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隣の○○さんは俺に○○してくる  作者: 黒薔薇サユリ
第1章

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21/161

21 病室で隣だった忍さんは俺にストーキングしてくる

1/2

「夜梨、ちょっとお願いがあるんだけど」

「どうした優、珍しく真剣な顔して。もしかして俺への愛の…」

「そんなわけないだろ」


なんで夜梨も、青空さんみたいなこと言い始めるんだ。まあ、青空さん同様、ネタなのは分かるけど。


「で、どうしたんだよ」

「俺の事を()()()()()()してくれ」

「は?」


俺が真面目にお願いをすると、バカかお前、みたいな顔で俺を見る夜梨。


「俺は真面目に言ってるんだ」

「優、お前まさか新たな癖に…」

「ごめんごめん、違う違う」


夜梨に相談したはいいけど、ちゃんとした部分を話すのを忘れていた。


「あーなんだ良かった、てっきりお前が、男に後ろをつけられたい的なのに目覚めたのかと」

「それは俺が悪かった。とりあえず要点を話すから。最近、何故が帰宅中後ろから視線を感じてな」


これが、俺の杞憂だったら嬉しいんだけど、普通移動中感じることない視線を、最近帰宅中感じるようになった。


それに、ちらっと後ろを見たら、一瞬ではあるものの、人影のようなものが見えたし。


「視線?自意識過剰とかじゃなくて?」

「それだったら嬉しいんだけど、それがガチの感じで」


少し前までは、刈谷さんも家に来なくて快眠だったのに、最近はストーキング問題で少し寝つきが悪くなっていた。


「でも最近暑いし…」

「一応結果に関わらず、何か報酬は渡します」

「よし、やろう」


まだ決めてはいないけど、夜梨に報酬を出すと言ったところ即決でOKを出してくれたため、そのまま作戦を話した。



「それじゃあ、頼むぞ」

「おう、任せろとけ」


商店街前に来てから、胸を強く叩いて、ドンと来いと言う夜梨。


今から行う俺が考えた作戦はこうだ、学校近くの商店街の一本道を歩いて、その後ろを夜梨が着けて不穏な人がいれば、俺にLIMEを送ってもらい、おれと夜梨で挟む形にして、捕まえると言ったものだ。


「それじゃあ、俺先に行くから、後よろしく」

「おっけ、後は俺に任せろ絶対捕まえてやるから」


後ろは夜梨に任せて、俺はそのまま一本道を歩き始めた。まあ、誰もいないのが1番いいんだけど。どうか杞憂で終わってくれ。


てか、スタートしたはいいけど、とりあえず先に夜梨の報酬考えないとな。多分適当に飲み物でもあげれば、大丈夫だと思うけど。


にしたって暇だし、なんか商店街見ながら進むか。



「コロッケとチキンカツあ、あと牛串を2個づつ」

「はいはい、ちょいとお待ちを」


いやー商店街の精肉店の、揚げ物類は大きさの割に安くて助かるな。ちょっとこの量を、持つのは面倒だけど。


「とか言ってたら…」

(優、多分見つけた)


スマホの通知がなると、夜梨から商店街の路地に隠れる、女性の後ろ姿の写真が送られてきた。


(わかった、ちゃんと見張っといて)

(わかっ)


