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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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67 甘えたがりシスターと文化祭

1/1

今日は文化祭3日あるうちの2日目。昨日は青空さんの言動によって、何度も黒嶺さんの怒りを買っていたけど、なんとかやり過ごすことが出来た。


今日、俺は特にクラスの仕事もなく暇なので、1人気ままに回れるはずだ。


「あ、優いた」

「ああ、母さん」


昨日黒嶺さんと青空さんと回ったけど、もう1回食べたい、行きたい場所があったから行こうとした矢先、文化祭に来たらしい母さんと父さんに出会った。


「てか、2人きたってことは、優來は…」

「そこは大丈夫!なんたって、今日は」


母さんが後ろの方を向くと、母さんの後ろから私服姿の優來がひょこっと出てきた。


「おう!優來、外に出れたのか」

「うん、頑張った…」


家に完全に引きこもっていた優來が、頑張って外に出てきたのは他大なる進歩と言えるだろう。


「そうかそうか、ほんとに頑張ったな」


頑張った優來の頭を撫でてあげると、とても嬉しそうな顔をしてくれた。


「まあ、3人とも文化祭楽しんできなよ」


この文化祭を気に、優來が気兼ねなく外に出れるようになってくれると嬉しいし。


「何言ってんの。私たちは2人で楽しんむんだから」

「え?」


あたりまえでしょ、みたいな顔をして、俺の事を見る母さん。


「優來は、あんたに任せた。私たちは、文化祭デートにでも、行ってくるから。それじゃあ」


優來を俺にほっぽって、そのまま2人はどこかに行ってしまった。


なんであの2人は、あんな歳(42)にまでなって文化祭デートとか言ってるんだ。逆にあの歳で仲がいいのは、いい事なんだろうけど。


「まあ、いいか。じゃあどうする優來。どこか、行きたいとこあるか?」

「お兄のクラス、行きたい…」

「俺のクラスか、お化け屋敷だけどいいか?」


今の優來は、刈谷さんにおどかされたせいで、幽霊というのが怖くなっているみたいだし。


「たぶん、大丈夫…」


不安そうな顔ではあるけれど、自信満々にサムズアップをしている。


「そうか、じゃあ行くか」


何気に俺は、お化け屋敷制作したり、お化け役で入ったりしてたけど、客として入ったことはなかった。


なんとなく、何があどこにあるか知ってるけど、まあ楽しめはするだろう。


「おう、梶谷くん…とその横にいるのは」

「俺の妹」

「義理?」

「実妹だよ!」


刈谷さんにも言われたけど、俺と優來ってそんなに似てないのかな。


「あぁ、ごめんごめん。とりあえず来たってことは、入ってくってことでしょ。どうぞどうぞ、今空いてるから。梶谷くん入りまーす!」


受付の子が、入口となる扉を開け、中にいるお化け役の人達に周知する。


「じゃあ、入るか。優來、怖かったらお兄ちゃんに抱きついてもいいからな」

「うわ、シスコンだ」

「別にいいでしょ、シスコンぐらい」


俺がシスコンどうこうは置いておいて、ここのお化け屋敷を全く知らない優來を先頭にして、俺達はお化け屋敷へ入った。


「大丈夫か、優來」

「た、たぶん…」


こうして客として入ると、結構雰囲気あるように感じるな。


薄暗い雰囲気に、ホラー系のBGM。雰囲気だけでも、普通のお化け屋敷ぐらいは出てると思う。


「わあ〜。愛で呪ってやる〜」


入口から少し進んだところで、青空さんが出てきた。出てきた青空さんは、怖いお面を付けていて、そして俺に抱きついている。


「なに、愛で呪うって」

「永遠の愛を誓わないと、大変なことになるよ〜」

「よーし、優來行くぞ」

「ちょっと〜、無視しないでくれよ〜」


愛の呪いとか言ってる、青空さんを無視してそのまま前へ進む。


歩き始めたはいいけど、何故か青空さんがしがみついたまま離れてくれなくて体が重い。


「わあ!」

「ん!?」


俺は位置把握のせいで、そこまでびっくりはしないけど、優來は普通にびっくりしてくれてるようで、何よりって感じだ。


そういえば、次は俺が昨日隠れてた場所か。優來どんくらいおどろくんだろ。大声上げたら、ちょっと面白いんだけど。


(わあ)


