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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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76 愛の告白少女と無口少女

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(彼女は、我を弄んでいるのだろうか)

「彼女って?」


委員の仕事中、隣に座る水無口さんが唐突に俺にスケッチブックを使って問いかけてきた。


(彼女というのは、我の前の席の物で、優と親しげな銀髪の少女のことなのだが)

「青空さんね」


この遠い言い回し、もしや水無口さん、クラスの人名前覚えてないな。


(そう、その青空殿なのだが、何故かこの間の宴以降、我に話しかけてくるのだ)

「宴?文化祭のこと?」


なんで少し大袈裟な言い方なんだろう。


(青空殿は、我が無視をしてしまっても何度も話しかけてくれるのだが、理由を知らないか?)

「理由か……」


正直、青空さんは青空さんで、刈谷さんほどとは行かなくても、考えてること分かりずらいしな。


「まあ、青空さんはそこそこ人との距離感バグってるし、そのせいなんじゃないかな」

(そうか……しかし我に話しかけてくれているのに、無視してしまうのは少し心苦しい)


自分の短所にうんざりしてか、しょんぼりとした顔で、下を向く水無口さん。


「でも、水無口さんは俺と今話せてるじゃん」


前の水無口さんは、今の青空さんへの対応と変わらない感じだったけど、今もすんなりと言えるか微妙かもだど、会話はできている。


(あれは我が勇気を振り絞ったのと、優に対して語りかけやすかったというのもある)

「じゃあまた、勇気出して話してみようよ。スケッチブックでもいいからさ」


水無口さんは、口で喋るのと人前、なんなら周囲に人がいるだけでも会話ができないみたいで、場面は限られるかもだけど。


(そうか、優が言うのなら頑張って見よう。その変わりなのだが)

