92 冬休みの予定と浴衣写真
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「それじゃあ、お前ら冬休み中何も問題起こしたり、巻き込まれるなよ、こっちが面倒だから」
明日から冬休みということで、終業式が行われた今日。
先生が最後に問題に巻き込まれるな、という半分運ゲーなお願いをされつつ、HRは終わった。
にしても、もう1年か初めの頃が懐かしい。にしても、今年の1年は、受験期間の時と同じくらいか、それ以上に大変だった自信がある。
それは、ある意味濃い1年だったとも言えるけど。
「ようやく1年経ちましたね」
「俺は、そこそこ早く感じたよ」
今年あったことを思い出すと、とても感慨深い。体育祭に文化祭、夜這いに食われかけたり、ストーカーもされたし、薬も盛られたな。
今年の思い出、後半がめっちゃ汚れてる気がするのは、気のせいだろう。
「刈谷さんは、年末どこか行くの?」
「私は、毎年祖父母のとこへ行きますね。たまに旅行、行きますけど。優くんは、どんな感じの予定ですか?」
「俺も同じ感じかな、今年は優來の受験あるから、少し忙しいかもだけど」
そうか、優來の勉強量もうちょい増やさないといけないのか。て言っても、優來は物覚えがいいから、勉強の進捗はいい感じだし、増やすと言ってもそこまで増やさなくて良さそうだけど。
「佐藤さんは?」
「私?私は、自分の家かな?特に親戚の集まりみたいなのは無いし。おばあちゃんのとこ行くけど、そこそこ近いしね」
「へー、佐藤さんは寝正月なんだ」
最近は親の実家に行かないみたいなのも、珍しくないし、そこまで驚きはしないけど。
「あ、でも初詣は行くよ。毎年、初愛佳ちゃんと浴衣着て行ってるんだ」
「へー、初愛佳さんと……」
初愛佳さん言ったら悪いけど、あの見た目で浴衣着るんだな意外っちゃ意外だ。
でも、初愛佳さんどんな浴衣着るんだろうか。
「気になるな……」
「気になるの?」
「あ、口に出てた?」
あの、初愛佳さんがどんな浴衣着るのか、想像しかり予想をしていたら、口から出てしまったみたいだ。
「わ、私の浴衣気になるの?」
俺の口から出た言葉を聞いた佐藤さんは、少しばかり頬を赤くして上目遣いで聞いてきた。
「あ〜うん。佐藤さんのも気になるし、初愛佳さんのも気になるって感じかな」
それ以前に現代で、浴衣を着ている知り合いをあまり見ないから、誰でもいいから浴衣姿を見たいというのもある。
「それじゃあ写真、送ろうか?年賀状か、メッセージとか」
「お、いいの?じゃあ、送ってもらっていい?俺、初愛佳さんとは連絡先繋いでるから、初愛佳さん経由でもいいし」
ここに来て、前に交換した初愛佳さんとの連絡先が役立つとは。まあ、普通に連絡手段として、いつも役に立ってるけど。
「そ、その私からじゃ、ダメ……かな?」
「え?別にいいけど」
別に佐藤さんから、写真が来るのと初愛佳さんから来るのとで差は無いし。
「じゃあ、LIME、交換しよ?」
スマホの画面にQRコードを出して、少し恥ずかしそうに聞いてくる。
「全然いいよ」
佐藤さんの出したQRコードを読み取って、俺のLIMEに佐藤さんを追加する。
佐藤さんの連絡先を追加した瞬間、佐藤さんから「よろしくね!」というメッセージが飛んできた。
「あらためて、よろしくね」
メッセージを見たあと、佐藤さんの方を見ると口元をスマホで隠す佐藤さんが居た。
「私も送りましょうか?浴衣」
「刈谷さんも着るの?」
「はい、一応着てるんです。毎年」
普通に、刈谷さんの浴衣も気になるな。
「それじゃあ、送ってもらおうかな」
「いいですよ、浴衣正式な着方で送りますね」
「正式な着方?」
「優くんご存知ないですか?」
正式な着方と言われて、何となく1つ思い当たるのはあるけど……
「知らないんですか?下着、着ないって」
あ、やっぱそれだよねー。
「優くんに言われれば、やりますよ」
「刈谷さん、それどちらかと言うと迷信よりのやつだから、普通に着用して」
下着着ない、というのは時代背景的関係で、自動的にそうなった感じらしいから、正式な着方というのであれば、現代に合わせるのが妥当だろう。
「優くん、物知りですね」
「だから、とりあえずちゃんと着けてよ、倫理観的にも」
倫理観で言うと、刈谷さんはもうぶっ壊れてる可能性はあるけど、さすがにそこら辺はあるはずだ。この間の話的に、夜這いに関すること以外は、普通っぽいし。
「倫理観ですか……」
なぜかは知らないけれど、少し考える素振りをする刈谷さんだった。
「わ、私、梶谷くんがやってって言うならやるよ?」
「佐藤さん、話聞いてた?倫理観的にやらないでって」
そもそもの話、なんで現地にいないのに、下着なし浴衣の写真だけ送られてくるんだ。
まあ、この人着てないんだな、と考えれば少しそそらないこともないかもだけど。
「そ、そうだよね。ごめん、別のに気を取られてて……」
「別に、ちゃんと着てくれればいいけど」
なんで、本人たちが理性で止めずに俺が止めてるんだ。
「ついでで言いますけど、私のお母さんも着ますよ浴衣」
「その情報いる?」
別に人の親が浴衣を着ようと、へー、ぐらいの感想しか出ないけど。
「一応、お母さんも写真にはいる可能性が、あったので言っただけです。とりあえず当日楽しみにしておいてくださいね」
「まあ、待っておくよ」
いやー、同い年3人もしかしたら、追加で童顔人妻1人の浴衣写真来るかもだけど、楽しみだな。
「それじゃあ、俺は帰るよ」
「それではまた今度」
「じゃあね、梶谷くんまた来年」
これはたまたまかもしれないけど、佐藤さんは、冬休みの終わる来年また会おうと言ったけど、刈谷さんは言わなかったということは、もしかしたら俺のとこに来る可能性があるということだろうか。
まあ、考えすぎも良くないか。そもそも、俺が不用心しなければいい話だし。
「それじゃあ、また来年ね2人とも」
来年という言葉を強調しつつ、バッグを持って俺は教室を出た。冬休みの宿題は、ほんの少しで冬休みの間は、そこそこ遊ぶことが出来るだろう。
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「いや〜梶谷、ありがとな、きっと今日いい事あると思うから」
「んな適当な……」
クソ!運が悪い昇降口方向に歩いていたら、まさか先生に見つかって強制的にプリント整理頼まれるとは。
しかも、ほぼ何もお礼なかったし。強いてお礼と言えるのは、最後のよく分からない一言だけだ。
「ほんと、そこそこ適当だよなこの担ni、あれは……」
溜息をつきながら、職員室を出てすぐ、あくびをしながら、どこかへ歩いていく、恐らく青空さんと思われる人を見つけた。
HRからそこそこ経ってるけど、まだ残ってる人いるんだな。しかも、それが青空さんと来た、意外すぎるな。
「ちょっと見に行こ」
さっきのが本当に青空さんなのか、そして青空さんなら何のようなのかを確認するため、なんでわざわざここに来たのかを確認するため、さっきの青空さん(仮)の後ろを着いていくことにした。




