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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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77 ファミレスで

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うーん気まずい。


水無口さんと青空さんとファミレスに来たはいいけど、来てから30分経っているのに会話が全く弾まない。


水無口さんは、気まずさに耐えかねてか、ずっとちびちびコーヒーを飲んでいる。


しかも、1回入れてから、足しに行ってないせいで、さっきからずっと虚空を飲んでるし。


青空さんはと言うと、あくびしながら机に寝そべって、ポテトを食べてるし。


まあ、そこはいいとしよう。何より一番の問題は、4人席の片側に俺を真ん中にして、3人で座ってる事だ。


今の状況が異様すぎて、通り過ぎる人達がほぼ確定で2度見してから、通り過ぎていくのが問題だ。


「ゆうく〜んもう帰ろうよ〜」

「え!?帰るの?」

「だって〜、あまりにのんびりできすぎて、暇なんだもん。会話が少ないよね〜」

「う……」


青空さんに会話が少ないと言われ、あからさまに水無口さんが落ち込み始めた。


「ちょ、ちょっと待ってとりあえず、水無口さん1回飲み物入れてこようか」

「そうかい?じゃあ僕のもおねが〜い」

「おーけー」


青空さんのコップを受け取って、水無口さんとドリンクバーの所へ向かう。



「水無口さん、ごめんね無理やり連れてきおいて」

「あ……」


スケッチブックは、座席のところに置いてきているからか、またあたふたし始める水無口さん。


「水無口さん、スマホ」

「あ」


水無口さんに助言すると、ポッケからスマホを出してメモアプリか何かに、フリック操作で入力し始めた。


水無口さんは、フリック操作にあまり慣れていないのか、スケッチブックに書くのに比べて、少し遅い。


(別にいいのだ。優は、我がした願いを実現してくれたのだろう。会話ができないのは、我のせいだ)


水無口さんが悪いと言ってるけど、俺も乗りかかった船だし、何割か俺も悪いだろう。


「会話ができないって言ってるけど、忍さんとは初見一発目で喋れてたよね」

(彼女とは、なにかシンパシーを感じてだな)

「シンパシーか……」


忍さんと水無口さん、本好きって共通点があるからな。しかし、それだけでいいのか?


まあいいや、とりあえずそれはいいとして、水無口さん何かしら相手と共通点があれば、喋れるのかもしれない。


とは言っても、水無口さんと青空さんの共通点って、なんかあるか?


「とりあえず言えることは、青空さんは話してみると普通にいい人ってことかな。ただ、距離感は近いけどね」


2人の共通点と言われると、上手く出てこなかったけど、とりあえず言えることだけは言っておいた。


まあ、水無口さんは特段会話に関して、トラウマがあるって訳じゃないんだろうけど。



「ゆうくん、遅かったね〜。もしかして、僕のコップでも堪能したのかい?」

「普通に、何飲もうか悩んでただけ」


俺をからかうためニヤニヤ笑う青空さんの前にコップを置いて、さっき座っていた方とは反対側に座る。


「え〜、そっちに座るのかい?」

「そっち狭いから、この際ね」

「僕とくっついて、いつも見たくイチャイチャしないのかい?」

「いつもしてないでしょ」


俺が席に座ると、それに続いて水無口さんが俺の横に座りまた、コーヒーをちびちびと飲み始めた。


「そういえば、水無口ちゃんのコーヒーって、ブラックかい?」


意外も意外、青空さんから話題が飛んできた。しかも、他愛のない会話みたいなやつ。


「水無口さん頑張って」


俺は水無口さんがコーヒー入れるとこを見てたから、これがブラックかブラックじゃないか分かるけど、ここは水無口さんに頑張ってもらおう。


「…………」


コーヒーカップに口をつけて、その場で固まる水無口さん。


「水無口さん、コーヒー、コーヒー」


口をつけて固まっているせいで、飲もうとしていたコーヒーが、口から溢れてこぼれている。


「ちょっと?水無口さん!?」


コーヒーのことを指摘しても、全くもって動き出す様子がない。


「あはは、やっぱ水無口ちゃんおもしろいね」

「それはどういう……」


水無口さんの口から垂れるコーヒーを紙で拭き取っていると、いきなり青空さんが吹きだして笑い始めた。


「いや~、僕が話かけたときの反応がね~」

「悪趣味な」


俺をからかうために告白し続ける青空さんだ、全然水無口さんで遊んでいてもおかしくはない。


発想が悪魔的すぎるけど。


「ごめんね~いつも。でも、水無口ちゃんと話したいのは、本当だからさ~」


一応青空さんの本心は、水無口さんと友達になりたいなのか。


「にしたって、もっと別の方法なかったの?」

「僕にはこれしかないよ~。それか、ゆうくんが紹介してくれるなら、簡単かもね~」


青空さんはそういうけど、紹介だけで水無口さんが喋れるようになうかっていうと、微妙じゃないか?


