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17 青空ちゃんのお気持ちは

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青空の性格は今も昔も変わらず、マイペースでゆっくりな性格だ。


エピソードを出すと、小学生低学年の遠足とかがわかりやすいだろうか。


「あれ、青空ちゃんどこいった?青空ちゃーん!」


青空が移動列から消えていることに気がついた先生が、青空の事を呼び探す。


「ねえ、青空ちゃん見なかった?」

「青空ちゃん?なんかさっき、あっちの方でしゃがんでる子は見たけど…」

「わかったありがとう」


恐らく青空だと思われる子の情報を聞きつけた先生は、急いで後ろへ下がり目撃情報のあったところまで向かった。


「あ!いた!青空ちゃんどうしたの?疲れた?」


先生が目撃情報の位置に向かうと、日陰でしゃがむ青空を発見した。


「あ、先生。見て見て、ありさん達が色んなもの運んでるんだ」


青空の指さしたところを見ると、あり達も遠足の移動列のように列をなして、ビスケットや虫の死骸を運ぶ姿が見られた。


「もしかして、これをずっと見てたの?」

「いや〜、なんか気になっちゃって。ありさん達も遠足かな?」

「ありさん達は仕事じゃないかな?これは働きありさん達だから」

「へ〜ありさんは、僕と違って働き者だね」


先生と話している間もずっと、エサを運ぶあり達を目で追う青空。


「て言うか青空ちゃん!勝手に列からはみでちゃダメでしょ!」

「ごめんなさ〜い」


先生からの注意を受けたあとは、勝手に列から出ないようにと監視のために、先生と手を繋ぎながら移動することとなった。


そんな昔からマイペースな青空は、いがいにも中学2年の夏に告白された。


「青空さん、僕と付き合ってください!」


相手は青空と2年連続同じクラスの男子。


「いや〜嬉しいけど、なんで僕みたいなやつと…」

「青空さんは、マイペースでいつも人とズレてるとこはあるけど、僕はそこが可愛いと思うし好き。それに青空さんと話すのは楽しいし」


告白してきた男子は、自分の思う青空に対する気持ちを精一杯伝える。


「そうか〜ありがとね。でも…ごめんね〜、正直僕みたいなのよりいい人はいっぱい居るだろうし、それに僕まだ恋愛とか興味無いからさ〜」


そう言って立ち去っていく青空。周りからは少し嫌な奴に見えるだろうけれど、これでも青空はなるべく言葉を選んで喋っていた。



そんな青空の趣味である釣りは、同じく中学2年漁師でた父から進められたものだった。


「青空ー!父ちゃんと釣りいかない?」

「え〜釣り〜?面倒くさそうだしな〜」


最初青空は、釣りに対してあまり肯定的ではなくやりたくないといった感じだった。


「そうか?父ちゃん、釣りは青空にピッタリだと思うんだけどな。それに青空、特に趣味とかないだろ」

「ま〜そうだけど〜。しょうがないな〜そんなに行きたいなら、青空ちゃんが行ってあげよう」

「よしきた!そうとなりゃ早く準備だな、ちょっと待ってろ」


そう言って、慌ただしく青空用の釣りの準備も始める青空父。


青空の父は、この時無趣味な青空になにかあげたかったというのもあったのだろうけれど、単純に親として子に得意なものでいいとこを見せたい、と言うのもあったのだろう。


「それじゃあ青空、父ちゃんのいいとこ見とけよ?」

「は〜い頑張って〜」


車に揺られ手やってきたのは、今では青空の釣りスポットとなった堤防。青空の父がやり方を見せると言って、早速竿を海へ投げ入れた。


「お父さんまだ〜」

「ちょっと待てよ青空。おかしいなー、いつもはもうちょっと釣れるんだけど…」


父が竿を投げ入れてから、約20分青空は持ってきたクーラーボックスの上に座って父の動向を待つ。


「いやーごめんな青空父ちゃんかっこいいとこ見せられなくて、暇だろ」

「まあ、暇だけど。僕はこういうぼーっとするの好きだし、全然大丈夫だよ〜。こういう時間ができるなら、釣りやってみようかな」


