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13 ヤンキー作お弁当

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「優、いるかぁ!」


初愛佳が優の名前を呼ぶと、お昼の時間でハッピーな空気が一瞬で緊張のある空気に変化した。



「優くん、優くん呼ばれてますよ」

「え…誰がなに?」


お昼前の授業で俺は眠っていたらしく、少し重い頭をゆっくりとあげる。


「よお、優。俺が呼びに来て睡眠とは、いいご身分なようで」


俺の机の前に仁王立ちをしている初愛佳さんが、少し怒ったような顔で俺を問いつめる。


「お、おはようございます…」


とゆうか、いいご身分って言ったって、初愛佳さんが来るの毎回不意打ちだから、防ぎようがない気がするんだけど。


「ま、とりあえず来いよ」

「はい…」


初愛佳さんに言われ、後ろをとぼとぼついて行く。


初愛佳さん、こういう誘い方するからヤンキーのレッテル消えないんじゃないか?


「優、あんまし授業中寝ない方がいいぞ。重要なとこ聞き流すし」


いつもの踊り場に着くと、口調は比較的穏やかになって普通に話始めた。


「それなら初愛佳さんは、サボらない方がいいんじゃないんですか?今日だって、授業終わってすぐ来てますし」


僕は授業出てるからいいけど、初愛佳さんは出てないし、このままだとダブる気がするんだけど。


「俺はいいんだよ、ちゃんと授業数計算してサボってるから」


何それかっこいい、というかもしかして初愛佳さん結構頭いい方なのかもしれない。


「それにちゃんと、テストも勉強してやってるからな」

「じゃあ、なんでサボるんですか」

「だってな、俺が授業出てっとクラスのヤツら授業楽しそうにしないんだよ」


やっぱり初愛佳さんは、俗に言う心の優しいヤンキーなんだな。周りに配慮するために、自分の内申捨てるなんて。


「でも、ダブんないでくださいよ。来年から後輩とか俺も嫌なんで」

「なんだ優は嫌なのか、俺が後輩になんの」

「そりゃあそうでしょう、親交ある人とは一緒に卒業したいですし」

「そ、そうかよ…」


まあ、これは俺の半分エゴでしかないんだけど。それに、同い年とは言え後輩にパシられてる先輩はなんかダメな気がする。


「それで、今日も俺はパン買いに行けばいいんですか?」

「いや、今日はいい」

「初愛佳さんが行くってことですか?」

「今日は俺が弁当もってきたからいいってことだ、あとお前の分ももってきた」


そう言って初愛佳さんが、青いランチクロスに包まれた弁当を俺の顔の目の前に突き出す。


「これまた、変わったものを。てか、料理出たんですね初愛佳さん」

「失礼だな。まあ、やったことは無いけどな」

「は?」


初愛佳さん、料理したことないのに、初手で弁当作りが出てくるのか、しかも人にあげるって相当な自信だな。


でも、それくらい自信があると、少し弁当が楽しみになるな。


「今回が、初めて俺1人で作った料理and弁当だ」

「なぜ、それをしようと?」

「まあ、俺にもいろいろあんだよ。とりあえず黙って食え」


て言われても、俺弁当あるんだよな。まあ、2人で分けるか。米は俺が食べるとして、他のおかずは初愛佳さんと分けよう。


「それじゃ、いただきます」

「おう、食え食え。なんせ俺の自信作だからな」

「へー結構な自身です…おっふ」


初愛佳さんの作った弁当を開いてみると、俺の期待を超絶裏切る中身。弁当に入っているおかずは、ハンバーグにその他おかずいくつかだと思われる物。


ものは何となく形から推測したものだ。恐らくハンバーグと思われるものに、かかってるソースがソースの見た目してないけれど。


「どうだ優、美味そうだろ」

「ち、ちなみになんですけど、どうやってこれ作りましたか?」

「何って俺の目と舌で作ったけど」


とゆうことは、見本とか手順見ずに作ったってことですね。終わったー!


「へ、へーこのソースはなんですか?」

「あーそれな、よくわかんなかったから適当に()()()()()ぶち込んだやつだな」

「それはそれは…」


さしすせそ使ったってもうちょい液体になるだろ、これ、なんかよくわからんとろみついてるんだけど。


「まあ作り方は置いといて、食ってみろよ」

「は、はいいただきます」


初愛佳さんに言われて、ハンバーグを半分に割って口の中に入れ咀嚼する。


最初に感じたのは、ハンバーグの肉とソースもどきとの不一致感がすごい、口の中で綺麗に肉とソースもどきの味が分裂してる。


「どうだ美味いだろ、俺も一応味見してて美味いと思ったんだよ」

「はは、ちょっと待ってくださいね…」


味見したは絶対嘘だろ、そしたら初愛佳さん結構なバカ舌説あるぞこれ。


てかまずい、めっちゃ吐きそう。


「どうした優、黙って。もしかして…俺の料理まずかったか?」

「い、いやそういう訳じゃなくて…」


この人ヤンキーの割に無駄に心繊細だから、不味いとか言ったら絶対落ち込むよな。感想言うのムズ!


