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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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71 文化祭閉幕へ向けて

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「おいし」


石橋さん作のパンケーキを、ベンチのに座って食べる。パンケーキの美味しさで、さっきの疲れが少し取れた気がする。


「ところで……忍さん!」


いきなり後ろを振り返って、物陰に隠れようとしている忍さんを視界に入れる。


「ば、バレてた?」


前髪を整えながら、恥ずかしそうに物陰から出てくる忍さん。


「さっき移動中にね」


さっき調理研究部の模擬店から移動する時、後ろから人とぶつかったらしい忍さんの声が聞こえた。


「このまま3日乗り切れると思ったのに」


悔しそうに失態を嘆く忍さん。


「3日って一昨日からいたの?」

「うん、ここ3日の梶谷くんの行動は把握済みだよ」


なんだその、SNS更新頻繁なアイドルのファンみたいな。


「3日?ちょっと待った、3日ってもしかしてさっきの団子屋の……」


3日つけてて俺の行動完全把握というのであれば、さっきのの佐藤さんとのバカップル遊戯が見られてるってことだ。


まだ他人はいいんだけど、知り合いはダメだろう。あまりに恥ずかしすぎる。


「団子屋?それは知らないかも、じつは少しの間だけ梶谷くんのこと見失っちゃって」

「それなら良かった」


マジで助かった、忍さんに見られてたらこの場で気絶してたかもしれなかった。


「なにか私に見せたくないものでもあったの?」


俺の反応があからさまに変だったからだろうけど、何かを感ずいた忍さんが小首を傾げて聞いてきた。


「いや、ほんとに見てないならいいんだ」

「なんか怪しい」


完全に怪しいと思われたから、疑いの目が俺に向けられる。ただ恥ずかしいだけで、やましいことではないから言ってもいいけど、自分から言うと惚気っぽくなるから嫌だ。


「ほ、ほんとにいいから。そ、そんなことより本!」

「本?」


そういえば、忍さんはここに来ると踏んで、この間借りた本を持ってきてたんだった。


「ほら、この間借りた本。読み終わったから、返そうと思って」

「そういえば。でも、誤魔化してない?」

「さ、さあ?」


絶対にあのことは、聞かれたくないし言いたくない。


「とりあえず、本は俺のクラスの休憩スペースにあるから、とりあえず行こうか」

「さっきの話が気になるとこだけど、しょうがないなぁ」


良かったなんとかそらすことが出来た。


「忍さんは文化祭楽しんでる?」


俺の横を歩く忍さんに、聞いてみる。俺の事をずっとつけてたみたいだし、自分の楽しみを犠牲にしてないといいけど。


「私は梶谷くんつけるだでも楽しいけど、文化祭もまあまあ楽しいよ」


今の言い方だと文化祭より、俺のことを付ける方が楽しいってことになるんだけど。


「梶谷くんは楽しそうだもんね。たくさん可愛い女の子とまわれて」

「それは……」


忍さんの言う通り、今回は女性関係で振り回されていた気もする。なんか今の言い方クズっぽいな。


「でも、そういう忍さんも可愛いとは思うけどね」


実際忍さんは、普通に目鼻立ちは整ってるし、身長的にも体格もいい方だと思う。


「そ、そんな可愛いだなんて。私なんて、今まで梶谷くんが見てきた子達比べると全然だよ」

「別に忍さんも負けず劣らずだと思うけどね」

「顔近いから、離れて離れて」


そもそもの話、俺周囲の女子は全員顔面偏差値全国レベルで、顔が整っているっていう話なんだけど。


「それに私なんて、人をストーカーする変人だし」

「その自覚はあるんだね」

「でも、辞められないんだよね」


完全に犯罪の背徳感に心を奪われてる……


犯罪と言うならば、俺の周りは殺人未遂やら不法侵入やらでいっぱいだけど……俺、近いうちに死にそうだな。



「お、優文化祭楽しんでるか?」

「おう、夜梨」


忍さんとクラスの休憩スペースに向けて、廊下を歩いてると前方からくる夜梨に鉢合わせした。


「ていうか、お前女子連れって、彼女か!?」


夜梨の最後に行った彼女にとてつもない殺意、のようなものを感じる。


「彼女ではないんだけど」

「煽ってんのか?」

「違う違う違う!」

「あれ?ていうかその子、ちょっと見覚えが……」


そういえば忍さん、前に夜梨と会ったことあったっけ。確かあの時は、忍さんに軽い恐怖植え付けられて、夜梨が逃げてたような。


「あ、いえ。初めましてです……」

