32 まじめなお弁当
「いやー疲れた!」
浜辺で遊んだり、海の中で遊んだ後休憩のためにパラソルの下に戻ってきた。
まさか、バレーで夜梨が超回転サーブを打ってくるとは予想外だった。
「優くんも休憩ですか?」
「そうだね。てか、刈谷さんここで休憩するんだ」
「荷物置いちゃってますし、嫌ですか?」
「いや別にいいけど」
そうか、ここに置いてある2つのバッグ青空さんと刈谷さんの荷物か。
「刈谷さんは、何してたの?」
「私は青空さんと、海で遊んでましたよ」
「で、その青空さんは?」
「そこで、砂遊びしてますよ」
刈谷さんが指さしたとこを見ると、砂浜に座りながら、のんびりと砂の城を建てる青空さんが居る。
熱くないのかあの人は。
「これまた。刈谷さんは、やらないの?」
「私は少し疲れましたし、砂が熱いので」
「だよね、青空さんよく直に座ってんのにめっちゃのんびりしてるよ」
砂の城を立てる青空さんは、縁側でお茶を飲む老人並みにのんびりとしている。
「そう言う優くんは、バレーですよね」
「みてたの?」
「はい、私はいつでも優くんのこと見てますから」
「ちょっと、怖いこと言わないでよ」
最近多少なりともストーカー耐性が着いてきてるかもだけど、さすがに怖いものは怖いな。そもそも、ストーカー耐性なんて付けたくなかったとこけど。
「やあ〜ゆうくん、休憩してるのかい?」
「青空さんは、もう砂遊びは終わったの?」
「も〜う僕は子供じゃないんだから〜、砂遊びなんて」
「やってたでしょ」
それに年齢的にもまだ子供って言えるだろうし。
「で、砂の城はいかほどに」
さっき青空さんが砂遊びをしていたとこを見ても、砂の城は見えない。
「途中までは良かったんだけどね〜、砂が熱すぎて辞めちゃったよ〜。それで、崩してこっちに来たってわけさ〜」
「やっぱ熱かったんだ」
「いや〜最初は大丈夫だったんだけどね〜、座ってたらどんどん熱くね〜」
青空さんは熱かった証拠みたいな感じで、砂に着けていた肌をこちらに向ける。言ってしまえば尻をこっちに向けている。
「確かに、赤くなってる」
「でしょ〜、触りたかったら触ってもいいからね」
「いいよ!別に。俺尻派じゃないし」
「あ〜」
納得した感じの声を出したあと、下の水着を脱ごうとする青空さん。
「だから、脱ごうとしないで!」
ダメだ、今日の青空さんはことある事に脱ごうとしてる。ここまで来ると、俺で遊んでるんだろうけど。
「ところで、ゆうくん」
「なに、俺は脱がないよ」
「そうじゃなくてさ〜、お昼どうするの?」
「そっちか、適当に海の家で食べようかと思ってたけど」
「それなら、私お弁当作ってきましたよ。よければ、一緒に食べませんか?」
「お、ほんとに?悪いね」
刈谷さんの料理はちゃんと食べたことあるわけじゃないけど、前見た手際を考えると美味しいという確証は持てる。そもそも、普通の人が初愛佳さんみたいな料理作れるはずはないし。
「いえいえ、元から優くんに食べてもらうために作ったので」
「それは、嬉しいな」
「ちなみに、今更ですけど優くんアレルギーとかありますか?」
「とくにないけど」
「ならよかったです」
刈谷さんが笑顔でバッグから、そこそこの大きさの重箱を取り出す。
「いやー、刈谷さんのお弁当楽しみだなー」
「そんなに期待しないでくださいよ。全部自分で作ったわけじゃないので」
「じゃあほどほどにしとくよ」
それでも、刈谷さんの弁当に対する期待は膨らんでいく。
「では、あけますね」
「おおー」
刈谷さんの弁当の中は、唐揚げや肉じゃが、きんぴらといった男の子が好きそうな中身をしている。
「じゃあいたたきま~す」
