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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
95/190

デブ活と スナック

 「ルシアお前…、もしかして太ったか…?」


 父さんから母さんへと、女性にとっては絶望的とも言える言葉が飛んでいく。女性からしたら…、いや男性にしても禁句と言っても過言ではないかもしれない、とんでもない言葉だ。


 そんな言葉を受けた母さんは今…

 

 ポリポリ…


 ソファに寝転がって、スナック菓子を食べている。言い換えるなら、デブ活真っ最中だ。もうスナックが手から離れないんだろう。可哀相に…。


 今はお昼ぎすぎ、俺と父さん、それに母さんの三人で、リビングでくつろいでいるところだった。


 いつものようにお昼にパパさんのご飯を食べ終えて、家族三人で自宅へと帰ってきている。いつもと何ら変わらない日常だった。ただ一つ違う点を挙げるとするなら、今も母さんの懐に埋まったままのお菓子の存在だ。俺が気づいたときにはもう既に、母さんがそんな悪魔の供物を手にしていた。


 はぁー、そんな食べてばかりで太らないのかな~。いや、太ったから父さんからそんなことを言われてるのか。


 それに父さんも父さんで、よく母さんにそんなこと言えたよな。怖かっただろうに。でもいつかどこかで誰かが言わないと、現実を教えてあげないとダメだもんね。辛いことでも教えてあげるのが旦那の役目か…。

 

 俺はそんなことを思いながら、両親をそっと見守る。


 そしてそんな母さんの気になる反応は…


 ポリポリ…

 

 「………」


 ポリポリ…


 「「………」」


 ポリポリ…


 「………」


 無言でスナックを食べ続けていた。


 おかしい…、まるで父さんの言葉が理解できていないみたいだ。というかあんた…、どんだけ食うんだよ。ポリポリポリポリポリって…。


 「なぁ…」


 母さんからの返事がどうにも返って来そうになかったから、父さんが戸惑いながら再度声をかける。


 ポリポリ…


 「一度、そのお菓子食べるのやめないか? なっ?」


 父が諭すように優しく母さんに言葉をかける。でも母さんの行動には変化がない。つまり…


 ポリポリ…


 スナックを食べ続けている。まるでスナックを食べてる時の咀嚼音で、喋っているのかもしれない。俺には永久に、その言語を理解できそうにはないけど…。


 「………」


 父さんも困り果てて、絶句している。


 ポリポリ…

 

 「「「………」」」


 それでもなお、食べ続ける母さんが目の前にいた。


 そんな母さんを見て、父さんも何かを決めた目をした。行動に移すつもりなのかもしれない。


 俺がそう感じ取った時、父さんが早速動き出した。母さんのお供え物に手をかけようとする。いい加減、没収するつもりみたいだ。


 ただ、母さんの反応はすさまじかった。


 父さんの行動を見るや否や、スナック袋を抱えて丸くなってしまった。誰にも渡さないという意思が容易に見て取れる。簡単には取れそうにない。そして…


 ポリポリ…


 こんな時にも、食らうことは忘れない。意志と意地の強さを感じ取れる。いらないけど…。ほんとに要いらないけど。


 「ルシア…」


 父が呆れるように母さんの名をつぶやく。


 そしてそんな父さんを母さんは、上目遣いで睨めつける。まるで外敵から子供を必死に守る母親の目だ。気持ちの強さが違う。


 「う…」


 母さんの鋭い視線に、父さんはたじろぐ。


 その一瞬の隙間を母さんが逃すことはなかった。


 父さんがひるんだ瞬間…


 ポリポリポリポリ…、ガーーー


 お腹の中へと、全てを流し込んだ。ほんの、ほんの一瞬の出来事だった。


 俺と父さんが何か言う隙すらみつけられないほどに…。


 これが母さんのデブ活防止の序章だった。二袋目は父さんが羽交い絞めにしてなんとか止めた。


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