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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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63 変わった人

2/2

「ただいま」

「早かったね」


忍さんが本を取りに行ってから、約3分程で忍さんが戻ってきた。


「まあ、今日は梶谷くんに本をおすすめついでに、つけようとしてたから。て言っても、これは別のやつなんだけどね」

「俺のことストーカーせず、普通に本をおすすめして欲しいんだけど」


別に俺と話すなら、ストーカーする意味ないだろうし。


(それでは、優よ先行を決めてくれ)

「勝負じゃないんだから。まあとりあえず、もともと教えてもらおうと思ってた、水無口さんからで」


水無口さんを先行に指名すると、スケッチブックをペラペラとめくりはじめた。


(この小説は、架空の国の騎士の話で表紙だけ見るとファンタジーなのだが、実はミステリーも含まれていてだな。ただ冒険をするだけではなくて、話を読み進めるほど、その世界で暮らす者たちの思惑もわかってきて、世界観に引き込まれていくぞ)


水無口さんに手渡された物は、前回同様ファンタジー。表紙には、白騎士とレッドドラゴンが、描かれている。


「この見た目で、ミステリー要素あるんだ。忍さんこれ知ってる?」

「私あんまり、ファンタジーって読まないからそんなに知識ないけど、それは知ってるかも」


ということは、そこそこ人気の高い本ということか。


(あらすじとしては、ある日国王に命じられてその表紙の騎士が、ドラゴンを討伐しに行く。という、一般的な感じのあらすじなのだが、そこには色んな者たちの国家レベルの秘密や思惑が…みたいな感じだな)


水無口さんのスケッチブック2ページを使った、本紹介が終わった。


「今回のは、前回とは違う感じなんだね」


前回水無口さんに教えてもらったのは、話の設定は今回のと似ているけれど、騎士と姫との恋愛が書かれたものだった。


(そうだな、前回はわかりやすいストーリーをしていたが、今回はストーリーが凝っていて、少し分かりにくい。その代わりに、しっかり読むことでこの本の面白味がわかるぞ)


俺は今まで、ミステリー?のような本は読んだことないから、しっかり読めるかは不安だけど、この本はおもしろそうではある。


「じゃあ次は、私の番だね。はい、梶谷くん」


忍さんから手渡された本の表紙には、真っ暗な夜に電柱の裏に隠れた女の子と、その先にもう1人男性の後姿が描かれた表紙。


「この本はね、普通のストーカーの女の子と、そのストーカーに気づいるけど、ちょっとした性癖で気付かないふりをしてる男の子のお話なの」


なんか変わった内容の本を持ってきたな。


「一応聞くけど、ジャンルは?」

「恋愛だよ」


忍さんからストーカーの本をすすめられるって、なんか自分の手の内を明かしてるみたいだな。


「それにその本、私がストーカーするのに参考にしてるの」


しっかりと自分の手の内を明かしていたみたいだ。


「それは、それは」

「あ、でも別に梶谷くんに、本に出てくるような性癖になって欲しい訳じゃないからね」

「ならないよ!」


逆にこういう本を読んで、性癖が変わることがあるのか?


「それで、梶谷くんはどっちを買うの?」

「まあ、両方とも面白そうだし、両方買うけどさ…あ」

(どうかしたか?優よ)


現在の俺の所持金を調べるため、財布を開くとまさかの本1冊分のお金しか持ってなかった。


この間、ゲーセンで使いまくったのは間違いだったな。


「金がない」

「貸そうか?」

「いいよ別に。お金の貸し借りは、友情破綻の原因だから」

「すごくいいいこと言うね」


実際それで前例ができちゃうと、このあとも忍さんに気軽にお金を借りに行くなんてことが、起こりかねないし。


(ということは、我か忍殿のどちらかの本を買う、ということか)

