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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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56 1年前の優來

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梶谷優の妹である、梶谷優來は引きこもってる。


1年前の優來、中学2年の夏。1つ上の受験生は、夏休み間際というのもあり、塾の夏期講習などで、死ぬほど勉強する時期。


そんな中優來は、クラスの女子からいじめを受けていた。


「また、なくなってる…」


朝下駄箱を見ると、自分の上履きがなくなっているのは日常茶飯事。


最初は少し傷ついたものの、最近となっては少し慣れてきたおかげで、我慢は全然できるくらいのダメージしか受けていない。


意外なことに上履きは、隠されても汚い場所に置かれることはなく、毎回普通に隠されているだけだった。


優來は、学校内でも友人は少ない方だ。そもそも、本人があまり外交的な性格をしていないというのもあるが。


基本的に学校では、穏やか、静かに過ごしていた。だからこそ狙われたのかもしれない。


「ほら、来たよ梶谷さん」


教室に入ると、一定の人からくすくすと笑われる。なんでなのかは、わからないけれど恐らく陰口でも言われたのだろう。


「ねえ、梶谷さん。私のペンどこにやったの」

「…なんのこと?」


自席に座ると、突然机をバンと叩かれ問い詰められた。


「何とぼけてんの。昨日まであった私のペンが、なくなってたの知ってるんでしょ?」

「しらない…」


突然の出来事に対し、呆気に取られている優來。


「だって、昨日梶谷さん最後まで教室いたでしょ」

「いた、けど…」


優來は確かに昨日教室に残っていた、隠された教科書を探すために。


「私筆箱机の中に入れてて、そこからとったんでしょ。なんの腹いせか、わかんないけど」

「勘違い…」

「そんなわけないでしょ、持ってるんでしょ?机の中見せて」

「いい、けど」


優來は彼女のペンなど、全然知らないため机の中を見てもらった。


「あ!あったほら、やっぱ持ってた」

「私、知らないけど、ごめん」

「白々し。まあ、いいややめてよねほんとに」

「ごめん」


謝ってから、周囲を見てみると周りの人達は、優來を見て笑っていたり、深刻そうに耳打ちで話したりしている。


とは言っても、優來の精神力は強いのか基本的ないじめに対しては、耐えることができていた。


それをみてか、誰かも分からない主犯格達の行動はエスカレートしていった。


「あ、ごめーん見えてなかった。梶谷さんさ、もうちょっと存在感とか出せないの?」

「無理」


前に比べて暴力とまでは行かないけれど、不自然な体当たりや直接的な暴言が増えてきた。


そんな日が続き秋、受験生は近づく入試に向けて、なんども復習を繰り返していく時期。


そして、優來はこの時期に引きこもりになった。


優來が引きこもるトリガーとなったのは、プールの授業の後の話だった。


「ない…」


何度もプールバッグを漁るが、出てこない。兄、梶谷優から、誕生日に貰った大事なヘアピンがどこを探しても見つからない。


床に落ちているではなく、机の中にもない。その時、優來の中で嫌な予感がした。


誰かに取られたのでは、と。


そう思うと、瞬時に周囲を確認する。ほぼ全員が着替え終わっていて、特にそれといった様子が見られない。


「優來さん、これ」


その時1人の女子が、半ニヤケのような顔をしてやって来た。


彼女が優來の前に来ると、何かを握っていた手を開いて、その中身を見せた。


「こ、これ…」


彼女が握っていたのは、髪を止める部分は折れ曲がり、着いていた装飾が壊された、優から貰った大事なヘアピンだった。


「これ、そこに落ちてたけど気をつけな…」

「死ねぇ!」


いままで、どんないじめにも耐えていた優來だったが、今回は耐えられるものでは無かった。


怒りに震えた優來は、ヘアピンをもって来た女子を殴った。


その後、倒れた女子をそのままボコボコにしようとするも、周りから抑えられた。


「優來さん、何故急に殴ったりしたんですか?」


突然女生徒を殴ったことに関して、親も混じえた三者面談で事情聴取が行われた。


「私、悪くない…」

「そう言ったって、殴ったのは事実なんですよ?」

「そもそも、いじめられてる」


いじめられてると言うと、母が担任に対して事実確認をする。


「そう言われましても、こちらにはなにも来ていませんので」

「ほぼ毎日、上履き隠されてる」

「だからって、そのヘアピンが彼女に壊された可能性だって低いでしょう?優來さんの不注意の可能性だってある訳ですし」


いじめの話から遠ざけるように、言葉を並べていく担任。


「と、とりあえず暴力行為につきましては、こっちのほうで協議致しますので、しばらく謹慎でお願いします」


そう、無理やりに話をつけられて優來達は家へ返された。


「優來、大変だったな母さんからなんとなく話は聞いたよ」


父が励ますように頭を撫でながら、優來に語りかける。


「まあ、ヘアピンぐらい買ってあげるから、あんまり気にするなよ」

「そうじゃない…」


そういうことでは無い、あのヘアピンは何よりも大事な優來の宝物だったのだから。


その後殴りかかった子に謝罪をして、学校復帰はしたものの、いじめは続いた。


前みたいに直接的なものは無くなったものの、誰がやったかわからないもの、つまり最初頃のいじめに戻った。


その間、担任は優來に接触することなく、必要最低限で過ごしていた。


結果優來は、何をしてもだめだと悟り、いままで少しづつ心がすり減っていたのもあって、圧倒的無気力感に襲われ、だんだん学校へ行く日が減っていき、最終的に不登校にまでなった。


生活が昼夜逆転してしまったのは、不登校なのが親不孝と感じ、顔向け出来なったのが強いだろう。


そんな優來が部屋から出たのは、偶然聞いてしまった兄と会話する女子の声が理由だった。


自分を最後まで守ってくれると思っていた兄が、他の人の元へ行ってしまう、自分のことを忘れてしまう。と思い意を決して部屋から出た。

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