「じゃあ、紹介を。こちらは水無口さん、好きな物は本。人との会話と近距離戦が苦手だから、青空さんは気を付けて」

「は~い」


正直青空さんの距離感は、根の部分だし信用できないけど。


「あらためて、よろしくね~水無口ちゃん」


少し時間もたって落ち着いたのか、コーヒーカップを机の上に置いて固まる水無口さんに、握手を求める青空さん。


「よ、ろ……」


ぎこちないけれど、青空さんの握手に応じて、青空さんと手を握る水無口さん。


「やった〜、じゃあゆうくん結婚しようか」

「なんで?」


水無口さんの握手と全く関係ないだろ。


「うそうそ、結婚はまだ早いからね〜。まずは、子供の人数からだね〜」

「それはもっと早いよ」


なんで、青空さんは段階をスキップしようとしてるんだ。


(汝らは一体どういう関係なのだ?)


ファミレスに来てからほぼずっと黙っていた水無口さんが、ついに筆を持って会話に参加してきた。


スケッチブックをこっちに向ける水無口さんは、緊張しているのか、目から下をスケッチブッでかくしている。


「僕たちかい?僕たちはね〜、婚約者かな〜。ゆうくんは、僕のフィアンセ。大好きだよ〜」

「ただの友達だから」

「も〜、つれないな〜」


なんで青空さんは、俺含めた3人ぐらいの時、結婚相手だとか、相手に勘違いされること言うんだ。


(どっちを信じればいいのだ?)

「俺」「僕だよ〜」

(優よ、ほんとに友なのだな?)


青空さんの言動の距離感がバカ近いからか、水無口さんの考えは俺よりだけど、半信半疑みたいな顔をしている。


「水無口さん、俺を信じて」

(わかった、信じるから離れてくれ)

「あ、ごめん」


水無口さんに顔を近づてけ、話すと顔と顔の間にスケッチブックだして信じてくれた。


「そんなに嫌かい?そこまで言われちゃうと、僕もさすがに傷つくな〜」

「別に青空さんと、付き合うのが嫌って訳じゃないじゃないんだけどさ。青空さん、面白いし」

「え〜、そうかい?じゃあ、ほんとに付き合っちゃう?」


青空さんを褒めると、そのままニヤケ顔になってヘラヘラする青空さん。


(優は、青空殿と仲がいいのだな。それも結構)

「まあ、僕とゆうくんは運命の赤い糸で繋がってるからね〜」


そう言って、意味深に左手をあげる青空さん。



「それでさ〜、最近海辺が寒くて〜……」


水無口さんが会話に参加してから、少し経ったけど水無口さんも慣れてきたのか、緊張はそこまで感じられない。


「あ、飲み物なくなっちゃった。水無口ちゃん取りに行こ〜」

(我もコーヒーが、いつの間にか消えていたしいいだろう)


