表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/164

62 無口少女とストーカー少女

1/2

(優よ、またおすすめしたい本があるのだが、いいか?)


いつも通りスケッチブックをこっちに向けて、話しかけてくる水無口さん。


「全然いいよ、前回のやつ結構面白かったし」


前回、水無口さんが教えてくれた本は、短いながらも内容がいっぱいで、後腐れない終わり方をしている、スッキリした内容だった。


(それじゃあ、探すとしよう)


目の前にある本を探す様のパソコンを使って、本を探し始める水無口さん。


「ん?」

「どうかしたの?水無口さん」


パソコンのタイピング音が消えたかと思へば、何やらパソコンの前で、微妙な表情になる水無口さん。


(探してる本が、どうやら貸出中みたいでな)

「あら、ほんと?」


本の情報欄には、貸出中と書かれている。


(すまない、今回は別の本を紹介しよう)


そう書くと、少しため息をつきながらパソコンで再検索し始めた。


「水無口さん、ないなら買いに行こうよ」

(ほんとか?)

「自分の本を、ゆっくりと読んでみたいし。あ、もしかしてなかなかない?」


借りた本だと、時間を気にして急いで読む必要があるけど、買った本なら好きな時にゆっくりと読めて、内容も掘りやすい。


(そこまで古くは無いし、大丈夫ではあるが)

「そう、それなら放課後買いに行こうか。水無口さん、今日時間ある?」


水無口さんに今日の都合を聞くと、スケッチブックで顔を隠しながら文字を書き始めた。


(だいじょうぶだ)

「そう、それなら。ここら辺の本屋って言うと…」


忍さんと多々あって行きずらい、商店街にあったような気がするな。


(それなら、我のおすすめの場所があるぞ)

「それなら、そこにしようか。商店街は、行きにくいし」


良かった、商店街に行くことは何とか避けることが出来そうだ。


(だか、少し歩くことになるがいいか?)

「全然いいよ」


商店街であのことについて声かけられるより、長い距離歩く方が、断然マシだろうし、水無口さんに着いて歩こう。



「水無口さん行こうか」


帰りのHRが終わってすぐ、水無口さんの席に行って水無口さんを呼ぶと、こくりとだけ頷いて立ち上がった。


そんな水無口さんの反応を見てか、周囲の人達数人が「あの、水無口さんが?」みたいなことを言っている。


そういや、今まで俺は、漫画以外の本を自主的に買ったことがないから、今回自主的に小説を買うのは初めてか。母さんが買ってきて、みたいなのは何度かあるけど。


まあ、自主的に買うとは言っても、水無口さんからの紹介本ではあるんだけど。そでも、普通に楽しみではあるんだけどね。たぶん水無口さんの好み的に、冒険ものだろうけど。


「そういえば、ここからその水無口さんおすすめの本屋さんって、少し歩くんだよね。どれくらいかかるの?」

「ん」


所要時間を聞くと、スケッチブックを使わず、手で20を作って教えてくれた。


「てことは、そんなにだね。ちなみになんだけど、そこって水無口さんの家近くとか?」

「ふんふん」


今度は、首を縦に振って教えてくれた。というか、そこまでして人前で会話したくないのか。


俺たちの今いるところは、部活やら帰りやらの人が入り乱れていて、俺たちの会話なんてほぼ雑音に等しいはずなのに。



「ここが水無口さんおすすめのとこ?」


水無口さんに連れてこられた場所は、比較的住宅地の中にあるひとつのお店。見た感じ、個人開業の本屋だろうか。


(ここは、個人開業ながらも品揃えがとてもいいんだ)

「へー。でも、いっちゃ悪いけど人が…」


時間の問題かもしれないけれど、ここの本屋の中には人が全く見えない。絶妙にその点が、俺の不安を煽る。


(そんなのは、関係ないぞ。店長はとても良い人だしな)

「まあ、確かにお客さんの量とお店の雰囲気は別だもんね」


とりあえず、本を探そう、と店の中に入った。店の中は、外観の割に意外と広く、奥行きがある。


(我は、本を探しておく。優は、その間好きに本を見ているといい)

「それじゃあ、そうさせてもらおうかな」


店に入ってから、一旦水無口さんとは別れて行動することとなった。


俺は適当なところに、水無口さんは小説コーナーへ向かって行った。



漫画やラノベが立ち並ぶコーナーに来てみると、昔見ていた漫画の続編や受験中息抜きに読んでいた、ラノベの新刊が出ている。


「本って表紙見てるだけでも面白いな」

「あっ…」


本棚の前をカニ歩きで移動していたら、その横で本を吟味していたらしい人にぶつかった。


「あ、すみません。俺の不注意で…」

「梶谷、くん…」


俺がぶつかった人は、忍さんだったらしい。そして、俺の事を見た忍さんは、その場で固まって手に持っていた本数冊が地面に落ちた。


「わ、私がここにいるのはな、なんにもないからね!?」

「動揺すると、怪しくなるよ忍さん」


俺の姿を見てから、あからさまに動揺し始める忍さん。


その話以前に忍さんの家からここまで、そこそこの距離があるわけだし、忍さんが動揺しなくとも、そこが疑問になっただろうけど。


「一応聞いとくけど、忍さんは家がそこそこ遠いのにわざわざ、ここに来たの?」

(優よ、本を見つけたのだが、そこの女子(おなご)は一体誰だ?)

「お、おなご?」


本を見つけたらしい水無口さんが、俺と忍さんの会話にスケッチブックで混ざってきた。


この水無口さんの会話方法と、独特の言い回しのせいか、忍さんは軽く混乱している。


「梶谷くん、一体その子は…」

「この子は、水無口さん。俺と一緒に図書委員やってくれてる子。今日は本をおすすめしてもらうために、ここに来てる」

「私以外の子に!?」


そんな、結婚したのか!?みたいな感じで、驚かなくたっていいのに。


「そんな驚くことじゃないでしょ」

「だって…」


まあ、忍さんにとって俺に本をすすめるというのは、大事な事だったんだろう。


(それで優よ、この女子はなんなんだ?)

「この人は忍さん。俺の…ストーカーだよ」

「友達で良くない!?」


一瞬ストーカー以外のものを言おうかと思ったけど、なかなかにそれ以外思いつかない。友達と言えば、友達なのだけれど。


(優よ、ストーカーの友はどうかと思うぞ)


俺のストーカーという紹介に、忍さんのことを軽い軽蔑の目で見つめる水無口さん。


「そんな、ストーカーだなんて…たしかに今日は、少しだけ梶谷くんをつけようかなって思ってたけど…」


つけようとって、普通にれっきとしたストーカー行為じゃねえか!


(優よ、我はあまりこの女子との交友をおすすめしないぞ)

「なに、おすすめしないって。てか、この子なに!?ずっとスケッチブックで!」


忍さんに指摘されると、少し落ち込み気味になる水無口さん。


「ま、まあ水無口さんそんな気落ちしないで」

「ていうか、本紹介するなら、私もやっていい?」

「まあ、困ることないしいいけど」

(我もいいぞ。そなたのセンスを試したいところだ)

「それなら、ちょっとまっててね」


そう言った忍さんは、既に本が決まっているのか、踵を返して急いで本を探しにいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