「青空さん…」
横から青空さんが弁当内の唐揚げを、かっさらっていく。
「いいですよ、多めに作ってるので。はい、青空さんお箸をどうぞ」
「お、わるいね~」
いわれてみれば、俺と刈谷さん2人で食べるはずだった割に、量が多い。
「刈谷さん準備いいね」
「箸は普通に予備なんですけど、お弁当に関しては、もともと普通の量作ってたんですけが、優くんが沢山食べる可能性を考慮してこの量に」
「俺そんなわんぱくじゃないよ…」
俺はそんな大食いというわけではなく、高校生男子の平均くらいの胃袋だと思う。
「それに、残ったら面倒でしょ」
「そのときは、私が食べようかと。一応、それを頭に入れて作ってますし」
そこまでの予想が建てられるのは、普通に尊敬レベルの話だな。
「てか、刈谷さんもしかして、そこそこ大食い?」
この量の半分くらいが残っても、1人で食べ切るとすると、刈谷さんは、そこそこ大食いということになる。
「優くん、女の子に大食いって聞くのは、ノンデリですよ」
「そうだよ~ゆうくん」
「まことにすみませんでした!」
青空さんに言われるレベルは、そこそこノンデリだったのだろう。黒嶺さんの件もあるし、女性へのマナー学ぼうかな。
「にしても、これほんと美味しね~」
「唐揚げとかの揚げ物とかは、冷凍ですけどね」
「刈谷さんはなに作ったの?」
「煮物類全般ですね。肉じゃがとか」
「じゃあ早速肉じゃがを…」
刈谷さん作の肉じゃがを口を食べる。味は甘めと言うよりかは、しょっぱい寄り。使われている肉は牛肉、とりあえずめちゃ美味しい。
「刈谷さんの味付け甘くないんだね」
「苦手ですか?」
「いや、俺の家と違っただけ。なんなら、こっちの方が好きかも」
刈谷さんのやつを食べて思ったけど、俺の家の肉じゃがは甘さが結構強いのかもしれない。
「そうですか、なら良かったです。それ、お母さんに教えて貰いながら、作ったんですよ。あと、優くんそれ食べる時は、私との結婚生活を思い浮かべながら食べてくださいね」
「なにそれ、むずくない?」
刈谷さんとの結婚生活か…とりあえず朝は、馬乗りで起こされると考えて、疲れて帰った時、刈谷さんは夜這いしてくんのかな?でも、その時は俺も受け入れるのか?
「どうですか?私との結婚生活」
少し目を輝かせながら、結婚生活について聞いてくる刈谷さん。
「…肉じゃが遠慮しときます」
「えー、もっと食べていいんですよ」
「想像に疲れた」
俺の思い浮かべた刈谷さんとの結婚生活は、予想以上にリアリティが出てきてなんとなく気まづく感じた。
「で、お嫁さんになった私どうでした?」
「なんか、今と大して変わんないなって思った」
「それは、いいことじゃないですか」
「そうなの?」
「だって、結婚何年目かわからないですけど、結婚しても優くんと今と変わらない仲ってことですよね」
そうなるんだろうけど、今と変わらないって結婚しても夜這いしてるってことなんだけど。
「そう?刈谷さんが嬉しいならいいけど」
「君たちさ〜、僕がいるのにイチャイチャしないで貰えるかな〜」
「いや、別にそのつもりは無かったんだけど」
刈谷さんが想像しろと言ったから、やっただけであって決して俺が刈谷さんと結婚したいという訳では無い。
待てよ、今の発言はそこそこノンデリかもしれない。結婚したくない、ではなく予定は無いに変更しておこう。
「それに〜、ゆうくんは僕との結婚確定なんだから〜、想像でも浮気はどうかと思うよ〜」
「はーい、一生の愛を誓いマース」
「も〜う、そんなに逃げなくたっていいじゃないか〜」
想像だけで浮気言われるとは、もしや青空さん束縛系?