「なんだ後ろに隠れて、人見知りな子?」

「まあそうだけど」

「人見知りなら、俺はどこかに行くよ。とりあえず優、これからは呪いに気をつけろよ」


めっちゃ怖いことを言って俺の肩を叩いて、そのまま過ぎ去っていく夜梨。


「呪いか、かけられたことないな」

「結構冷静だね」

「呪いなら、なんとかなるでしょ。たぶん」


さすがに夜梨の事だ、かけるにしても1日に1回転ぶ位のものだろう。逆にそれくらいじゃないと困る。



「はい、これありがとね」

「別にいいよ。面白かった?」

「いつも通り、内容に引き込まれる話だったよ」


例の如く忍さんおすすめの本は、内容が結構「良」で面白かった。


「ところで、あのお姉さんに紹介された本は読んだの?」

「あーあの本のこと?」

(それは、我も気になるところだ)

「お、おう水無口さん」


忍さんに本を返して、からお姉さんに教えて貰ったラノベの話を振られたタイミングで、水無口さんが俺の裾を引っ張って話に参加した。


「あれは今、読み途中かな。先に忍さんのやつ読んでたし」

(面白いか?)

「そうだなぁ、あの本はラノベ特有なのかは分からないけど、ラノベ特有のゲロ甘感があって、とりあえず甘酸っぱい」


俺が買ったあの本は、挿絵とじれったいキャラとの掛け合いで、甘さに飢えた心を攻撃してきた。


「結構良かった感じ?」

「心からの好きって感じではないけど、結構良かったね。忍さんと水無口さんが紹介してくれる本ぐらい」

「そ、そんなに?」

(まあ、あの店長さんはとてもすごい方だからな)

「なんでそっち側なの」


それにしたって、ほとんど話してもないのに俺の好みを突くような本を勧めてくるって、あの店長ほんと何者なんだ。


「じゃあ梶谷くんにバレちゃったし、私は帰るね」

「もう帰るの?まだ時間あるのに」

「だって、3日も居ると流石に飽きてくるよ」

「たしかに……」


文化祭に飽きた忍さんが手を振りながら、帰っていってしまった。


まあ、わかるな俺もそこそこ飽きてきてるし。


「水無口さん、俺たちはどうする?」

(どうするも何も、我らは図書委員があるぞ)

「あ、そうだった。ありがとう水無口さん、じゃあ俺たちは図書室行こうか」


図書委員の休憩スペースとして使われる図書室での、見守りの仕事の存在を忘れてた。


(して、気になるのだが。今の時間は、本の貸し借りはできるのだろうか?)

「これまたどうして?」

(この間渡せなかった本がそろそろ帰ってきてる、と思ってな)


もうそんくらい経ったのか、前回は本が借りられてなかったし、俺の金欠により本が買えなかったんだったな。



「今をもちまして、文化祭を終了致します」


校内全体に蛍の光が流れている。俺の文化祭は、図書委員の仕事をしていたら終わりを迎えた。


「いやー、大変だったね。水無口さんは特に」

(あの時は生きた心地がしなかった)


委員の仕事中、水無口さんが本を探している時水無口さんが小さい子ども達にからかわれ、その場に固まっていた。


(子供とは、元気がありすぎて我には扱えん)

「あれは例外じゃないかな」


漫画がないのか聞いて、喋れずその場に固まる水無口さんを煽るように、水無口さんを取り囲んみ漫画を大声で連呼してたからな。


(とりあえず助かった、ありがとう)

「こういう時は、お互い様だから」

(我は人間関係で優を助けられないがな)


この文字を見せる水無口さんは、何故か鼻高々に見せつけている。


「そんな誇らしく書かないでよ」


図書室は司書さんに任せて、俺と水無口さんはそのまま教室へ戻った。


「それじゃあ、この後は後夜祭になるから各自体育館へ向かうように」


休憩スペースとして使われている、場所にクラス全員集まり、先生の支持で体育館へ向かうこととなった。


後夜祭の内容は、俺達にははっきりと知らされておらず、何となく人から聞いたのは自由参加のフォークダンスをするだとか。


「楽しみですね、後夜祭」

「そんなに?」

「はい、文化祭本番よりも」

「そこまでか」


一体刈谷さんは、後夜祭に何を期待してるんだ。


「刈谷さんは、誰かとフォークダンス踊るの?」

「今のところ予定は無いですね。田中さんから誘われましたけど、断りましたし」


田中はまだ刈谷さん攻略してたのか。だか田中、残念だったな。


「別に優くんが誘ってくれてもいいんですよ」

「俺はパス」


フォークダンスとか踊れないし、それに全校生徒の前で踊るのはカップルくらいだろうし。


「そうですか、残念です」

「俺が踊れればよかったんだけどね」


まあ、後夜祭もさすがにフォークダンスのみじゃないだろうし、それ以外を楽しむとしよう。

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