33 ばあちゃんの隣の家の孫、綾ちゃんは俺を???
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「ばあちゃんただいま」
めちゃくちゃ田舎、家からコンビニまで歩いて30分以上かかるくらいの田舎。そんなとこにある、ばあちゃん家に俺は1人やってきた。
もともと、父さんと来るはずだったんだけどこうなったのはつい4日前。
「優、ごめんな父さん急な仕事入ったから、おばあちゃん家行けないわ」
「え、マジ?じゃあ、今年は行かない感じ?」
この日父さんが1週間ほど必要な、仕事が入ったらしくもともと取っていた休みは別日となり、その日行く予定だったばあちゃん家への旅行は無理になったとのこと。
「いや、別に優1人で行ってもいいぞ。新幹線使えば行けるし」
「それも、そうか。それなら行こうかな。そういや、母さんは?」
「ほら、私はお父さん達の面倒見なきゃだし」
「あー、そうか」
父さんは家事が全くできないらしく、やろうとすると確定で何かを壊すらしい。
「いや〜、すまないね不甲斐ない父で」
「いいのよ、お父さん。私がいるんだから」
「そうだな、いやー俺は幸せ者だな」
うちの両親は、この歳になっても結構仲がいいらしく、こういう時だいたいイチャイチャし始める。
正直見ていて、少しきついものがある。
「で、俺は1人で行けばいいんでしょ」
「そうそう、新幹線は取っておくから。あとは、1日に3本しか出ない電車乗って行けば着くから」
「リスキーだなー」
これに関しては、さすが田舎としか言いようがない。
まあ、そんなこんなで特に電車を逃すことなく、普通にばあちゃんちにやってきた。
「ゆうちゃん久しぶり」
「久しぶり」
何気に俺がばあちゃんと会うのは1年ぶりで、去年行こうとはしていたけれど、受験等の関係で来れず今に至る。
「身長伸びたんじゃない?」
「そうかな、言っても5cmぐらいだった気がするけど」
周囲が1年で8cmほど伸びているのに、俺は思いのほか5cm程度しか伸びなかった。まだ、成長期だから大丈夫だよね。
「そういえば、あの子は?」
「父さん?父さんは急な仕事が入って、来れなくなった。で、母さんはそのお世話」
「だらしないわね、あの子も」
正直俺も父さんを見てると、最低限の生活能力は身につけようとは思う。
「どっちにしろ、母さんもあっちでやることあったみたいだし」
「そうなのね。あと、身長で思い出したんだけど、隣の白狼さんちの綾ちゃんも身長伸びてたのよ。もしかしたら優ちゃんよりも、高いかも」
綾ちゃん、ばあちゃんちに来ると毎回あって遊ぶ女の子。
「まあ、あの綾ちゃんは、元から高かったしね」
綾ちゃんに最後にあった2年前は、俺と同じくらいの伸長だったけど、ぬかれちゃったのか。俺より身長の高い女子は近くに一人いるけど、少し悔しい。
「とりあえず、荷物置いてくる。そういえば、じいちゃんは?」
「おじいちゃんは畑にいるのよ。優ちゃんきたのに。まあ、あとで顔出してあげなさいよ」
今回は俺1人ということで、客室の和室ではなく、父さんが使っていたらしい部屋で、寝泊まりすることになった。
あまり入ったことないから知らなかったけど、父さんの部屋は当時のままで、掃除され続けているようで綺麗た。そして、父さんが使っていたであろう参考書やら趣味の本が本棚に入っている。
「もしかしたら、年代物のグラビアとかが…まじであんのかよ…」
本棚に入っている本たちをすべて出すと、本棚の一番奥にそういう系と思われる雑誌が隠されていた。
父さん、ここから離れるときとか処分しなかったんだな。とりあえず読んでみようか。
「優ちゃん」
「どうしたのばあちゃん」
「どうかしたの?本なんかだして」
「いや、なんでも」
雑誌を開こうとしたところ、タイミング悪くばあちゃんが部屋突にきてしまった。運よく雑誌は隠せたけど。
「で、どうしたの?」
「そうそう、これおじいちゃんに顔出しついでに渡してきてもらっていい?お昼、優ちゃんもまだなら一緒に食べてきな、多めに作ったから」
「わかった、ありがとばちゃん」
とりあえず本をしまってから行くか。雑誌も他と同じ感じでしまって…見つかった時は父さんごめん。