水無口さん、記憶なくなってるな。


「じゃあついでに、ゆうくんのも行ってあげるよ〜」

「ほんと?じゃあお願い」


青空さんにコップを渡すと、2人はそのままドリンクバーの方へ歩いていった。



「ゆうくんただいまー、あれ?寝てるのかい?」


俺の隣に座った青空さんが、俺の体をちょんちょんとつついて確認を取っている。


もちろん俺は今、寝たフリをしている。唐突にこんなことをしたのは、水無口さんが俺無しで青空さんと話せるか、見たかったからという理由でやっている。


半分くらいは、好奇心でやっているということについては、そんな事実なんてないと言っておくとして。


「ゆうくん、こんなとこで寝るなんて、疲れてるのかな〜」


にしても、青空さんやたらつついてくるな。


「まあ、いいや〜水無口ちゃん。ゆうくんが起きるまで、話そ〜。話題はそうだな〜、()()()()についてとか」


あ、これ寝ない方が良かったかも。運悪かったら、俺の悪口を聞かされることになるし、もしかしたら辱め(はずかしめ)を受けることになるかも。


「お〜いいのかい?」


水無口さんは、無言でスケッチブックを使って話す関係上、この2人の会話は青空さんの音声のみでお送りすることになるのか。


「じゃあ〜、早速聞くけど〜、水無口ちゃんはゆうくんのことどう思ってるのかな〜?僕はもちろん、ずっと大好きだよ〜」


これ、俺の寝たフリバレてないか?だって、青空さんがそういう事言うのって、俺をからかうためだし。


「え?僕がなんで聞くかって〜?ただ、気になっただけだよ〜。ライバルがいるかがね〜」


青空さんの言い方的に本心っぽいな。ていうことはいままでのは……なんか、恥ずかしくなってきた。


「で、水無口ちゃんはゆうくんのことどう思ってるんだい?好きなのかい?それともただの、友達かい?」


とりあえず青空さんの言葉が、本心と仮定しよう。それにしたって、攻めた質問すぎないか?


「これは、ただの恋バナだよ〜。1回はやってみたかったからね〜」


やってみたかったにしても、今日初めて話した人とするか?普通。てか、恋バナなのになんで俺の話限定なんだ。


「さあさあ〜、僕の話はここまでにして〜。水無口ちゃん話そうよ〜」


水無口さんを軽く煽って、水無口さんから言葉を引き出そうとする青空さん。


「早く話さないと〜、僕がゆうくんにチューしちゃうよ〜」


それはそれでおかしいだろ。


「ゆ、優……くんは……わた、しに勇気……を、くれる……人、で……大事、な人、だよ……」


普通本人がいる場所で言わないようなことを、言い始める水無口さん。


水無口さん、俺の事そういう風に思ってくれてたんだ。


「好きか嫌いかで言うと?」

「好き……だよ?」


ほんとに、少し前の好奇心で動いた俺を殺したくなってきた。さっきから心臓が、止まりそうなレベルで鼓動してる。


とはいえ、さっきの水無口さんの言い方的に、恋愛的好きとはまた別のような気がするけど、そこは本人じゃないしわからん。


「そうかい?まあ、いいこと聞けたし、そろそろ帰ろうか〜」


良かった、恋バナはもう終わりみたいだ。あのままはなしが続けられてたら、恥ずか死してた。


「ほら〜ゆうくん寝たフリしてないで〜」

「バ、バレてた?」

「まあね〜、あまりに突然寝られたら不自然だからね〜」


青空さんの喋り方通り、青空さんは俺の寝たフリに気づいていたらしい。


「やっぱそうか。あと……水無口さんなんか、ありがとね」

「っ…………!ん!!」


さっきの話に関して、水無口さんにお礼を言うと、一気に顔を赤くして、机の上にお金と「釣りはいらねー!」と書かれたスケッチブックの紙を叩きつけ、スケッチブックを回収してから、走ってファミレスの外へ行ってしまった。


「いっちゃった」

「やっぱ、水無口ちゃん面白いね〜」


青空さん、俺の寝たフリに気づいてて水無口さんにあれ言わせて、俺を辱めるって小悪魔的すぎる。


「じゃ、お会計行こ〜」

「軽いな」


水無口さんの置いていったものを回収して、レジの方へ向かう。


その間、青空さんに抱きつかれたけど、さっきの言葉がよぎってなんとも言えない心境だ。


「あ、水無口さん」


ファミレスから出てすぐ右の方に、しゃがみこんで膝に顔を埋める水無口さんがいた。


「さっきのは、ごめん」

(別にいいのだ、実際我が優を信頼しているのは本当だからな)

「それは、なんだか嬉しいな」


しゃがんだ状態でスケッチブックに書き込み、顔を完全に隠しながら言葉を見せる水無口さん。


このスケッチブックの右下に、なにか2文字程度小さく書かれてる気がするけど、暗くてよく見えない。


「さあ〜2人とも帰ろ〜。ゆうくんは、僕の家に帰ろ〜」

「その話まだ、続いてたの?」

「当たり前だろ〜、さあさあ」

「行かないからね」


ファミレスから出ても、青空さんに抱きつかれたり、水無口さんとゆっくり話をしたりしてから、家へ帰った。

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