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異世界マイフレンド  作者: ゆう
メインストーリー
94/190

翌朝と 早朝

 ぶるっ


 そんな感覚と一緒に目が開く。目を開いたら、目の前は真っ暗だった。


 なんでこんな時間に起きたんだろう。


 俺がそう思ったその瞬間、もう一度やつが来た。


 ぶるっ


 なるほど、トイレか。トイレか~。あ〜めんどくさい。トイレか〜…。


 俺は心の中で、何度もトイレを連呼する。それくらい行くのがめんどくさかった。


 でも…


 ぶるるっ


 すぐに来てしまった。限界が…。


 はぁ、諦めるか。


 俺はそう決めた。


 もちろん、諦めたのはトイレを我慢することだよ。人としての尊厳は捨てたくないしね。漏らしたら皆から何言われるか分かんないし。


 こうして俺は布団を出て、トイレへと向かう。


 自宅のトイレは一階だけだ。だから俺は階段を下りて一階へと下りていく。階段を降りると、すぐにそこにあるリビング…、そしてそこにやつがいた。


 「か~、うまい。」


 そんな声をあげながら、グラス片手に一人で飲んでいた。


 そう、父さんだ。


 別にいつもの光景…、なんだけど、今日はその絵にすごくむかついた。


 お前、昨日の朝方に言った”頑張る”って何だったんだよ。一日くらい頑張れよ。クソがっ。


 はぁー。

 

 「何してるの?」


 俺は心のイライラを混ぜながら、父さんへそう口にした。


 「へ~。お酒飲んでるよ~ん。」


 そして父さんからの返答がこれだった。すんごく酔ってる。ほんとすんごく。


 「下戸野郎が…。」


 なんか自然とそんな言葉が出てきた。


 おかしい。俺はもっとお上品な言葉を使うのに。きっと、目の前にいるやつにそれだけ腹が立つからだな。お上品な俺がこんな言葉使うってしまうくらいなんだから。うん、全部父さんが悪い。


 俺が心の中でそう解釈したところで、父さんから声が聞こえてきた。


 「ル~ト君ひど~い。」


 間延びした、そんな声が…。

 

 ほんと、なんだよこいつ。昨日のかっこいい父さんはどこ行ったんだよ。まじ、返してくれよ。俺の父さんを。


 「とーたん昨日…、頑張るとか言ってなかった?」


 俺は詰めいるようにそう口にした。


 だけど…


 「言ったよ~ん。」


 返ってきたのは間抜けな言葉だった。

 

 なんだろう、毎回すごく癪に障る。


 ふ~、我慢だ。我慢…。


 「頑張らないの?」


 「頑張るよ~ん…」


 俺の言葉に父さんがそう返してきた。


 「なr…」


 なら頑張りなよ。俺がそう言おうとした時、父さんが残りの言葉を続けてきた。


 こんな言葉を…。


 「明日からね~。」


 「はぁ!?」


 明日から!?ふざけんざよ。それ、結局頑張らないやつが言う上等文句じゃん。こいつ…、口だけで絶対やる気ないだろ。返せよ。俺の純情を。


 「ルート君こわ~い。」


 ちっ


 「これだからニートは。」


 「そんなこと、言ってはいけましぇ~ん。」


 カチ


 体内でそんな音が聞こえた気がした。


 「それにしてもとーたん…、すごく楽しそうだね?」


 「楽しよ~。」


 俺の言葉に父さんがそう返してくる。ただ、俺の表情を見てからなぜかさらに言葉を続けてきた。


 「ね~ルート君、なんでそんな笑顔なの?パパ、すごく怖いんだけど…?」


 父さんの言葉は、言葉の節々ではまだ少し言葉に間延びがある。でも、なぜか戸惑いの色も見え始めていた。


 「そー?僕いつも笑顔で可愛くない?」


 「う、うん。かわいいよ。だからそのキュ~トな笑顔、ちょっと止めてくれないかな?パパ、ちょっと怖いんだけど…。」


 「やめてほしい?」


 「う、うん…。」


 俺の言葉に父さんがそう返してきた。


 だから俺は…


 最後のチャンスをあげた。


 「とーたん、いつから頑張るの?」


 そして、俺のそんな問に対して父さんは…


 「明日から…。」


 こう答えた。


 ははは。


 俺は机へと向かう。


 「ルート君?」


 何も返さない俺に父さんが気まずそうに俺の名を呼んだ。


 もう、何を言っても関係ないけどね。


 俺は父さんの言葉を無視して、机の上にあった酒瓶を手で握った。


 「ねぇ、ルート君…、何しようとしてるの?」


 俺の行動を不思議に思った父さんがそう尋ねてきた。


 俺は正直に答える。


 「トイレだけど?」


 元々、この時間に起きてる理由がそれだしね。


 「なんで、トイレ行くのに酒瓶握ってるの?」


 父さんが尋ねてきた。


 「うん?」


 「うん?、じゃなくて…」


 「なんでだと思う?」


 「なんでって…。まさか…」


 父さんの表情が、一気に戸惑いの色が強くなった。何をするか、気づいたみたいだ。


 俺は父さんへと、ニコッとした笑顔を向けた。


 「たぶん、そのまさかだよ。」


 「ははは、冗談だよな?」


 「うん?」


 「なぁ?」


 「冗談だと思う?」


 「俺が悪かったからさ…、だから…」


 さっきから父さんの顔に、戸惑いの汗がこびりついている。でもね、もう決めたんだ。やるって…。


 「大丈夫だよ。僕…、気にしてないから。」


 「なっ、なら…」


 「じゃー、トイレに行ってくるね。」


 「お酒…」


 トイレへと向かっていると、父さんからそんな呟きが聞こえてきた。小さいながらも、その声は耳に残った。


 でも俺には、そんな声は聞こえなかったんだ。


 ガタっ

 

 「おりぇのおじゃけぇぇぇぇ!!」


 トイレの外から、父さんのそんな叫び声が聞こえてきた。


 はー、たくさん出たよ。

やっぱり…

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