変な部分ではあるけれど、釣りの良さに気づいた青空は、少し釣りにたしいて肯定的になりつつあった。


「お、おうそうか。俺の考えてた、釣りへの導き方じゃないけど、興味持ってくれたならいいや」

「じゃあ僕もやってみるよ〜、とりあえず投げればいいんだよね」


そう言って持ってきたもう一本の釣竿を持って、先程見た父のやり方を真似て竿を海へ投げる。


「これで待ってればいいんでしょ?」

「青空上手いな色々と…」


青空の一連の動きを見た父は、本当に初心者か?という疑問が脳裏をよぎっていた。


「お、引っかかった見たい。お父さんこれからどうすればいいの?」

「え、もうか?」


青空が投げ入れて数分で早速1匹目が引っかかった。


「ちょっと待ってろ今教えるから」

「こうやって…あ、釣れた」

「釣れたのか!?」


青空が感覚的にリールを巻いたりしていると、何故か魚が釣れた。父はこれを見て空いた口が塞がっていない。


青空は釣りに関する勘が、とても鋭かった。



ではそんな青空は優のことをどう思っているのか。


(お、見たことない人が来た)


この日青空は、例のごとく堤防へ来ていた。そこでたまたま横に来たのが、優だった。


(連れの人は見覚えあるけど、もう1人は…ないな初めての子なのかな)


比較的人の顔はすぐ覚える青空は、ここの堤防によく来る人の顔は多少覚えていた。


(あ、連れの人どっかいっちゃった。もう1人の子すごい顔してる面白。てゆうかあの子見覚えある気がするな)


その後も優の行動を見て少し笑うを繰り返していた。最初青空にとって優は、面白い暇つぶし程度に見る人だった。


そんな青空が優と話すきっかけは、ただただキレている優に注意する時だった。


(さっきからあの人凄いイライラしてる…)


たまにちらちら優のことを見ていた青空は、最初と今の優の心境の違いに気づいていた。


「暑い!暑すぎるし、全く魚反応しなくて釣れない!」


優が大声を出すと、周囲の同じく釣りをしている人達が一気に優の方を向く。


(さすがに注意しないと、魚逃げるし多分この子が怒られちゃうな)


「ちょっと君〜…」


このまま優がどこか行くとつまらないと思った青空は、優にだいたいの釣りのやり方を伝授した。

では、そんな青空は現在優をどう思っているのか。それは、これを見れば分かるだろう。


「流石ですね、青空先輩にはかなわないですよ。それにいいですね釣り」


こっちを向いて、青空と一緒に釣った魚を持っていい笑顔をする優。


「じゃあ、釣りは楽しいってことかい?」

「そうですねー、釣れない時はどうしてって感じでイライラしますけど、このさっきみたいに魚が釣れた時は今までのイライラが全部吹き飛ぶぐらいの脳汁が…」

「良かったよ、くんが釣りに目覚めてくれて。ところでゆうくん」


さっきからの優の反応を見ていて、青空の心に小悪魔とある感情がでてきた。


「え、どうしたんですか急にまた近づいて…」


何かを思いついた青空は、両手の塞がった優に近づき一言囁く。


()()()だよ」

「は?え?」


青空から言われた大好きに、優は困惑を隠せない顔をしている。


「大好きだよ、釣り。ゆうくんは?」

「あ、釣り。釣りでしたかまあそうですよねー」

「なんだい?もしかして〜僕からの愛の告白とでも思ったのかい?」


勘違い?をした優をいじるように優に向けて人差し指をぐるぐる回す。



「青空さん俺そろそろ帰るので、また学校で」

「そうかじゃあね〜ゆうくん。大好きだよ〜」

「そう言うからかいはいいから!それではまた」


優が時間が来たらしく、青空のいる堤防からどんどん離れていく真っ赤な夕日の光る空の中青空は1人夕日を眺めていた。


「大好きか〜。うん!そうだね僕はゆうくんのことが大好き!」


夕日を眺める青空の中で優と言う存在は、面白サンドバッグからしっかりとした恋愛対象へと変化を遂げていた。


それはひとえに青空にとって優と共有した、釣りの時間が愛おしく感じたのが強いだろう。けれども、優と他の男子との違いはわからないまま。

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