「別に不味いって訳じゃなくて、その…独創性強いなーって話でして」

「優お前…いいレポすんな!そうか美味しかったか」


俺の苦肉の食レポに、初愛佳さんは喜んでくれたみたいで、笑いながら俺の背中をバシバシ叩いている。


あ、良かった意外といい意味で受け取ってくれたみたいで。ていうかどうしよう、この残りのもの達は…


「いやー、良かった。優の舌にあったみたいで、母さんから不味いって言われてて心配だったんだよ。母さんって、バカ舌なのかな」


凄くバカ舌はあなたですって、言いたい。


てか、1回ダメだしされてんのかよ!よくそのまま行こうと思ったな。


「へ、へー味見してもらったんですね」

「いやー母さん酷くてよ。人が一生懸命作ったてっのに、毒とか暗殺者とか言ってくるんだぜ、ほんとに困るよな」


俺は結構的をいた的確な評価だと思うけど。


「そういえば、俺の弁当食べていいですよ。とゆうか、2人でわけましょうか。さすがに俺も2人分は食べれないので」

「お、いいのか」


ここに来て俺の天才的な閃き、母さんの料理で初愛佳さんの料理を中和しよう。


「じゃ、優の母ちゃんの弁当いただきます」


そう言って初愛佳さんが弁当箱から、インゲンのおひたしを持っていく。


「やっぱこの間も思ったけど、優の母ちゃん料理上手だよな」

「まあ、確かに比較的上手な方かもですね。料理毎回凝ってますし」


初愛佳さんよりも、上手だとは絶対に言えると思う。


「やっぱ優は、結婚するなら料理上手な方がいいか?」

「いや別に、普通の味が担保されてればなんでもって感じですけど」

「そ、そうか…普通の味か…」


そういや、こんな質問前に由乃にもされたような、世の女性はみな気になるのかな、料理出来た方がいいかみたいなのは。



「ご、ごちそうさまでした」

「お粗末さまでした」


その後なんとか、母さんの料理で中和しつつ、気合いで初愛佳さんの料理を完食した。


「でも嬉しいな。誰かが俺の料理食べてる姿見るの」


初愛佳さんから、俺の弁当を食べる顔はいい感じに見えたみたいで、ウキウキな笑顔で話している。


「そうですか、それなら良かったです」

「もし良かったら、俺の気が向いた時また作ってやるよ」


またってこの創作料理の域を超えた、料理をまた作るってことだよな。


「い、いやー」

「なんだ嫌なのか。もしかして、ほんとは俺の料理不味かったとか…」


ウキウキな顔してると思ったら、次は少しずつ顔が暗くなっていく初愛佳さん。


「い、いやそう言う訳じゃなくて、次はなんか料理手順とか調べて作って欲しいなって。そうしたら、さらにこれが美味しくなると思うので」

「確かにそうかもな、次はやってみるか」


よし!これなら、次来た時多少なり味は人体に害のないものになるはずだ。


「と、とりあえず俺は次の授業の準備があるので」

「そうか、次の授業は俺も出るからお互い頑張ろうな。あと、寝るなよ優」

「大丈夫ですよ、眠気は消えたので」


そもそも1回寝たのと、初愛佳さんの料理で完全に目が覚めてるから今日は寝る心配はない。


「あ、優くんおかえりなさい。凄い疲れた顔してますね…もしかして遂に暴力に…」

「普通に、食疲れみたいなもんだよ」


どうやら、初愛佳さんの料理に耐えるために、俺自身の体力をそこそこ削ったことの疲れが顔に出てたらしい。


「そんな時は来ますか?私の太ももの上。全男子の夢!膝枕してあげすよ」

「いや、やめときます」

「つれないですねー」


膝枕したらしたで、なにかされるだろうしさらに体力使いたくもないし逃げ一択したかない。


「まあ、まずい時は私なんでもしますから言ってくださいね」

「まあ、三途の川が見えたらいうよ」

「それはもう手遅れじゃないですか?」

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