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123 過去隣で戦っていた元戦友、如厨奈は俺に厨二病遊戯をしかけてくる

「優、帰りましょ」

「お、おう。いいぞ」


俺のクラスの帰りのHRも終わって、スマホ片手に片付けをしていたら、由乃が教室に乗り込んできて、一緒に帰ろうと誘われた。


「じゃあ、早く片付けしなさいよ」

「ちょっと待てよ」


もともとゆったりしていたんだから、急に速度を上げろと言われても難しいものがある。


「終わった?さ、帰りましょ」

「はいはい、行きますよ」


由乃に異様なまでに急かされつつ、急いで準備を済ませ何人かに軽い挨拶をしてから、俺と由乃は教室を出て昇降口方向へ歩き始めた。


「なんでお前、今日そんな急いでるんだ」

「別になんとなくよ」

「な、なんとなくって」


それなら、もうちょいまったり準備したかったな。


「いや、なんとなくは違ったかも」

「じゃあなんだよ」

「2人っきりで帰りたかったから……」

「え?」

「なんでもない!やっぱ、なんとなく」

「なんなんだよ」


頬を赤くした由乃の声が小さく、聞き返すとそこそこな大声で考えを戻されてしまった。


「もう、いいから早く帰るわよ。もう」

「なんでお前が怒ってるんだよ」


なぜだかぷりぷりとしている由乃と、軽い人混みを抜け校舎から外へ出た。


「そうだ、お前クラスには馴染めたか?」

「まあ、青空もいるし。それにあの子もいるし、全然馴染めてるわよ。そういうあんたはどうなのよ」

「俺?俺は、刈谷さんいるしそれに、その他も……痛。なんだよ」


由乃から聞かれて、それに対する答えを返したら、由乃から無言の下段蹴りをバシバシとされた。


「なんか、ムカつく」

「なんなんだよ」


ムッとしたような顔をして、カタコト気味に答えが返ってきた。


なんだか、今日の由乃は異様なまでに暴論ぽいって言うか、なんか横暴だ。


「もう、由乃さんは。今日生――」

「それは、ライン越え!」

「グヘェ!」


さすがに、というかやはりセクハラ発言はアウトなようで、思っきし頭を叩かれた。


でも、由乃はライン越えと言っただけで、否定はしなかったということは、だ一確率上の可能性としては有り得るということだ。まあ、それだからなんだって話だけど。由乃のことは、気遣ってあげよう。