なんだよ「わかっ」って、べつに内容はわかるけどしっかり打ってから送信して欲しいな。


「ちょ!ちょっと!ヘルプ!」

「なるほど…」


夜梨からのLIMEを見ていたら、後ろから夜梨の叫び声と思われる声、が聞こてきため急いで、声の出処に向かう。


「あなた、なんなんですか、私の事ずっと付けてきて」

「夜梨大丈夫か!」

「あ、ゆー」


声の出処まで走ると、夜梨が壁ドンとともに詰められている光景が、最初に目に入った。


「え、かじ…たにくん?」


そう言いながらこっちを向いた女の子は、俺を見るなり顔を赤らめていく。


「ご、ごめんなさい。さようなら!」


顔を赤らめたと思ったら、そそくさと路地裏の奥へと消えて言ってしまった。


「優、さっきの子知ってる?」

「いや、知らん。これ要るか、精肉店で買ったやつ」

「お、サンキュー。牛串2本もらっていいか」

「1人1個づつだ」

「はいはい」


反射的に知らないと言ってしまったものの、逃げる前の顔を思い出してみるともしかして…



「それじゃあDAY2やっていこう」

「待たやんのかよ、俺昨日そこそこ怖かったんだから。あの子、顔がマジだったぞ」


なんだかんだ言いつつ、今日も商店街について来てくれてるんだよな、こいつ。


「まあまあ、()()来る、だから来なければ会わずに済むって。それにまた、報酬を出します」

「やりましょう」


また報酬の一言を出すと、速攻でOKを出すちょろい夜梨。


「やり方は昨日と同じか?」

「そうだな、引き続きよろしく」

「お、おう任せろよ。昨日のことを思い出すと、少し手震えるけど」


そう言って夜梨が俺に手を見せると、確かに微かではあるけれど手が震えている。


逆によくこの状態で俺のお願い引き受けてくれたな。


「それじゃあ、頼んだ」

「お、おうやってやらぁ」


ほんとに大丈夫かな、もう1回昨日と同じようなことになれば、夜梨の中でトラウマが確定すると思うんだけど。


とりあえず、夜梨のことは気にしててもキリがないし、今日の報酬考えながら歩くか。


というか昨日の夜梨、よくこの夕方でそこそこ人の往来のある時間帯で、ストーカーと思われる人見つけられたな。


ちょうど俺達の学校が終わる時間は、主婦の方々のお買い物時間と被るらしく、この時間の商店街は主婦の方々で賑わっている。


「優、なにしてんの」

「あ、母さん」


適当に左右にあるお店をちらちら見ていたら、前から歩いてくる母さんと出会った。


「母さんこそ、いつもここで買い物してたっけ」

「今日はお肉が安いって聞いて来たのよ。で、あんたこそなんで1人歩いてんのよ」

「あーそれはー」


これは親に正直に相談すべきなのだろうか、実際被害はほぼ確だと言っても、今日ストーキングされてるとは限らないしどうしたものか。


「えっとねー、友達待ちかなー」

「なに、かなって曖昧な。ま、いいや気をつけなね」


とりあえずこの話は、この後決めようということで、少し誤魔化しつつ母さんをまくことに成功した。



「はい、リンゴ2個と人参1本。おまけできゅうりの柴漬けと、なすの柴漬け入れといたから」

「ほんとですか、ありがとうございます」


普通におまけは嬉しいけど、なぜ柴漬け2袋。しかも律儀に素材違い。


「とか言ってたら、連絡が」

( )


