表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/164

22 そもそもの出会いって

2/2

「ちょ、ちょっと待って黒嶺さん。俺何もしてないって」

「何言ってるんですか、梶谷さん私言いましたよね別の女の子が居るようなら私、殺さなきゃいけないって」


夕方の街中、包丁を持っている黒嶺さんから逃げつつ説得を試みる。


「てか、俺何もしてないって」

「何言ってるんですか、さっき言ってましたよね学校で女子からお弁当貰ってるって」


どうやら塾内で友達と、初愛佳さんの弁当が不味すぎるという話をしていた会話が、黒嶺さんに聞かれてしまったらしい。


別に美味しくない弁当なんだから、それくらい良くないかな。


「そもそも、黒嶺さん初愛佳さんとは1回話してるよね。この間、俺がブレザー貸した時」

「ああ、あの人ですか。でも関係ないですよ、梶谷さんの近くに女性がいるなら私、殺さないといけないので」


俺の近くに女性がいるからって、殺す必要ないだろ。てか、まだブレザー返してもらってない!


「殺す必要ないって、だからとりあえず矛を収め…」

「あら」


後ろを見てたから気づかなかったけど、どうやら俺は思いっきり階段から落ちてるらしい。どんどん地面が近くなってくるけど、とてもゆっくり。


それに今までの人生のハイライトが頭の中に、刈谷さんの夜這いに…あれおかしいな夜這いしか出てこない、俺の人生の八割夜這いってこと?


「いて」

「梶谷さん、梶谷さん大丈夫ですか」


意識が消えそうな中、黒嶺さんが急いで階段から降りてくるのが見える。もうちょっと意識がはっきりしてれば、何かしら言葉を口にできたのかな…



「あ、優起きた。大丈夫?記憶とか」

「母さん、おはよここどこ」


階段から落ちて、黒嶺さんに名前を呼ばれたあたりから記憶が無い、しかも起きたら知らない天井。


「あんた階段から落ちて、気失ってたんですって。でも良かったわね、近くに人がいたのと階段が低くて」


黒嶺さん、救急隊の人に報告する時、黒嶺さんと俺との関係言わなかったんだな。


「そう、にしてもやけに落ち着てるね」

「まあ最初は動揺したけど、別に大丈夫そうってお医者さんが言ってくれたから。今は比較的、てかなんであんた落ちたのよ」

「前ちゃんと見てなくて」

「前見てないって…まあいいわ」


原因を話すと、若干呆れるような声とともに目頭を抑える母さん。


「お母さん一旦帰るから、あとあんたはしばらく入院だから。学校には言っとく、あと最後にちゃんと前見なさいよ」

「はい、以後気をつけます」


正直今回の怪我に関しては、原因俺だけじゃない気がするんだけど。


「入院か、期間聞かされてないから知らんけど、暇そう。ちょっと出歩くか」


恐らく俺の怪我は、頭に包帯巻かれてることから、頭の怪我だろうし出歩くぐらいなら大丈夫なはずだ。


「こんにちはー」

「あ、こ、こんにちは…」


何も聞こえないから一人部屋だと思ってたけど、俺の部屋相部屋だったんだ。隣にのベットに居たのは、静かに読書しながら、控えめに笑っているた女の子。


彼女のベットには、松葉杖がかけられているからているから、恐らく足の骨折で入院しているのだろう。



やべー、馬鹿みたいに暇だ退院まであと6日もあるのに、馬鹿みたいに暇だ。


スマホを音を出せないから、動画を見るに見れないし、テレビは平日面白い番組やってないしで、めっちゃ暇。


ここまで来ると、隣にちょっかいかけるしか無くなってくるんだけど。


いや、まてよここは勇気を出してお隣の人と話をしよう。1つ前から気になっていた話題はあるし。


「あのー、()さんすみません」

「え!あ、はい私ですか?」


俺が隣の忍さんの名前をカーテン越しで呼ぶと、たじたじながらも答えてくれた。ていうか、今の俺結構非常識なことしてないか…


「て、ていうか私の名前…」

「あ、ごめんなさい間違えてました?」

「い、いや違くて。な、名前なんで知ってるのかなって」

「そっちですか、看護師さんに名前呼ばれてるのが聞こえてたので、それで」


まじで暇すぎて、周囲の音を聞いていた副産物として、俺は隣の人、忍さんの名前を覚えることが出来ていた。


「そ、そうなんですか。そ、それでなんで私を呼んだんですか」

「そう、それなんですけど。何かおすすめの暇つぶしとかありますか?」

「わ、私にですか?」

「はい、忍さんにです。というかどっちかって言うと、おすすめの本はありますか?」


忍さんは、俺がなんとなく見かけた時いつも本を読んでいて、いつも幸せそうな顔をしていたから、絶対にどこかでこの話をしたいな、と思っていた。


「お、おすすめの本ですか。ちょ、ちょっと待ってください」


そう言われて待っていると、忍さん側のベットからバタバタと慌ただしい音が聞こえ始めた。


「大丈夫ですか、忍さん」

「は、はい。これ、どうぞ」


カーテンの隙間から、忍さんの手が出てきてその手に持っているのは「悪魔の十戒」と書かれた文庫本サイズの本。


「ありがとうございます。ちなみになんですけど、少しだけこの本のこと聞いてもいいですか?」

「は、はい拙いかもしれないですけど、私のでいいなら」

「お願いします」

「まずこの本は、著者 白柳黒丸先生という方が書いていまして、この方はミステリー物書いているんですけど、白柳先生の代表作がこの本なんです。ストーリーとしては、終戦後すぐの日本画舞台でして、主人公が天使と悪魔と名乗る殺人鬼を追う話になっていて、読めば読むほど謎と作品に引き込まれていくんですよ」