ここのお化け屋敷内で、1番びっくりするであろう場所の前に来ると、出てきたのは人ではなく、文字の書かれたスケッチブック。


「お兄、これなに」

「多分なんだけど、水無口さんだよね」


このスケッチブックに書かれた文字に見覚えあるし、そもそもスケッチブックに文字書いて会話は、水無口さんの専売特許だし。


ていうか、なんで最後の砦を水無口さんに任せてるんだ。


多分水無口さんだろうと思って、メタいけど隠れ場所を開けると、案の定水無口さんが隠れている。


「び、びっくり…した?」

「さすがにスケッチブックじゃ…」

「そうだよ〜、こうでもしないと〜ね!」

「んん!?」


俺に抱きついていた青空さんが立ち上がって、あの怖いお面をつけたまま、水無口さんの顔すぐ前に姿を出した。


「どうだ〜い、怖かったでしょ〜」


そう青空さんに聞かれた水無口さんは、答えることなくその場で萎縮して震えている。


「あらら〜、固まっちゃった〜。まあ、行こうか〜ゆうくん」

「このまま放置してくの?」

「アフターケアは、僕がやるから〜」


震える水無口さんは無視して、そのまま出口方向へ歩かされる。


「ほんとに大丈夫なの?水無口さんめっちゃ震えてたけど」

「大丈夫大丈夫。僕は包容力には、定評があるから〜」

「それどこ情報?」


ソースの分からない評判の話を聞いていると、俺のズボンの裾が引っ張られた。


「ん?水無口さん。トラウマにでもなった?」


俺のズボンを引っ張ったのは、水無口さん。聞いてみると、涙目でこくりと頷いた。


「水無口ちゃんは、臆病だな〜」

「ていうか、青空さんは配置に戻りなよ」


何故か青空さんは、序盤の方に出てくるはずなのに、ゴール付近にまで来ている。


「え〜、いいじゃないか〜。それにもう、出口前だしさ〜」


青空さんに押され、幽霊2人を引き連れた状態で教室からでてきた。


「お、戻ってきた。長かったねー」

「いろいろとあって…」


青空さんと話したり、水無口さんをびっくりさせたりで、普通に回る時間より少し長い時間がかかった。


「まあ、それはいいんだけどさぁ。一応設定でも幽霊なんだから、その幽霊に触れた状態で戻ってこないでよ」


今の状況を見て、俺に対する呆れたというような視線が向けられている。


「それは、俺に言われても。苦情なら青空さんに」

「なんで僕なんだよー」


そもそも、干渉してきたのは青空さんだし。水無口さんの恐怖の原因も、青空さんだ。


「あと、水無口さんが青空さんに脅かされて、怖いみたいなんだけど」

「それはいいよ〜、僕が水無口さんのとこ入るからさ〜。それでもいいよね〜」

「まあ、いいんじゃない?」


そんな話をしていると、水無口さんがまた俺のズボンを引っ張った。


水無口さんの方を見ると、耳を貸せ的なジェスチャーをしている。


「一応、私の時間、だか…ら私、もはい、る…」

「水無口さんも、一応入るって」

「ほんとかい?大丈夫?」


青空さんがそう聞くと、少しためらってはいるけれど、頷く水無口さん。


「とりあえず話もまとまったぽいし。次行くか、優來」

「わかった」

「お化け屋敷は、楽しかったか?」

「楽しいより、怖かった…」


まあ、お化け屋敷の本質を、楽しんでくれたみたいで よかった。


「なんか行きたいとこあるか?」

「特にない。から、お兄のおすすめ、でいい…」

「おすすめか、任せろ」


て言っても、俺が行きたいとこに行くだけな気がするけど。



「みよ!我が奥義!」


体育館のステージ上で、勇者の衣装を着た生徒が、厨二病的技名を言い放つ。


「ぐはぁ、やられた」

「勇者シロは魔王を倒し、世界は平和を迎えました。そして勇者は、姫と結ばれとてもとても、愛し合う生活をしているとか」


最後にテンプレートのような、ナレーションで締められ、役でできた生徒全員がステージに立ち、カーテンが閉まって劇は終わった。


劇が終わると、体育館内は拍手の音で包まれた。


「そこそこ面白かったな。正直、ところどころ厨二病セリフっぽいのがあったのが、ちょっとって感じだけど。どうした、優來」


劇が終わってから、優來の方を見ると。口を押えて、なにかに耐えている。劇に感動した、という感じではない。


「あれ…」


震えている優來の指先を見ると、とてつもなく見覚えのある制服。


「そういう事か、とりあえず早く離れるぞ」


優來が見つけた制服とは、俺が通っていた中学の制服を着た人だった。


とりあえず、早くここから離れるために、優來をおんぶして急いで体育館から逃げる。



「人がないとこに来たけど、ここは大丈夫だろうか…」


まだ、この学校に中学の制服を着た人がいるかもしれないから、とりあえず人気のない外階段に逃げてきた。


「優來、大丈夫か?吐きたいなら、吐いてもいいけど。にしても、来るのかあそこの中学の人」


まあ、ここの高校、あの中学の人からしたら、偏差値的にも距離的にも申し分ないし、来てもおかしくはないか。


「どうする?帰るか?帰るなら、母さん達召喚するけど」

「大丈夫、少し休憩、すれば」


さっきの制服のことを考えると、吐き気がぶり返すのか、優來はさっきから嗚咽を繰り返している。


やっぱというか、当然というか優來は中学のトラウマが抜けきらないみたいだ。

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