97 太陽の光の届かない場所で
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「……くん、ゆ……くん起きて」
遠くから声が聞こえる。それと共に、俺の体が揺れている。揺れてる強さ的に、言うのであれば揺さぶられている。
「ん?ああ、ごめん寝てた?」
声の通り、目を開けて温かみのある方を見ると、浴衣姿の綾ちゃんが居る。
「着いたよ、神社。優來ちゃんも、起こしてもらっていい?」
「ああ、OK」
まだ、あまり頭が覚醒しきらないけど、綾ちゃんに言われて優來の体を揺さぶって起こす。
「お兄……着いた?」
「そうみたい、だから起きろ」
欠伸を出しながら、優來を起こす。
「全員起きたな、じゃあ行くか参拝」
父さんに言われて、全員車から降りて、神社の方へ歩いていく。
起きたばかりの俺と優來は、まだ少し眠くてフラフラとしている。
「そういえば、綾ちゃんはずっと起きてたの?」
俺がどのくらいのタイミングで寝たのかは分からないけど、綾ちゃんは約1時間の間ずっと起きていたとなる。
「あたしも少し寝ちゃったよ、起きたのはここに着く10分前くらいだけど」
「そう考えると、父さんすごいな」
運転がどれくらい眠くなるのかは知らないけど、眠気に耐えて、ずっと運転してたのは普通に尊敬する。
その眠気の耐久力には、綾ちゃんのお父さんも一役買ってたのかもしれないな。
「見えてきたな、神社」
「人すご」
駐車場から、歩いて見えてきた神社には、たくさんの人が並んでいる。しかも、超長い列で。
「今からこれ並ぶぞ」
「まじで言ってんの?」
この列の人の多さは、デデニーランドの人気アトラクションより、並んでると思うんだけど。一体所要時間は、何分になるのだろうか。
「この時間帯は、人多いってよくニュース出みるけど、実際に見ると印象変わるな」
「感慨にふけってる場合じゃないでしょ」
これに並ぶなら、早く行こうと父さん達を急かして、初詣の列に並ぶ。
まじで、参拝する頃には、何時になっているのやら。
「そういえば……」
時間と思って、スマホを見ると、既に24時を回って歳を越している。
「綾ちゃん、あけましておめでとうございます」
「ん?ああそうか、あけましておめでとうございます」
どこか遠くを見ていた綾ちゃんに、新年の挨拶をすると、少しびっくりしたような反応をしてから挨拶を返してくれた。
「優來も、あけましておめでとう。受験頑張れよ」
「あけおめ……」
優來にも新年挨拶をしてから、父さんと綾ちゃんのお父さんにも挨拶をして、お年玉をせびっておいた。
「ようやくだね」
列に並び始めて、2、3時間たっただろうか、ようやく参拝する本殿が見えてきた。
「時間かかりすぎじゃない?」
「それな、父さんも飽きてきた」
俺たちを連れてきた張本人が飽きてどうするんだ。
ていうか、ここから日の出見て、また1時間ぐらいかけて家に帰るって、時間を無駄にしてる感すごい。
「ついに、お参りできる……」
さっきの位置から、少し進んでついに賽銭箱の前にまで来た。
そこまで歩いてもいないはずなのに、少し生きが上がってきているのは不思議だ。
「ほれ、優、5円」
「5円か……」
いい縁なら、今年沢山であったし、しばらくいいんだけど。
「まあいいか」
父さんに貰った5円を、賽銭箱に投げ入れ一礼二拍手一礼をする。
もちろん俺が願うのは、優來の受験合格と、俺の貞操と体の健康だ。
「皆願ったな、じゃあ日の出を待つか」
空の色は、まだ黒いけれど、少し太陽の光が混じって真っ黒という程では無い。多分、あと少しで日は出てくるはずだ。
「ゆ、優くんは、何を願ったの?」
「俺?まあ、無病息災かな。綾ちゃんは?」
