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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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82 お見舞い×2

2/2

「優!あんた大丈夫なの?」

「何も言わずにくるなよ、マスクしてないんだから」


初愛佳さんと電話越しで昼を食べたあと、ベッドの上でのんびりスマホを見ていたら、由乃が思いっきり扉を開けて入ってきた。


「そんなのどうでもいいでしょ」

「どうでもって、風邪うつると面倒だろ」

「でも、風邪がうつったら治るって言うじゃない」

「でもなぁ」


それだからって、自らかかりに来るやつもそうそういないと思うんだけど。


それに人に風邪をうつしたら、うつした張本人の俺が、お見舞いに行かなきゃ行けなくなるし。


「俺はお前に、風邪にはなって欲しくないんだよな」

「な、なによ急に」


由乃が風邪になると、もしもの時俺が由乃に起こして貰えなくなるから、由乃には健康でいてもらわないと困る。


「でも大丈夫よ、私対して風邪になったことないし」

「そうか、それなら安心だな。でも、もしもがあるし、急には入ってくるなよ」


まあ、長時間ノーマスクの俺といなければ、風邪はうつらないかもだけど。


「にしても、元気そうね」

「そこまで重くないからな。ほんとに軽度の風邪」

「なんだ、心配して損した」


そう小言を言いながら優來と同じように、俺の机の椅子を引っ張ってきて、足を組むんで座り込んだ。


「ひどいな」


とはいっても、損したってことはそこそこ心配してくれたんだな。


「にしても、よくお前俺が風になったの知ってたな」


俺が風邪になったのを知ってる人は、初愛佳さんか、俺と同じクラスの人くらいのはずだし。まあ、由乃が俺のクラスに凸したなら、別の話だけど。


「おばさんからさっき聞いたの」

「なるほど」


つまりは、さっき買い物に出ていった母さんが、帰宅途中の由乃に話したみたいな感じか。


「そう、とりあえずよかった。明日には復帰できそうね」

「そうだな、なんなら今からでも学校行けるぞ」

「もう終わってるわよ……」


由乃からの的確なツッコミを貰いつつ、俺はマスクをする。


「お昼は普通に食べたのよね」

「普通に優來に、食べさせてもらったぞ」

「優來ちゃんに?」

「優來に、あーんでな」

「あんた……」


俺の言い方の問題か、俺が優來にやらせたみたいに聞こえたのか、何かを言おうとして、辞めた由乃は俺をけいべつするような目をして見ている。


「違うからな、俺がやらせた訳じゃなくて」

「それはそれでどっちにしろじゃない」

「まあ、俺ら兄妹は仲が良いからな」

「仲が良すぎるのよ」


て言っても、昔から優來は母さんに甘えてくっついてたし、その対象が俺に変わっただけの話だろう。


「ところで、あんた汗は?」

「汗?」


風邪の時は汗かいた方がいいとかって、話のことかな。


「汗は、少しかいたな。昼食べてから少し寝たりしたし」

「へ、へー」


汗に関しては、由乃に言われないと気づけないレベルしかかいてないから、気持ち悪さみたいなのは無い。


だから、このままで大丈夫だと思う。


「そ、その汗かいたなら、拭いてあげようか?」

「いや、別にいいよ。そこまでかいてないし。それに、背中ぐらい自分で拭けるし」


今の俺はそこまでだるい訳じゃないから、別に1人で背中は拭ける。それに、腕もそんなに固くないし。


「い、いいじゃない。私がやってあげるって、言ってるんだから」

「そこまで言うならお願いするけど」


まだ、女子の背中なら分かる。でも、俺の背中に由乃が、やりたいと言うほどの、需要ないだろ。