「変わり?」


なんだろう、上手く喋れたらご褒美が欲しい的な話しかな。


「優……くんに、わた……しのこと、手伝って欲しい、な……」

「なんだ、そんなことか。全然いいよ」


俺が了承のグッドを水無口さんに送ると、少し慌てたあと、下を向いて超小声でありがとう、と帰ってきた。


となると、水無口さんが喋れる場面を用意してあげればいい感じかな。


今から始まるのは、名前をつけるのであれば、水無口さん友達作ろう大作戦だ。



「でよぉ、鳥かと思ったら焼き鳥で……」


授業終わりの10分休憩、運のいいことに夜梨の席は青空さんの席近くのおかげで、青空さんと水無口さんの会話が盗み聞きできそうだ。


「ねえ〜、水無口ちゃんはさ〜、好きな動物とかいないの〜。僕はね〜、猫が好きなんだ〜」

「…………」


水無口さんの机の上に寝そべる、青空さんの質問に答えられず、背筋を伸ばして固まる水無口さん。


「お〜い、聞いてるかい?答えてくれないと〜、抱きついちゃうぞ〜」


多分青空さんは、距離感バグのせいか、人との距離の詰め方が1歩づつじゃなくて、一気に50歩近づく感じになっている。


「わ〜」

「な、なに青空さん」


水無口さんに抱きつくかと思えば、俺の横に飛びつくように抱きつかれた。


「いや〜ゆうくんが、この麗しき僕の体をチラチラと見てたからね〜」

「バレてたか」


そんな高頻度でチラチラ見てはなかったけど、青空さんにはバレていたらしい。


「そりゃわかるよ〜、ねえ〜水無口ちゃん」

「うんうん」


青空さんに話を振られて、数秒のラグはあったけど首を縦に振る水無口さん。


ていうか、俺の視線ってそんなわかりやすい不躾なものだったのか。


「優、女子が気になるのは分かるけど、俺のとこに来てまで見なくたって良くないか?」

「違うんだよ」


ただ水無口さんを心配して見てただけだから、ほんとに変な目で2人をみていた訳じゃない。



「お疲れ様でーす」


放課後の図書委員の集まりが終わり、委員の人達がぞろぞろと帰り始めた。


「ゆうく〜ん。長かったね〜」


図書室を出た瞬間、出入口の横で待っていた青空さんに抱きつかれた。


「青空さん残ってたの?」

「いやね〜、HR前に寝ちゃって〜。しかも誰も僕のこと起こしてくれないまま、帰っちゃったんだよ〜薄情だね〜」


そもそも、寝なければいいと言うのは、青空さんに対して野暮なのかもしれない。


「それで〜、起きたらこんな時間でね〜、ゆうくんが図書委員あるの思い出して今さ〜。それで、どうだい僕と釣り堀デートにでも」

「今から?時間遅くない?」


委員会があったのもあって、外は既に日が傾いて来ていてこれから釣り堀に行くとなると、帰る時はどうなる事か。


「いや〜?釣りに時間は関係ないからね〜。もし遅くなったら〜、僕の家に泊まればいいだろ〜?」

「それは、別にいいよ」


単純に青空さんのお家に申し訳ないし、あと家に行ったとして何されるかわかんない。


まあ、行ってもそこまで大変なことにはならないだろうけど。


「そんなに釣り堀が嫌なら〜、放課後勉強デートはどうかな〜」

「青空さん勉強会しても、寝るじゃん」


前回青空さんに誘われて、勉強会したけど青空さん俺の膝の上で寝て終わったからな。


「も〜、つれないな〜そしたr」

「ん?どうしたの水無口さん」


青空さんが俺との遊びを考え始めると、いつも通り水無口さんに俺の裾を引っ張られた。


水無口さんの方に目をやると、ヤンキーのツラ貸せよ的なジェスチャーをしている。


「水無口さん帰るの?」


ジェスチャーの形から予想して、聞いてみるとあっていたみたいで首を縦に振って肯定してくれた。


「なんだ〜、水無口ちゃん帰っちゃうの〜?それなら、僕たち2人で楽しく遊ぼうよ〜」

「じゃ、じゃあね水無口さん」


軽く首を縦に振ってから、下駄箱の方へ歩いていく水無口さん。


なんだろう、サヨナラを言った時の水無口さんよかおが、少し暗かったような。


というか待てよ、もしや今こそ絶好のタイミングなのではないか?


「ちょっと待って!水無口さん、今日時間ある?」

「?」


とぼとぼと歩いていく水無口さんに声をかけると、ハテナを浮かべた顔をしてこっちを振り向いてくれた。


「少しでもいいんだけど、この後って時間ある?」


ハテナを浮かべた水無口さんに、もう一度同じ質問を送る。


「あ…………う……」


恐らく青空さんの前で、スケッチブックが使えないからどう返答するかあたふたし始める水無口さん。


とりあえず話を聞くために、少し離れた水無口さんのところに近寄る。


「耳で聞いていいかな?」


そう聞くと、うんうんと言う反応を示してくれたから、水無口さんの口元に耳を近づける。


「今日、は……なに、もない……から、じか……んある、よ」

「そう?それなら青空さんの望み通り、なにかしようか」


俺がさっき思ったのは、まさしく今が水無口さん友達作ろう大作戦が発動できるタイミングだと思った。


「僕は全然いいけど〜、でもどうするんだい?ゆうくんは、釣り堀は無理なんだでしょ〜」

「それは……」


水無口さん誘ったはいいけど、全くネタが無い。


「えっと、そうだなー。なにかなにか」

「僕は釣り堀が無理なら、のんびり出来ればいいよ〜」


のんびりか、元から今の時間じゃそこまで距離は移動できないだろうし、必然的にそうなってたかもな。


「あ!そうだ。ファミレスは?」

「おお〜、いいね〜。僕はオーケーだよ〜。水無口ちゃんは〜?」


青空さんが水無口さんに聞くと、小さく指で丸を作って答えてくれた。


「それじゃ〜行こうか〜」


俺が提案しといてなんだけど、何もすることないのにファミレス行くんだな。一応水無口さんに友達を作る、という目的は歩けれど。

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