「そうなるのかな」


普通に考えて、もともと水無口さんの買おうとしてたし、水無口さんのかな。


「て、ことはなんだけど。その、か、梶谷くんは、どっちを選ぶの?」

「ゆ、優…くん、は、わた…しを選ん、で、くれる、よね」


唐突にハーレムものの主人公に言うような、ことを言い始める2人。


2人ともこういうような言葉を言うのは、苦手だからか、言葉がスラスラと出てこない。


困ったな、そういわれると安易に水無口さんのを選びにくくなった。


1番困るのが、2人の言い方のせいで、正ヒロインを選ぶ、みたいになってることだ。


「梶谷くんはどっちにするの?」「ゆ、優くんは…ど、どうする、の?」


忍さん、水無口さんが同時に迫ってくる。


正直、2人のおすすめしてくれた本は、両方とも気になるから決めがたい。


「やあ、少年この本はどうかな」


2人に迫られ、困り果てていると、後ろから突如、若そうな女性の声が聞こえた。


「はい?」

「これ、どうだい?」


後ろを振り向くと、本をすぐに手渡された。


俺と同じくらいの身長、短い黒の髪。ボーイッシュぽい見た目のこのお姉さんは、エプロンをしているということはここの書店員さんなのだろう。


「えっと、あなたは…」

「私かい?そこの子が知ってるんじゃない」


不敵な笑みを浮かべた書店員さんは、水無口さんを指さした。


(この方は、ここの店長だ。そして、我のこの会話方法を、考えてくれた方でもある)


水無口さんのこの特殊な会話方法の、出処はこの人だったのか。


「そうなの。で、少年その本はどうかな?」


店長さんに手渡された本。タイトルは「隣の悪魔は天使のように甘い」、明らかにラノベだ。


「ラノベ、ですか…」

「そうそう、少年みたいなのはこっち系の方が好きかなって」


めっちゃ決めつけられてるけど、間違いではない。


「そうかもですが。ちなみになぜ急に?」

「まあ、私基本暇だし。あと、面白そうな会話が聞こえたから」


どうやら、2人の声は店中に聞こえていたようで、それに面白さを見出した店長がこっちに来たらしい。


「ちなみになんですが、これは店長の趣味ですか?」

「違うよ、どっちかと言うと君にあいそうだから選んだの。私、人の相談に乗るのが得意でね、その延長の能力でその人に、今あいそうな本がだいたい分かるの」


何その能力詳しく聞きたい。それにしても、この店長めっちゃ若そうな見た目の割に、話しの内容といい、能力が年相応じゃない。


「まあまあ、ちょっと読んでみなって」


店長に言われて、本を開いてみる。


ラノベ特有の、最初のフルカラー3ページから分かるのは、時代は現代で人間×悪魔の恋愛だということ。


次に裏表紙を読んでみると、大まかさっき俺が予想したことと変わりはないみたいだ。


「どうだい?よさそうでしょ」

「たしかに…」


何となくでしかないけれど、この本は何か惹かれるものがある。


「それで、聞こうか。この3つの中で、どれを選ぶんだい?」


もう1冊本が加わってから、選択の時がやってきた。


「俺が選ぶのは、これでお願いします」

「お、毎度ありー」


俺が選んだのは、店長さんがおすすめしてくれた本。


本自体気になったのもあるけど、もう1つ2人のヒロイン選択感がなかったからというのもある。


「ありがとうございます」

「なんのことかな」


2人には先に店の外に出てもらって、店長に会計してもらっている途中で、さっきのお礼をした。


「俺が困ってる中、これで助けて貰っちゃって」

「その話か、まあいいんだよ。私って、相談とかの困り話好きだからさ。その一貫」

「そうですか…」


てか、今思ったけどなぜ俺はあそこまでして、ヒロイン選択に頭を悩ませてたんだろう。



(優よ、戻ってきたか)


店長に本をブックカバーに包んでもらってから、2人のいる所へ、合流した。


「にしても、あの店長変わった人だったね」

(そうなんだ。我もここには、何度も来ているのだか、あの人は人物像のようなものが全く掴めない)


ここの店長さんは、大人の余裕のような、けれどもそれとはまた別のような、特殊な何かがあるように思った。


「てか、あの店長さん。何歳?」

(たしか、20代と言っていたぞ)


親から受け継いだとかなのかな、それにしてもここの店は綺麗な気がする。ほんとにあの店長さんは、何者なんだ。


「あ、そうだ梶谷くん。この本」

「本?」

「そうそう、もともと梶谷くんにすすめようと思ってた本」


そういえば、今日はその目的で来たんだったな。


「ありがとう。でも、いつ返せば…」

「いつでもいいけど、連絡とれないからね」

「それなら、連絡先交換しようよ」


連絡とれないから、ストーカーになるんだし、連絡とれればストーカーされないだろう。たぶん。


「ほんとに?」

「はい、俺の連絡先のQRコード。ついでに、水無口さんも交換しよ」

(我もいいのか?)

「何かしらで、委員出れない時とか連絡出来た方が楽でしょ」


水無口さんと忍さんと、連絡先を交換して。俺は同時に女子の連絡先を入手した。

私は、忍さんか水無口さんの本のどちらを選べと聞かれると、忍さんの方を選びますね。普通に面白そうなので。

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