たちのスクリーンが開放された。



「さあ、勇者私にあなたの聖剣を」


ふむ、急に濡場が来たな。映画は、実写映画。ストリーは、読んでない俺でもいいと思えるくらいには面白い。


ただ今の濡場は、本当に原作にあるのか?水無口さん、そういう系は読まなそうだけど。というか、濡場の文言がネタっぽいのはなんなんだ。


「あ、ごめん」


スクリーンに集中して、ポップコーンを取ろうとしたら、水無口さんの手と触れ合ってしまった。


それついでで、水無口さんを見たけど、やはりそういうシーンには、慣れていないのか手で視線を騙し騙し見ている。



映画が終わったあと、特有の静けさが広がっている。俺はこういう時、拍手がしたくなって仕方がない。いい映画だと特に。


まあ、今回はいいかな普通に。


「それじゃあ、行こうか水無口さん」


明るくなった劇場で、伸びをしながら水無口さんに話すと、うんうんと頷いて軽い片付けを始めた。

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