「私は……願い事言うと、叶わなくなっちゃうし」
じゃあなんで俺に聞いたんだ。
「じゃあ、優來は?」
「パス」
ふむ、俺の願いが叶わなくなったかもしれないな。
「甘酒とおしるこどっちが良い?」
上がってきた道を逆走していると、おしること甘酒の出店を見つけ、父さんがどっちが良いか聞いてきた。
「俺は、甘酒で」
「私も」
「綾はどうする……て、どこいった?」
綾ちゃんのお父さんが、綾ちゃんに聞こうとしたら、綾ちゃんが居なくなっていた。
「綾!」
綾ちゃんが消えてすぐ、心配になったお父さんが周囲に大声で呼びかける。
「見つけた。俺、行ってきます」
綾ちゃんが消えてから、周囲を見渡すととぼとぼと歩いて、曲がり角を曲がる綾ちゃんを見つけた。
一瞬見えた綾ちゃんの顔は、少し火照っていて、何かに魅入られたような顔をしていた気がした。
♦
「ここは……別の社?」
綾ちゃんの後ろを着いていくと、人気がないけれど、本殿ぐらい大きく、綺麗な社にたどり着いた。
「えっと、綾ちゃんは……」
社に近づいて、綾ちゃんを探すと、綾ちゃんは何かを願うのではなく、社の裏の方へ歩いていっている。
「ここ……力……」
「綾ちゃん?」
「ゆ、優くん……」
社の裏に行った綾ちゃんは、何故かその場でしゃがみこんで下を向いている。
「大丈夫?体調悪いなら……」
「大丈夫、大丈夫だから近づかないで」
「近づかないでって、言ったって、急にしゃがみこんで、それに声もちょっとって感じだし」
俺に近づくな、と言う綾ちゃんの声は、何か耐えて、苦しそうな声をしていた。
「ほ、ほんとに大丈夫だから。あと、少しで……っ!」
「顔、すごい熱いじゃん。これ、風邪でしょ」
綾ちゃんが心配になって、おでこを触ってみると、案の定すごく熱い。
でも、体調が悪いにしても、こっちに来る意味はない気がする。
「あ、もしかして吐きそう?」
さすがに人の前で吐く訳には行かないだろうし、それなら今下を向いてるのも納得がいく。
とは言っても、社の近くで吐くのは罰当たりにも思えるけど。
「うん、吐きそうだから、ちょっと歩くの手伝ってくれないかな?」
「?まあ、いいけど」
綾ちゃんそんなに、気持ち悪いのか。歩けないほどの、気持ち悪さがあるのか真偽不明だけど、綾ちゃんが言うのだから、そうなのだろう。
「じゃあ持ち上げるよ」
「うんお願い」
下を俯いたままの綾ちゃんに、肩を貸して、持ち上げる。
今見える綾ちゃんの横顔は、熱さの割にあまり赤くは無いし、体調が悪そうには見えない。
「綾ちゃん、我慢とかしてないよね」
「我慢?する訳ないじゃん。バーカ」
「え?イタ!」
俺の方に腕を回していた綾ちゃんは、俺をバカにする声を出したかと思えば、俺を思いっきり社の壁へ押し壁ドンで俺の逃げ道を塞いだ。
そして、壁ドンで逃げ道を塞いだと思えば、今度は俺の腕を壁に当て、俺が逃げれない布陣が完全に作られてしまった。
「綾ちゃん、そのこれは?」
「何言ってんの、決まってるじゃん、マーキングでしょ?」
「ま、マーキング……」
マーキングつまり、俺を襲うと。今、ここで。
だとしてもおかしい、今日の月は月の初めも初め、月は完全に隠れている。満月から1番遠いいはずなのに、綾ちゃんは呪いが発動して、発情している。
「ん?逃げようとしてるの?無理だよ、だって私今超調子いいんだもん」
呪いの力が半減している綾ちゃんなら、俺の力で押し返すことが出来るけれど、押し返すことが出来なかった。
つまり、今の綾ちゃんは呪いが完全に発動してる状態になる。
とは、言っても俺は今の綾ちゃんを信頼している。もちろん俺の、貞操が守られるという意味で。
「んん?なるほど」
「あの、綾ちゃんさっきからなにを?」
