124 戦友と主の出会い
高校生にまでなって、厨二病という稀有な存在如厨奈、基悪魔の使い(123話参照)。
そんな彼女の主である、優、基闇の支配者光への反逆者(123話参照)との出会いは、偶然によるものだった。
この話をする前に優の厨二病期の話を少しだけしよう。
当時、梶谷優15歳。彼は、受験勉強の真っ最中であった。そんなもんで、優の中にはストレスやらフラストレーションやらが溜まりに溜まっていた。
そんな折、国語の対策として読者を嗜むようにし始め時、取っ付きやすいようとラノベを購入し、読み始めた。だがしかし、これが諸悪の根源だった。
優の読み始めたラノベ「異世界に転生した俺は、悪魔と契約して魔王と戦いたいと思います」に影響され、勉強のし過ぎで弱っていた優の心には、自分の中には特殊な力があるという、妄想が生まれその結果優の中に闇の支配者光への反逆者(123話参照)という、なんとも言えないもう1つの人格が生まれた。
優の厨二病は、本を読んでから約1ヶ月間続くこととなった。
まあ、そんな話は置いといて、如厨奈の方へ戻ろう。
彼女如厨奈の厨二病が発現したのは、優と似たような物で、如厨奈自身の異世界転生してチートを使いたいという憧れ、それもあって彼女がかっこいいと思ってるという理由で悪魔の使い(123話参照)という人格が生まれた。
そんなもんで、如厨奈は中2に上がってから、クラスでは孤立するし、もちろんのこと話し方のせいで変な目で見られるという日々だった。
(まあ、我には関係ない。我は崇高なる使命があるのだから)
と、まあ本人は気にしていないのか、それともただの痩せ我慢なのか、まあとりあえず本人は気にしないようにしていた。
そんな中、ある日如厨奈はクラスの人たちにいじられ始めた。基本話しかけられも、人見知り寄りなのもあってフル無視な如厨奈に対して、何かを見いだしたもの達が如厨奈に何度も話しかけ、能力の話を持ち出していじるというのが繰り返されるよつになった。
「ねえねえ、悪魔の使いさん」
如厨奈のクラスメイトが、半笑いで如厨奈に話しかけに近づいてくる。
「だから、我をその名で呼ぶな。呼ぶなら如厨奈と呼べ」
「ああ、ごめんごめん。如厨奈さんだったね。能力で粛清しないでね、怖いから」
「まったくだ」
それだけ話して、「ごめんごめん」と平謝りをしながら、如厨奈の元から去っていく。
如厨奈は基本フル無視だ。けれども、名前を間違われた時だけは、わざわざ訂正するために会話に参加する。
そんな如厨奈が厚い信頼を寄せる主、闇の支配者光への反逆者(123話参照)に出会ったのは、こんないじりのようなもはやいじめだろ見たいなものを受けている時だった。
「じゃあね〜、悪魔の使いさん」
「お、おい。だから、我をその名で呼ぶなと何度も――いて」
如厨奈のもう1つの名前を呼んでから、走り去っていくクラスメイトを引き留めようとしたところ、普段から運動をしない、体育もかっこつけでいい感じにサボるため足が引っかかって転んでしまった。
(クッ!これも、闇の者らの仕業か)
もちろんそこそこ自業自得なことである。
「大丈夫か、戦場に降り立ちし悪魔よ」
「え?」
その時だった、如厨奈の目の前に来た男が倒れた如厨奈に手を差し伸べる。
唐突なことに、如厨奈は驚いた声で男のことを見上げた。
「立てるか」
「い、一応」
困惑が隠せない中、男の手を握り立ち上がる。立ち上がり、男の顔を見る。もちろんその相手は優な訳ではあるんだけど。
「礼を言っておきます」
「まあ、気にするな。転んだものを助けるのは、強者の役目だからな」
如厨奈は、この会話話しかけられた時から、心の疼きが止まらなかった。少し前から如厨奈は……
(もしや、こいつは我とおなじガワのものか)
厨二病的思考で優のことを同類ではないか、という疑いをかけていた。
「つかぬ事をお聞きするが。もしや、あなたは力を持った」