隠されていた雑誌に興味惹かれつつ、じいちゃんに弁当を届けるために外に出た。別に家の中が涼しかったわけでもないけど、外は直接日光があたるから暑い。
「あ、もしかして優くん?」
「てことは綾ちゃん!?」
外に出たタイミングで、俺よりも二回りくらい身長が高く、白のワンピースに白い帽子の綾ちゃんに出会った。
「久しぶり、2年ぶり…だよね」
「そうなんだけど…伸びたね」
「そうなの、最後の悪あがき的に去年爆伸びしちゃって」
言ったら悪いけど、身長と綾ちゃんの着てる服のせいなのか、八尺様にめちゃくちゃ酷似してる…
「ほんとにすごいね、俺の周りに身長高い子いるんだけど、その子より高いかも」
多少の差かもしれないけど、綾ちゃんの身長は初愛佳さんよりも高い気がする。
「へ、へー女の子で珍しい。で、優くんはこれから何を?」
「そうそう、じいちゃんに弁当をね。綾ちゃんも?」
立っている綾ちゃんを見ると、俺と同じように風呂敷を持っている。
「まあ、そんな感じかな。たしか方向同じだったよね、途中まで一緒に行こ」
「そうだっけ?まいいか」
正直じいちゃんの畑に行くとき、毎回父さんと一緒だったから位置が曖昧なんだよな。
「あ!ここ昔よく遊んでたとこだ」
じいちゃんの畑に向かっていると、懐かしい広めの用水路のようなとこの横を通った。いつもは、素通りしてたけど綾ちゃんといるからか、唐突に脳裏に思い出が出てきた。
「そうだね、水遊び沢山したよね、あと虫取りとかも」
「やったねー」
今じゃ、なかなかやんないけど、あの頃は虫取り網片手に走ってたっけ。今年は童心を思い出してやってみようかな。
「ところで、優くんは…そのか、彼女さんとかいるの?学校、たくさん人いるんでしょ?」
唐突じゃねと思うけど、まあ綾ちゃんも年頃の女の子だし、そういうような恋愛話は気になるのかな。
「あれ、綾ちゃんの高校、人少ないんだっけ?」
「そこまで極端に少なくはないけど、私のとこも田舎だし」
「へー」
「それで、優くんはいるの?」
「俺に彼女はね…」
ポッケにしまっていた、スマホを出してこの間電車で夜梨に撮られた写真を綾ちゃんに見せる。
「え…」
「この2人、俺の彼女」
まさかこの写真をこんなに早く、使うことになるとは思ってなかった。
「へ、へー可愛いね。2人とも私と違って、小柄でそれに顔も…」
「でも、そういう綾ちゃんも可愛いと思うけどね」
綾ちゃんの顔は普通に可愛いし、体自体もただでかいだけじゃなくて、胸も大きいし腕とかも細すぎないから、普通に男性が好きになってもおかしくないと思うんだけど。
「そ、そうかな…」
「正直、綾ちゃん学校で告白とかされてるんじゃない?」
「3回されてるけど…でも私なんて、つまんなくて面白味ないから」
3回か普通にすごいな、まあ俺には一歩及ばないけど。
「そうかな、綾ちゃん優しいし、話が合えば面白いと思うけど」
「そういうのは、彼女さんに言ってあげなよ」
「そうしたいとこだけど、俺彼女いないからな」
「え?」
軽いネタバラシをしをすると、歩いていた足がその場に止まる綾ちゃん。
「さっきのは、ただの友達との写真」
「そ、そうなんだーびっくりした」
だから正直、綾ちゃんが求めるような甘酸っぱい話は………ないないな、うんない。だって告白はされてるけど、まともなシチュエーションないし。
「なんなら綾ちゃんには、もういると思ってたけどね。3人くらい」
「私そんな節度ない人じゃないよ!」
「ごめん、冗談冗談」
怒った綾ちゃんがポコポコと俺の体を殴ってくる。力が少し強いようで、少しだけ痛い。
「でもよかった、優くんかっこいいからもういるのかと思ってたし」
「俺は、そこまでレベル高くないよ」
「謙遜しなくたって、優くんは声も顔も体も…」
「あ!じいちゃん!久しぶり!」
綾ちゃんと歩いてると、ついにじいちゃんと畑が見えてきた。綾ちゃんは何かを言いかけてたけど、俺はおなかすいてるし、後で聞くか。
「じゃあね、綾ちゃん」
「うん。じ、じゃね優くん…」
なにかを考えながら綾ちゃんは、綾ちゃんのおじいちゃんの方へ歩いて行った。
「優、久しぶりだなー」
「はい、じいちゃん弁当。俺も食べるけど」
じいちゃんに、ばあちゃんに持たされた風呂敷を渡して、畑にある休憩スペースのようなとこでおにぎりを食べた。味は安定のおいしさだった。