あきらめもとい、綾ちゃんを信じて気持ちを落ち着かせて待っていると、綾ちゃんが片手で浴衣の胸元をいじっている。
「帯が邪魔で、浴衣脱げなくって」
「あの、呪いを耐えるとかいうものは……」
俺が落ち着いて、綾ちゃんの行動を見守っていたのは、前に俺の帰り際に言われた、呪いに対する強い決意があったからだけど、今の綾ちゃんからは、超その姿勢が見られない。
「逆に優くんに聞くけどさ、超超超好みドストライクの子が、目の前で誘惑してきたら耐えられる?」
「確かに……」
綾ちゃんの言うことは、説得力が超ある。すごいわかる。とてもわかる。
「でしょ?据え膳食わぬは男の恥ってね」
「よく知ってるね……」
俺は綾ちゃんを誘惑した記憶は無いけど、綾ちゃんの言わんとすることはわからなくはない。
「そもそも、私言ったでしょ、近づかないでって、それを守らなかったのは優くんなわけだし」
あんな、苦しそうな感じだったのを、心配するなという方が無理があると思う。
「あ、帯取れた」
「ちょ……」
難航していた帯が取れたみたいで、取れた帯が地面に落ちた。
「大丈夫だよ、まだ見えてないから。もう1個紐あるの。ごめんね、焦らしちゃって」
「求めてないです」
とは言っても、俺の貞操が危ないとはいえ、絶妙に気になるぞ綾ちゃんの下着。
そこんとこ、男の性が憎い。
「じゃーん。ごかいちょー」
今は、目を閉じてるからわからないけど、どうやら綾ちゃんは、完全に浴衣の紐を取り、前を開けたみたいだ。
「優くん、目開けて」
「いや、それは」
「いいから、ほら」
「ちょ、ちょ……おう」
綾ちゃんに無理やり右目の上まぶたを開けられて、綾ちゃんの白色の下着が目に入った。
「触る?」
「遠慮しときます。遠慮しときます!」
1度断ったら、何も言わずに片手が解放され、綾ちゃんの胸の元へ近づけられていく。
「だから暴れないで!また、絞めとされたいの?」
「いえ」
ここで絞め落とされるのは1番マズイ。それなら、巨峰を触る方が、まし、と言うよりかは最高だ。
「本当は、着ないか迷ったんだよ?」
「シラフで?」
「シラフで」
なんで、シラフでそこを迷ってるんだ。もしや綾ちゃん、元からそういう素質があるな。
「まあ、さすがにやめたけどね。でも、今は少し後悔してるんだ。まあ、外せば変わんないけど」
「一旦、休憩しません?」
とりあえず、逃げる方法を考えよう。今の綾ちゃん服装の綾ちゃんなら、人目がある場所に逃げれば、逃げれ……なさそうだな。
なんなら、普通に来そうだし。それ以前に、身体能力的に俺が逃げ切れるかが微妙なとこだ。
「どうやって、マーキングしようか。このまま押し倒すか。それとも壁を使って……」
「俺は、皆のとこに戻りたいな」
「皆の前で?もう、優くんってばエッチ❤」
余計なこと言ったら、変な解釈で俺が露出狂扱いだよクソ!
「迷うなー、どれも良さそうだし。優くんは、どれがいい?」
「キリスト教かな(婚前交渉禁止)」
「宗教の?それって……そうとう❤良さそうだね」
ダメだ、意味がわかっていない。十字架を使って、狼男って撃退できないのかな。
「もう、いいや。じれったい、やっぱ流れのままだね」
「初めてなんだし、じっ、くり……」
流れのままと決めたらしい綾ちゃんは、俺のことを思っいっきり抱きしめた。
顔は巨峰で息ができない、そして体は締める力が強くて、痛いし苦しい。いい感触と、痛みが一気に来て、感覚がバグりそうだ。
「こんなことしてないで、優くんも服脱ご?」
「俺は脱衣と言うより、着衣派……」
「ささ、脱いで脱いで」
俺の話を聞かずに、上着のジッパーを下ろされ、靴も脱がされ足りと、どんどん俺の体の防御が減っていく。