「もう。あんたは、もう少しデリカシーってものをねぇ」

「なんか、由乃だと気が緩むって言うか」


俺が異様なまでに由乃にノンデリなのは、ある意味で信頼の証なんだ。


「そ、そう。なら少し悪かったわね」

「そうそう。だから、お前はいつも通り俺が行き過ぎたら、適当にしてくだ――おっふ」


由乃と話していると急に後ろから、何者かに後ろから手を回された。


まあ、こういうのは誰かわかる。俺の腰周りに腕があるということは、優來か水無口さんなわけなんだけど、水無口さんはこういうことはしない。つまりは……


「どうしたゆ……ら」

「やはり。そなたは、我が(あるじ)でしたか。お久しぶりです」


俺が手を回された方向を見ると、そこに居たのは左目に眼帯をして、目を輝かせる優來と同じぐらいの身長をした女の子。


「えっと、誰?」

「あ、主、我です。あなたの眷族である、最後の罪人(ラスト・ギルティ)が1人悪魔の使い(デビル・エミサリー)ですぞ」


俺に抱きついてきた子は、とてつもなさそうなことを、わからない俺へ必死に説明する。それと共に、俺のライフが削れていくのが、とてもわかる。


「え、えっと……」

「そ、そんな主。まさか、我を置いて戦いに出向いた代償で……」


悲しそうな目それと憐れむような顔をして、俺のことを見る女の子。そんな目で見られたかと思えば、「やはり、我があの時」と悔しそうな声をしてまた俺を見つめなおした。


「主よ、我はあなたが記憶を取り戻すまで、傍におりますなのでどうか、我を拒むのだけは」

「ねえ、デビルちゃん」

「我の名を呼んでいいいのは、主だけだ。呼ぶのなら、如厨奈(ゆずな)と呼ぶがいい」

「そ、そう如厨奈ちゃんね」


俺と変わって如厨奈と話し始めた由乃が、如厨奈の前にしゃがみ目線を合わせて、話し始めた。


「いい?そういうのは、もう卒業しなきゃいけないの。これから、大変だよ」


如厨奈の方手を握って、優しく厨二病を辞めるよう諭す由乃。それを聞いた如厨奈は、初対面が無理だからか、それともガチなこと言われて恥ずかしいのか顔を赤くしている。


「だ、だまれ!我は主の言うことしか聞かない」


由乃に握られた手を弾いて、俺の方へ駆け寄ってくる。


「主よ、思い出しました。これなら」


俺の目の前に来た如厨奈は、俺の右手を取り俺の右手の手の甲に顔を近づける。


「チュ❤」

「な、なぁ……」


わざとらしく音を立てて俺の手の甲にキスをした。それみた由乃は、よくわからない声を出し少しばかり後ろへたじろいだ。


「思い出しました、我らの契約の儀式。これなら、主の記憶も」

「ちょ、ちょっとあんた!どういうことよ、この子の反応的にガチじゃない。関係があるなら、私に話しなさいよ」


ま、まずい。俺の心がどんどん削られていく。やだよ、またあんなことするなんて。でも、如厨奈にここまでやらせたらな。やるしかないのか。アア!やりたくない。でもだよな、この目このキラキラした目作り出したのは、俺だろうしやるしかない、か。こうなりゃやけだ。


「ちょっと!放心してないで何かいいな――」

「シッ。少し黙ろうか、子猫ちゃん」

「……はい」


如厨奈の柔らかい唇の感触が手の甲に残る中、俺の心に別人格を呼び戻し、一旦由乃を黙らせるために、由乃の柔らかな唇に人差し指を立て黙ってもらう。


「そ、その口調は!我が主、闇の支配者(ロードオブダークネス)光への反逆者(・ナイトローグ)ですか」

「そうだとも、俺こそが闇の支配者光への反逆者(上記参照)、だ」

「お久しぶりです!」


俺のもう1つの人格を目の当たりにした如厨奈は、俺を見つけた最初の時よりも目を輝かせて、とてつもなく嬉しそうにしている。


「それにしても、よくやったな。悪魔の使い(上記参照)よ。まさか、契約の儀式でこの俺を呼び覚ますとは」

「偶然、そこの主の使いが、我の手を取った時に思い出しまして。ですが不覚でした、我としたことが契約の儀式を忘れるとは」

「ちょっと!誰がこいつの――」


真面目なことを言おうとした由乃をまた黙らせる。異世界チート無双系に、ツッコミ役がほとんど居ないのと同じで、厨二病世界にも真面目なやつはいらない。なにせ、世界観が壊れるから。


「まあいいさ、こうやって少しでも戻れたのだからな」

「少し、というのはどういうことですか」


俺の言葉を聞いて如厨奈は、嫌なことを想像したからか、少し悲しそうな顔にまだ戻った。


「実は俺のもう1つの、人格が最近力をましていてな、今の弱った状態じゃ、常時俺の人格を出すことが出来ないのだ」

「ということは、また別れですか」


俺の現状を知った如厨奈は、俺を見上げ、目に少しばかりの涙をうかべ俺へ聞いてくる。それに俺は、如厨奈の頭に手を伸ばしてあげ、頭を撫でる。


「気にするな、力が回復しだい、きっと戻ってくる。それにまた、契約の義をすれば、少しばかり戻ってこれるさ」

「そうですか。それなら、またいつか」

「そうだ、最後にこれをそなたに命じておこう」

「はい。なんなりと」

「我の血族である、妹優來のことを光の戦士どもから守ってやってくれ」


俺のもう1つの人格である、闇の支配者光への反逆者(上記参照)は、悪魔の使い(上記参照)に命令を伝えてから、帰っていった。もう一生くるな!


「お、おう。ごめん。なんか、意識がぼんやりしてた。て、どうかしたの如厨奈ちゃん」

「いや、なんでもない気にするな。だが、頭を撫でてもらっても良いか」

「あ、はい」


完全に泣いているという訳では無いけれど、涙ぐんでいる如厨奈の頭を撫でる。どうも、罪悪感感が凄まじい。


「ちょっと、これどういうことよ」

「後で話すから、とりあえず如厨奈をどうにかしよう。このままだと、大号泣してもおかしくない」


如厨奈に聞こえないよう、由乃と小声で話してから、如厨奈を抱えて、近くの公園へ移動した。



「で、闇の支配者光への反逆者(上記参照)さん――」

「その名を出すな!」

「え?」

「ああ、いやなんでもない」


俺のツッコミを聞いた如厨奈は、未だ涙の残る目で俺の方を向いた。


これは、一生ネタにされ続けるやつだな。とりあえずは、周囲への感染を防がねば。


「で、優その子は、なんなのよ」

「いや、俺は知らないかなー」

「はぁ!?」


そんな、嘘だろお前みたいな顔でみたってしょうがないだろ。なんせ俺と如厨奈は――


「それは我が話そう」


涙を引っこめ、目元に赤さが残る如厨奈が、俺と如厨奈の関係について話し始めた。


「我、悪魔の使者(上記参照)と闇の支配者光への反逆者(上記参照)は……」


名前が呼ばれ俺の心が死にかける中、如厨奈はたんたんと俺の黒歴史の話を始めた。ものすごく耳を塞ぎたい。

優くんの過去ネームが微妙にダサいのは、気にしないでください。私はすごく引っかかります。

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