「とりあえず、俺はなんか飲み物買ってくる」
もともと、持参していた飲み物も無くなったし、2人との会話の休憩ついでに飲み物を買ってこよう。
「私も行きます」
「刈谷さんはいいよ。弁当作って貰っちゃったし、奢るよ。なんがいい?」
「それじゃあ、お言葉に甘えて紅茶で」
「おっけー」
「あ、ゆうくん僕のも買ってくれよ〜」
「青空さんは自分で買って」
「ゆうくんは、僕に辛辣すぎやしないかな〜」
拗ねた子供みたいな顔をして、口に唐揚げを入れる青空さん。
「はい、青空さんあ〜ん」
「やっぱり、君の料理は美味しいね〜。僕と結婚しない?」
「それじゃあ、私が嫁入りでいいですか?」
「なにしてんの…」
俺が2人のとこに戻ると、なぜか青空さんが刈谷さんにあ〜んされて、プロポーズするという謎空間。
「あ、ゆうくんおかえり〜」
「2人ともなにしてんの」
「いや〜、お箸落としちゃってね〜」
「それで、さっきのを」
それにしたって、刈谷さんはよく許可したな。というか俺が飲み物買いに行ってる間に、弁当そこそこ食べられてる。
「ま、いいや。はい刈谷さん、アップルティーでいい?」
「ありがとうございます」
「あとついでに青色さんのも」
刈谷さんと俺のとは別で持っていた、スポーツドリンクを手渡す。
「いいのかい?」
「まあついでだし」
「あんなこと言っといて〜、僕に買ってきてくれるだなんて、ゆうくんはツンデレだな~」
「青空さんが嬉しそうで良かったよ」
ほんとはクーポンの期限がギリだったからだけど、青空さんが嬉しそうなので黙っておこう。
「「「ごちそうさまでした」」」
そこそこの量あった弁当を食べ終え、3人仲良くごちそうさまをした。弁当の半分は青空さんが食べてた気がするけど。
「帰るの何時だっけ?」
「16時だったと思いますよ」
「それなら、まだ全然時間あるね。よーし!残りも遊ぶかー!」
パラソルの外、まだ暑い日向にでて、夜梨を探しに砂浜を徘徊することとなる。
「んじゃ、何人かいない気がするけど。帰るか」
残りの時間めいいっぱい楽しんで、言われていた集合場所に集まった。はたして、誰かいないきがするのは気のせいなのか、ガチなのか。
「にしてもつかれたなー」
「夜梨は4回連続でビーチフラッグやるからだろ」
「あれはきつかったな。ビーチフラッグで、トーナメントするもんじゃないって、学んだよ」
俺たちは後半、夜梨の提案で食後だというのに、ビーチフラッグでトーナメントをやっていた。結果でいうと、夜梨準決勝敗北、俺2回戦敗北、3名嘔吐。
「お、電車来たな」
3人が嘔吐する地獄の場面を思い出していると、帰りの電車が大きな音を立てながら俺たちのいる駅に到着した。
「おおーラッキー!」
電車に乗ると、電車内は人が乗っておらず貸し切り状態。普通ならここら辺の学生で混んでいたんだろうけど、夏休みさまさまだな。
「だからって暴れるなよ」
「わかってるって。おーいお前ら!」
ほんとにわかってるのかわからない大声で、クラスの男子を呼びつける夜梨。
とは思ったけど、俺も少し浮かれているし、座席はいつもなら端に座るとこを真ん中に座ろうかな。
「横しつれいするよ~」
「私も失礼して」
3人席の真ん中に座ると、それを待っていたかのような速さで刈谷さんと青空さんが、両隣に座った。
「2人とも…」
「いいじゃないか~、誰もいないんだしさ~」
「それに、適当に座っても、後から来た人に迷惑でしょうし」
2人のいうことは、説得力がありすぎて何も言えない。別に2人の隣が嫌なわけじゃないから、いいけど。
「でも刈谷さんは、何もしないでよ」
「ここ、公共の場ですよ。なにもしませんって」
「さっきは外だったけどね!」
電車内と外だったら、だんぜん電車内のほうが安全だと思うんだけど。この場合場所というより、人目の違いなのかもな。
「それなら、いいけどって青空さん早速…」
右肩のほうに重みが来たと思って青空さんを見ると、おれの肩にもたれかかって寝ている。
「さっきから、眠いって言ってましたし…しょうがないんじゃないですか?」
「まあ電車眠くなるもんね…って刈谷さんもか」
俺が一言挟む間もなく、刈谷さんも青空さん同様に俺の肩にもたれかかって寝てしまった。
「おー優、何してんだ」
「なにも、てか静かにして」
「すまんすまん」
2人が眠ったタイミングで、夜梨がこっちに来たので、2人を起こさないよう、小さい声をお願いした。
「起こさないのか?」
「2人とも、今日は疲れたみたいだしいいよこのままで」
「確かに、2人ともいい寝顔だ、映える」
刈谷さんは、朝早くから弁当作ってくれたんだろうし、青空さんは…まあいつも通りだし。
「そうだ、写真撮ってやるよ」
「なんでだよ」
「思い出思い出」
そう言った夜梨は、早撃ち勝負並の速度でスマホを出し俺達の写真を撮った。
「それに、この写真使えるだろうしな」
「何にだよ」
「公認二股してるって、嘘の証拠写真」
「使い道ないなー」
友達とかに公認二股してるって、言うことなんてそうそうないだろ。
「まあまあ、エアドロで送ってやるから」
「無駄に高画質…」
夜梨から送られてきた写真の2人は、何度か見ている寝顔の中でも上位に食い込む可愛さをしている。
「いい思い出だな」
「海来たんだから、水着の方がいいと思うけど」
まあ、これはこれでいい写真だしこのまま残しておこう。
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