空白ってことは…まあそういうことだな急ぐか。


「まってまってまって!」

「本格的にまずそう」


2日連続、夜梨の悲鳴を聞いて、急いで声の出処である路地裏方向へ走っていく。


「あなた、昨日からなんですか私の事付けてきて、私のストーカーですか。いや、もしかして…梶谷くんのストーカー?」

「見方によっては、そうかも…いや違います違います!」

「夜梨!」


路地裏を見てみると、昨日と全く同じ構図で夜梨が詰められている。夜梨、ご愁傷さま。


「かじ…たにくん、ご、ごめんなさ…」

「ちょっと待って君、(しの)さんだよね」


またも俺の顔を見るなり、逃げようとした子の腕をつかんで引き止める。


「は、はい…」


引き止めたこの子は、俺の予想というか記憶通り、忍さんだったらしい。


「てか、優この子知ってたのかよ。どういう関係?」

「あれだよ、この間入院した時に病室で隣だったんだよ」

「あー、あれか」


この間俺は紆余曲折あって、階段から転落、頭を打って軽く、1週間ほど病院に入院してた。そして、その時会ったのがこの忍さんだった。


「と、とりあえず俺は帰るわ。じゃ、じゃあな優また明日」

「夜梨、ほらこれ」

「ありがと、じゃほんとにまた明日!」


俺と忍さんの関係を一通り聞いた夜梨が、ダッシュで帰ろうとしたため、その前に夜梨に報酬であるリンゴを投げてから帰ってもらった。


「あ、やべ人参もあげるつもりだったんだ。忍さん人参いる?」

「い、いえ私兎じゃないので」


夜梨にあげるはずだった生人参を忍さんにいるか聞いてみたら、あっさり断られてしまった。


「とりあえず、歩こうか」

「は、はい」


なんで、ストーカーしてたのかとか聞きにくいな。本人も聞かれると思ってるからか、今まで比較的タメだったのに、敬語になってるし。


「じゃ、じゃあさこれどっちがいる?きゅうりの柴漬けかなすの柴漬け」

「両方たいして、変わんないじゃないですか」


商店街を歩きながら、話を誤魔化すように何かを渡そうとするも失敗。もっと気まずくなる前に、そろそろちゃんと話に向き合わないとな。


「忍さん」「あ、あの…」

「あ、忍さんどうぞ」

「か、梶谷くんは、私がなんでつけてたか聞こうとしてる……ですよね」

「一応そのつもりだったけど」


忍さんが話し始めると、商店街の道のど真ん中で立ち止まり俺と向き合い深呼吸をして、話し始めた。


「そ、その件なんですけど。わ、私その梶谷くんのことが…」


口から言葉を出すにつれ、忍さんの顔はどんどん熱を帯びて赤くなっていく。


「その、す、好きなんです!会話が苦手でまともに話せない、私に話しかけてくれて、それに本読んでる時の私をその、か、可愛いって言ってくれたり…」


言葉を全てだしきったのか、一区切り着くとそのまましゃがみこんで完全に黙ってしまう忍さん。


というか、やっぱりそうなるか。これは、俺の自意識過剰とかじゃなくて、単純に人をストーカーする理由って、好きか恨みぐらいしかないだろうし。


とりあえず、何かで恨まれてなくてよかった、殺されかけるのはほんとにごめんだから。


忍さんもちゃんと言ってくれた事だし、俺もちゃんと答えを返さないとな。


「忍さん、俺…」

「お嬢ちゃんよく頑張った!凄いぞ!」

「え?」


俺が答えを返そうとしたタイミングで、横から忍さんを褒め称える一言。多分忍さんの告白は、声が大きくて人目を引いていたのだろう。


「そうね、よく頑張った!あとは、待つだけよ」

「あ、ああ…」


周りからの言葉に忍さんの顔は、さっきよりも赤く染まってく。


「さあ、兄ちゃん答えを言ってやんな」

「あ、あのその…ご、ごめんなさい!」

「ちょっと、忍さん」


空気に耐えられなくなってしまったのか、俺が引き止めるよりも早くこの場から走り去ってしまった。


「行っちゃったよ…」

「兄ちゃん、あの子は逃げちまったけどちゃんと答え返してやんなよ。ほら、これは俺から、あんないい子逃すんじゃねえぞ」

「ありがとうございます?」


話を聞いていた、人からリンゴを手渡された。というか、逃げたのはあなた達のせいでは…


「じゃあ、おばちゃんからも」

「私も」


八百屋の人からのリンゴを皮切りに、色んな人が俺に物を応援の言葉とともに手渡してくれた。


「てか、忍さん追いかけないと」


忍さんに答え返すために、早く追わないと物貰ってる場合じゃない。3つも告白を保留にしてるのは、人としてダメな気がする。


忍さんの逃げた方向に、走って商店街を出るも、さすがにもう遅いのか忍さんは見つからなかった。


「てか、この一件で商店街行きずらくなったな」


全員が俺の顔を覚える訳では無いだろうけど、しばらくの間はここに来ただけで忍さんとのことを聞かれる可能性があるし、しばらくは商店街に行けないな。


まあ、とりあえず帰ろう。



「母さんただいま」

「おかえり、どしたのその荷物」


沢山貰った物を持ちながら、家へ帰る頃には貰った物の重さで俺の筋肉と体力は力尽きかけていた。


「ちょっと、おまけラッシュ食らって」

「なにそれ、とりあえず冷蔵庫入れるよ」

「お願いします」

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