「タオルは、洗面所にあるやつで大丈夫だと思う」

「わ、わかったすぐ持ってくるわね……」


俺の横に立っていた由乃が、俺の背中を拭くタオルを取りに行くために、1階へ降りていった。



「持ってきたわよ」


1階に降りていった由乃が、濡れたタオルと水を入れた風呂桶を持ってきた。


「お、おうじゃあお願い」


服を着たまま、由乃の方に背中を向ける。風邪か、状況のせいか、顔が少し熱くなってきた。


「服、脱がないの?」

「必要ある?」


別に服の下から手を突っ込めば、背中ぐらい拭けるだろう。下半身を吹くわけじゃあるまい。


「拭きにくいじゃない」

「えー」

「えー、じゃなくて。しょうがないじゃない」

「わかりましたよー」


由乃に言われて、しゃあなしぐらいの感覚で上の服を脱ぐ。今の俺の心には、少しの緊張の熱がまとわりついている。


「そ、それじゃあやるわよ」

「よろしくお願いしまーす。くすぐった!おい!」

「ご、ごめん」


由乃に背中を拭いて貰うのをお願いしたら、タオルではなく指先で背中をなぞられた。


「あんたの背中大きくなったなって、思って」

「そんなに大きいか?まあ、俺も昔と違って成長してるからな」

「あんたの背中見たのいつぶりだろう」


背中を見たのいつぶりって言い方は、特殊すぎるけど、実際どのくらいなんだろう。この間、水着を選ぶ時は、上は脱がなかったし。そうなると……


「あれじゃないか?小学生の時行った海」

「そうかも……ね」


俺と由乃、優來も居たけど、お互いの家族同士で行った海が、俺が由乃に背中を見せた最後の思い出だろう。


「それで言うと、私達が最後にお風呂に入ったのって」


なんで由乃の頭は、最後つながりでそれが出てくるんだ。


「まあ、それだと……多分、小2か、3じゃないか?」


いやーあの時の由乃は、今よりも落ち着いてて、まだ小さくてかわ……この先はやめておこう犯罪臭がする。


「風呂って言っても、俺は最近お前の体見たけどな」

「うるさい!」


この間の優來との風呂のことを持ち出すと、思いっきり背中を叩かれた。



「はい、これで背中終わり」

「ありがと、じゃあタオル貸して、前拭くから。って、なんだよ急に」


由乃からタオルを受け取ろうと、後ろを振り向こうとしたら、由乃に後ろから抱きつかれた。


「い、いや前もやってあげるわよ」

「さすがに前はいいよ」


背中で少し緊張があったくらいだ、前だとどうなるか分からない。まあ、少しはこの状況にも慣れたから、緊張度合いで言えば、同じくらいだろうけど。


どちらかと言うと、今の直で由乃の感触が伝わる方が、さっきより緊張する。


「優、心臓すごい早いわよ」

「たぶんお前もだろ、顔熱いし」

「あんたの体温が高いからでしょ」


確かに今の俺には、由乃の顔が確認できないから、由乃の緊張状態は分からない。まさにシュレディンガーの由乃って訳だ。


「ね、いいでしょ」


由乃にしては珍しく、いつもより近い距離でオネダリをしてくる。


「わかった、いいからそのハグをやめてくれ」

「う、うん」


まえを拭いてもらう代わりに、ハグの中止を要求したら簡単に離れてくれた。


「それじゃあ、拭く……わよ」

「はい、お願いします」


由乃と目を合わせた状態で、お願いをする。


シュレディンガーとは言ったけど、確認してみると由乃の顔もしっかり赤い。



「それじゃあ、帰るわよ」

「拭いてくれてありがとな。あと、風邪には気をつけろよ」

「うん、それじゃあ明日……」


由乃に前を拭いてもらったけど、少し気まずい空気が続いて、その空気のまま由乃はタオルと風呂桶を持って下へ降りていった。


正直今日の由乃は、由乃も風邪なんじゃないかってぐらい、バグってた。



「お兄、おやすみ……」

「おやすみ」


案の定、夜ご飯も優來に食べさせてもらってから、薬も飲んで優來は部屋から出ていった。



