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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
97/190

デブ活と 作戦

 「おかし…、私のおかし…」


 父さんに判決が下されれてから少し経った頃、母さんから悲し気な禁断症状が出始めた。かなりステージが進行していたみたいだ。これは相当厳しいリバビリが必要なのかもしれない。


 ただリハビリをするのに難しいことがある。それは…、母さんが寂しそうな…、悲しそうな声で呟くものだから、すごくいたたまれなくなることだ。


 可哀想だし、お菓子くらい食べさせてあげてもいいんじゃないかな。


 俺の心にそんな気持ちが浮かんでくる。


 そんな時、父さんが母さんに向かって言葉をかける。


 もしかしたら、父さんも俺とおんなじ気持ちなのかも…、俺がそう思っていると…、


 「ルシア、そんな悲しそうな声で呟いても、お菓子は解禁しないからな。」


 なかなかに鬼な言葉が飛び出した。


 なかなかにえぐいな。父さんも…。もしかしたら、日頃の怨みも入ってるのかもしれない。


 俺が少し日頃と違った父さんに圧倒されてると、母さんに動きがあった。


 さっきまでの今には泣いてしまいそうな顔が一変し…


 「チッ…。」


 不貞腐れたような表情からの舌打ちが聞こえてきた。


 さっきの演技だったんかいっ! それなら、さっきの俺の悲しい気持ち返してほしんだけど。ほんとっ。


 はぁー、お菓子食べるかどうかのためにそこまでするかよ、フツー。


 「ねぇ、あなた…」


 俺が、母さんに辟易していると、母さんが父さんを呼ぶ声が聞こえてきた。


 なんというか、いつもより声が数段高くて、可愛こぶってるような声だった。わかりやすく言うと、猫なで声と言うやつだ。気持ち悪い。それに、親のそういう声は心に来る、吐き気的なものが…。


 「な、なんだ…?」


 そんな声に父さんも動揺が見える。父さんもなかなかに聞き慣れない声だったみたいだ。


 そんな、父さんに母さんが悪魔の言葉を発する。


 「お小遣い、ほしくなーい?」


 全世界の父親、全てが揺らぐほどの。


 「!!!!!」


 父さんも例外ではなかったみたいだ。見えるほどに身体が震えて、動揺してるのが見て取れる。


 そんな父さんが口元を震わせながら、言葉を発する。


 「よっ、要求は…?」


 そして、父さんが交渉のテーブルに座りこんだ。やはり、お小遣いという魅力は強すぎるらしい。


 我が物顔でテーブルに着いてた母さんは口を開いて、要求を伝える。


 まぁ、そんなの決まっているだろうけど。


 「お菓子の解禁…、私の要求はそれだけよ!!!」


 だよね。


 母さんから当然の言葉が漏れた。それ以外に、母さんが欲するものなんて…、たくさんありそうではあるな。まっ、いいや。


 要求を聞いた父さんは頭を抱えて考え込んでいる。それほどまでに難しい交渉みたいだ。いやっ、どうでもいいっちゃ、どうでもいいんだけどね。


 「ちなみにいくらだ…」


 もしかして、すり合わせか…?


 今、父さんのお小遣いは飯代抜きで、月に5000ウノ。これが高いか低いかと感じるのは、人によるだろう。でも、テーブルに座った以上、父さん的には足りてない…、もう少し欲しいと言うのが本音だろう。


 そんな父さんの言葉に母さんも答える。


 「いくら欲しいの?」


 「「!!!!!!」」


 俺と父さんを二人ともが驚愕するほどの言葉だった。母さんから是が非でもお菓子が食べたいという熱が見える。


 「いくらでも…、いくらでも…、いくらでも!!!!」


 父さんが頭を抱えて呟く。やはり、母さんから出たカードは化け物級のものだったらしい。


 「考えてみて、あなた…。今まで我慢してたあんなものや、こんなものまで買えるのよ〜。」


 悩む父さん2母さんが更なる追い打ちをかける。さっさと勝負をつけたいみたいだ。


 「うぅ…。」


 父さんから、唸り声まで聞こえてくる。相当に、悩ましいものらしい。いつもの父さんならお小遣い一択の気もするのに珍しい…。


 「あ゛あ゛ぁぁぁ。」


 父さんは手で頭を抱えたまま、苦しそうに天を仰ぐ。父さんにはそれだけ、思うところがあるみたいだ。


 そして、父さんの喚き声が止んだ。頭を抱えていた手は脱力したように、下へと力なく落ちていて、頭だけはさっきまでのように天を向いている。


 もしかしたら、父さんの中で決まったのかもしれない。決断が…。


 父さんが母さんに顔を向ける。やっぱり決まったみたいだ。


 母さんはそんな父さんをニヤニヤと見ている。きっと父さんがお小遣いという悪魔の一声に抗えないと思ってるのだろう。


 わかる。


 俺たちがそう思ってる中、父さんがゆっくりと口を開く。


 「今後はお菓子等を禁ずる。」


 なんだ、と…!!!


 あの父さんが母さんのダイエットをとった…。


 「えっ?…」


 母さんからも抜けた声が聞こえてきた。きっと母さんからも全くの予想外だったんだろう。


 「あなた、もう一度言って…」


 母さんは目の前のことが信じれないのか、もう一度、判決を聞き直す。


 でも答えは変わらなかった。


 「お菓子 ダメ 絶対!!!」


 母さんは力なく、ソファに膝から落ちた。最初からだけど…。


 こうして、母さんの策略は失敗で終わった…。

続きはまた明日

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