「おお、わかるか。そうだとも、俺こそ闇の支配者光の反逆者(123話参照)だ。そういうお前も、名があるのだろう」
「も、もちろんだとも我の名は……」
この日2人は、戦友となりしばらく放課後は厨二病の設定を切りつめていく日々だった。そんなある日……
「悪魔の使い(123話参照)よ、なんだか元気がないな」
この日一緒に帰っていた2人は、作戦を話し込むために公園により、ベンチで話していた。ついでに好きなラノベを持ち込んで。
まったく、秘密結社的なもの達が外でそんな話をするのは、どうかと思うが。
「実は、我の力を愚弄する者らが増えてきていて」
最近の如厨奈のクラスメイトは、明らか如厨奈の力を信じていない、実際ないのだが、明らか信じていないようないじりを如厨奈にしまくっていた。
「だから、俗世のものたちには、あまり公言をしないでおこうかと思ってだな。そうすれば、我の怒りに触れて無駄な殺傷もせず済むだろうし」
「そうか、自信がなくなってきたのか」
「そ、そういう訳では無いが、ちょっとな」
如厨奈自体、別に言葉でバカにされようとも自分の力は本物だと信じているため、割とどうにかなる。1番気にしていたのは、如厨奈に対し常に向け続けられる、あざけ笑うような視線が苦手なのだ。
如厨奈は、あまり人と絡むというのが得意ではないため、自分に視線が集中したりするのは、あまり得意ではない。
それなら厨二病やめろなどと言われると、どうしようもないのだけれど。
「そうか、それなら。お前に自信というものをさずけよう」
「いや、だから自信では――」
「まあまあ」
そう言った闇の支配者光への反逆者(123話参照)は、ベンチから立ち上がり悪魔の使い(123話参照)の前に跪き手を取る。
そして、取った如厨奈の手の甲に、キスをして如厨奈の目をしっかり見つめる。
「こ、これは」
「これでお前は、俺の眷属だ。これは、契約の儀。何かあれば、これを思い出すがいい。きっと、心の支えになるはずだ」
そんなことを平然とやり言う優から目を逸らし、恥ずかしそうに意味もなく周囲を見渡す如厨奈。
「そ、そうか我は今日から主の眷属」
「主か、いいな」
そう言いながら、如厨奈の隣に座り直す。対する如厨奈は、優から少し距離をとって座り直した。
優は少し不思議に思いながらも、話を続けた。
「とりあえずは、俺またはそなたに何かあれば、それをしよう」
それだけ言って優は、塾があるため「それじゃ」とだけ言って、バッグを背負って公園を出ていってしまった。
優の居なくなったベンチの、優が座っていたとこを見ながら、優にキスのされた手の甲を見つめる如厨奈。
「主……」
優の言った眷属とは、どんな関係性なのかじっくり考え、そのまま時間がどんどん流れていく。如厨奈の優への思いは、増殖していき答えが出ないまま。
そんな日から1ヶ月後、それは唐突な出来事だった。
如厨奈が帰ろうと、自身の下駄箱を開けると、そこには一通の手紙が入っていた。
家に帰って、少し浮かれた気分で手紙を開封して読んだ内容は衝撃なものだった。
「俺は、この体を離れ戦いに行く。唐突なことになって済まない。しばらくの間、この世界のことは任せた〜主、闇の支配者光への反逆者より」
手紙の内容な主が、如厨奈を置いて居なくなったというものだった。
ガチな話をすると、優の行動が痛すぎると思った塾の友達が、真剣なツッコミを優へ入れたところ、優は正気に戻り如厨奈へ別れを告げるためこの手紙を残した。
残された如厨奈の思いは知らず。
そんな如厨奈は、運命的出会いをした。如厨奈の信じる主の器だった優を、学校見学できていた文化祭で見かけたのだ。
そこからの如厨奈は、優の中に主がいると信じ、必死に勉強をし如厨奈と同じ高校に合格をした。
はたして、如厨奈の思いは優に向けられたものなのか、主に向けられたものなのか、揺れ動く彼女の心に注目だ。