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4 由乃の気持ち

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梶谷優の幼馴染由乃は、優のことが中学の頃から好きである。

昔の2人(7歳)の関係性は、こんな感じだった。


「優くん危ないよー」

「大丈夫だって、木に登るくらい。それに、由乃にかっこいいの見せたいしさ」


そう言ったリトル優は、慎重に木を昇っていく。ちなみにこの時は夏の山の中で、双方の家族揃ってグランピングに来ていた。


「もうちょっとでこいつが…」

「あ!憂くん」


木の上の方に止まっていた、カブトムシを取ろうとした優が木から落た。それを心配して、白のワンピースに包まれたロングヘアーのリトル由乃が駆け寄る。


「いてて」

「大丈夫?優くん」

「大丈夫大丈夫、それにほら見ろカブトムシゲットだぜ」


幼き2人はこんな感じ、今と違うとこと言えば優が比較的活発で、由乃が今よりも落ち着いた感じと言うとこぐらいだろうか。


時は動いて中学2年生、思春期によってそれぞれの心が形成されるくらいの時期。人によっては、直せない心の病厨二病を患ったり、かたや異性を見る目が変化してくる時期でもある。


そんな中、優は少し無気力気味になり、由乃はここにきて恋心を会得、知ることになった。



「ねえねえ、由乃ちゃんって幼馴染いたよね」

「優くんのこと?」

「そうそう、いいよね〜結構昔からの幼馴染って」

「そうなの?」


この頃の由乃と優は、思春期あってか昔に比べて喋ることが減少した。朝などは普通に会話したりするけれど、お互い会話があまり弾まなかった。


「そうだよ〜、だってなかなかそんな関係性って起こりえないし。両思いでそのまま…なんてのとか」

「ていうか、好きって何?」

「何そのウブな質問、可愛い」


由乃は、今まであまり恋愛と言うのに触れたことがなく、ちゃんとした I Love Youの意味をわかっていなかった。


「そうだね〜言われると難しいけど、あれかな?何をしてても頭のどこかにその人が絶対にいるとか。気づけば目で追ってるみたいな」

「相手のことが…」


(でも、私が優くんのことそういうので見てるかって言われると微妙だよね)


この日の会話は、特段何事もなく何の変哲もないただの会話として由乃の中で片付けられたこの時は。



「優くんおはよ」

「おはよ」

「優くん今日も寝癖1本出てるよ」

「え、ほんと?直したはずなんだけど…でも由乃よく気づけるよなこんなの」

「そうかな?まあ、いつも優くんのこと見てるし…」


この時由乃の中で少しの葛藤が生まれた、「これは好きなのか、それとも好きなのか」。


「大丈夫?由乃そんな、鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔して」

「あ、うん大丈夫。私、友達と約束してて、じゃあね」

「そう、じゃあな由乃」


その時の葛藤から、由乃はよく優のことを目で追うようになった。たまたまクラスが被っていたため、その行動は楽にできた。

優の友達と話してる時の顔や仕草、授業中の睡魔や真面目に取り組む姿、そんなのを日常的に見続けた。


「最近由乃ちゃん結構上の空だよね」

「そ、そう?ごめん」

「いや、なんか私と話してても別のもの見てるって言うか。ほら、今も」

「あ、ごめん」


由乃の友達が、優の方に気を取られている由乃を指摘すると、我に戻った由乃が再度友達の方に顔を向ける。


「ねえ、ほんとに大丈夫?」

「う、うん大丈夫だから気にしないで」

「あ!わかった由乃ちゃん恋するしてるでしょ」

「え!私が?ないない優くんのことなんて」


恋という単語に対して由乃の中では、優が繋がっているため条件反射的に優の名前が出てくる。


「私、梶谷くんなんて言ってないけど…」

「あ、はい」

「やっぱ梶谷くんのこと好きでしょ」

「いや、だからないって!だって優くんは、私のことそういう目で見てないだろうし…」


由乃と優は昔から一緒にいるけれど、とゆうか一緒にいるせいで優の由乃に対する接し方は、友達のそれだった。


「じゃあ私が手伝ってあげる。ギャルゲーの友達ポジション」

「何そのたとえ…」


この日から、優に由乃を女と見せるための作戦が始まった。


「じゃあ最初にその後ろに伸びた髪、まとめようか」

「いいじゃん髪くらい」

「確かにそのままでも可愛いと思うけど、こうしてみても可愛いんじゃない?ほら」


手に持っていたヘアゴムで由乃の綺麗に伸びた長いストロベリーブロンドの髪をまとめあげ、ツインテールを完成させた。


「そ、そうかな?」

「私はいいと思うけど。まあ、明日その髪で過ごしてみなって」



「梶谷くんおはよ」

「おはよう、由乃…髪型変えた?」

「変えたけど…変?」

「いや、別に似合ってると思うけど」


その言葉だけで由乃の心のかは、嬉しいの一言で埋め尽くされた。


「おはよう由乃ちゃんどうだった」

「似合ってるってそれに…ちょっと、嬉しかった」


気恥しそうに、下を向きながら答える由乃。


「好きじゃん」

「違う違う、別にそうゆうのじゃなくて単純に、純粋に嬉しかっただけ!」

「そうかな〜?じゃあさその時の気持ちを、なるべく詳細に教えてよ」

「しょ、詳細に?」


無理難題じゃね?と思いながらも、朝あった出来後を思い出しつつ、その時自分が考えたこと思ったことをできるだけ言葉にして伝えた。


「やっぱ好きじゃん」

「だから違うって!」

「まあまあ、自分の心には正直になりなって。とりあえず次の話をしようか…」


これ以降も由乃変身計画は続き、由乃は今になっても時々恋愛相談をしている。

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