「優くん、優くん」


耳元で聞き覚えのある声が囁かれている。


「刈谷さん、今日は普通……じゃないけど、普通に来たんだね」


俺の上に乗る刈谷さんは、今日こっそり俺に夜這いをしかけに来た訳じゃなくて、普通に俺の名前を呼んでいる。


「何言ってるんですか、いつも普通に来てるじゃないですか」

「これを普通って言わないでよ」


今日、刈谷さんがここに入れた理由は何となくわかる、寝る前から少し体が冷えると思って今窓の方を見たら、換気のために開けてた窓がまだ開いている。


「でも、ほんとに珍しいね。俺を起こすなんて」

「はい、今日はそれを届けに来ただけなので」


上半身を起こして、刈谷さんの指した方向を見ると、俺の勉強机の上に紙が数枚置かれている。


「あれは?」

「今日配られたプリントですね」


それなら、明日で良かったのでは?


「授業プリントに関しては、私と佐藤さんで協力して埋めておいたので、安心してください」

「それは助かるな」


俺のために佐藤さんも動いてくれたのか、明日お礼言わないとな。


「にしても、わざわざプリントを届けるためだけに、来たの?」


それだと、刈谷さんに全く利がない気がするんだけど。


「はい、風邪の時は安静にするのが1番ですから」

「そこの良識はあるんだね」


なんでそれが分かるのに、夜這いのための不法侵入がダメだと分からないのかは、刈谷さんの倫理観に問いたい。


「別にプリントのためだけってわけじゃないですよ、好きな人といれる時間は、夜這いなくてもいものですから」


それなら、刈谷さんも十分ここに来る理由にはなり得るか。それだからって、なんで夜這いなのかは、本人に問いただしたいとこだけど。


「とりあえず今回は、夜這いしないなら降りて。お茶でも飲んで帰って。あと風邪うつるから1回離れて」


夜這いということもあって、刈谷さんとの距離がすごい近い。て言っても、ほぼ治ってるからうつる可能性は低いかもだけど。


「大丈夫ですよ、私体は丈夫な方になので」


どうやら、俺の周りには体が丈夫な女性が多いみたいだ。



「それでは、優くんまた明日」

「じゃあね、刈谷さん。送れなくてごめん」


今日も刈谷さんを家まで送ろうと思ったら、刈谷さんに止められたため、玄関で見送るだけになった。


「最後に、元気になるおまじないでもしましょうか?」

「おまじない?」

「はい、お母さんからの受け売りですけど」


それは少し気になるなつまりは、刈谷家伝統のおまじないということだろうし。


「じゃあ、お願い」

「そうですか?じゃあやりますね」


なぜか少し驚いたような顔をしてから、俺の方に近づく刈谷さん。


「大丈夫、多分元気になります」


少し背伸びをしてから、俺に抱き着いて耳元でよもや、おまじないとは思えないくらい曖昧な言葉をささやく刈谷さん。


「はい、おわりです」

「え?それだけ」


さっきのおまじないとは思えないもので終わりか。少しがっかりだな。


「はい。ほんとは、最後にほっぺに()()するんですけど、シますか?」

「いえ、けっこうです」


最後にキスって、刈谷さんお母さんにキスされたことあるんだ。


「それでは、こんどこそ帰りますね」

「じゃ、気を付けて」

「はい。あと最後に」


玄関扉に手を掛けた刈谷さんが、何かを思い出したのか振り返って口を開いた。


「さっきのおまじない、全部真っ赤な嘘なので、私のほっぺの初めても、唇の初めても残ってますよ」

「ゑ?」

「では、また学校で」


間抜けな声を出した俺を無視して、刈谷さんはそのまま、玄関を出て帰ってしまった。


そういうことか。だから刈谷さん、少し驚いたかおしてたのか。また騙された。今回は気づきようがないけど。

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