「おー」


本の話を始めた途端、今までの緊張気味な感じはなく、饒舌に作品の概要を教えてくれた忍さん。


早口ではあるけれど、しっかり内容も入ってきて思わず拍手が出てきた。


「ご、ごめんない。早口…キモかったですよね」

「いや、キモイだなんて…普通に聞き取れたし、それに説明がうまかったから、これ読みたくなったしね」

「そ、そうですかありがとうございます」


俺自体小説とかは面倒でほとんど読まないけど、忍さんの説明でこの本は結構読みたいと思えた。


「それじゃあ、なるべくすぐ読むんで、感想でも語り合いましょう」

「は、はい頑張ってください」


忍さんが熱弁した本を読んでみると、忍さんの熱量が分かるくらいのおもしろさで、読んでるだけで時間が過ぎていった。



「忍さん本ありがと、結構面白かったよ」


忍さんを呼んでから、またカーテン越しに借りた本を返す。


「そ、そうですかそれなら良かったです」

「特に終盤の犯人特定辺りとかもう」

「わかります!めっちゃいいですよね、そこもいいんですけど、私的には中盤の女将とかキャラが立ってていいと思うんですけど」

「あー確かに結構個性的でしたね」


意外と本は熱中すると、1日で読み切ることができ、このように毎日忍さんから本を借り、感想を言い合うを3日ほど繰り返した。



「忍さんこれありがと。やっぱ忍さんのおすすめする本は面白いよ」

「ありがとうございます。あと、梶谷くんにひとつ言うことがあって」

「言うことって?」


忍さんとは、本という接点で距離自体は近くなったけれど未だに、忍さん側のカーテンは晴れないままだった。


「私、今日退院なんです。だから、しばらく本は貸せないかもって」

「良かったじゃん。おめでとうございます。ちゃんと、歩けるようになったってことでしょ?てか、なんで入院してたの?」

「二宮金次郎みたいに、本を見て歩いてたら階段で足を滑らせちゃって」


まさかの忍さんも俺と同じく、階段からの転落で入院とは、謎の引力を感じる。


「そこじゃなくてね。私、梶谷くんのお見舞い来ていいかな?本のこととか、また話したいし」

「全然いいよ、忍さんが来ない間、本を読み込んでもっと踏み込んだ感想言えるかもだし」


俺個人的な感覚だけど、今まで忍さんと話していた感想は1回読んだ上辺の感想しか言えなかったから、もうちょっと深い感想を言ってみたかった。


「あと、最後にもう1つ聞きたいことがあって」

「最後?別に何個でも聞いていいけど」


何かどデカい質問でも来るのかもしれない、一応覚悟を持っておこう。


「その、なんで私に本のこと聞いたのかなって。正直私の感性なんかより、ネットとかで調べた方が確実性あるのに」


なんだそんなことか、この話については既に俺の中で答えが出ている。というか、考えるまでもなく決定的なものが俺の中にある。


「簡単だよ。初日挨拶した時、読書中の忍さんの顔が、楽しそうというか()()()見えたから。そこから、相当本が好きなのは読み取れたし、あとは単純にネットの声よりも実際の声の方が熱量はあるからね」


初日見かけた忍さんの顔は、一瞬ではあったものの俺の中では、とても幸せそうな顔をしているように映った。


「そ、そんな…か、可愛いだなんて。私ただ、ニヤけてただけだから…」

「そう?俺の友達はニヤける時もっとすごいから、そのせいかもしれないけど、あれは普通に幸せそうな顔だったと思うけど」


幸せな笑顔と曖昧な感じの言いたかしてるけと、言ってしまえば、綺麗な笑顔だった。


「なんで、梶谷くんはそんな普通に恥ずかしいことが言えるの!」

「あ、カーテン空いた」


何故か少しキレ気味な声で、俺と忍さんを隔てていたカーテンを思いっきりオープンする忍さん。


「ほんとに、なんでそんなこと普通に言えるの…」

「まあ、普通に俺が思ったこと言っただけと言うか」

「だ、だからぁ…」


そんな話をしたら忍さんは、開いたカーテンの隙間に隠れていってしまった。



「それじゃあ、梶谷くんまたどこかで」

「じゃあね忍さん、また本のこと話そうね」


その後忍さんは、何事も無かったかのように退院して行った。


俺は忍さんが消えたことによって、相部屋だった病室は俺の一人部屋へと進化した。


「しばらくは1人か…誰か来ないかな」


1人になった病室のベットの上で、軽い伸びをしてから、忍さんが置いていった本を読み始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