翌朝と 父さん
今日はちょっと…
「なぁルート…」
さっきまでのおちゃらけたような雰囲気はどこへやら、父がこっちをすごく真剣な目で見つめてきている。
どうしたんだろ?めずらしい…
「ん、なーに?」
「俺さ…、ちゃんと良い父親できているか?」
父がすごく寂しそうな、いや不安そうなかもしれない。そんな顔で俺へと質問を投げてきた。
良い父親か…。良い父親ってなんなんだろう。
前世の父親で残っている記憶は、すごく幸せなもの多い。一緒に遊んでくれたもの、一緒におでかけしたもの、妹が生まれる前だったから、家族三人で遊んだもの、優しかったもの。すごく良い、幸せな、幸せだった記憶が多い。俺にとってはほんとに良い父親だった。
たしかに浮気はした。でも、たった一度だけだったらしい。浮気は当然ダメなものだ。それはわかる。でも、一度だけだったら許してあげてもよかったんじゃないか?だって、それで家族全員が不幸になったのだから、そういう選択肢だってあったはずだ。これは結果論に過ぎない。でも、そういう選択肢だってあったはずだ。人間は完璧じゃない。だから一度だけでも、チャンスがあっても良かったんじゃないか?
いや、今は昔の父についてじゃない。
この世界の父が良い父親かどうか…
そんなの、ダメな父親だろう。頭は弱いし、馬鹿だし、あほだし。酒が弱いくせに飲みまっくて、人様には迷惑をかける。仕事は続かない。良いとこなんて一個もない。でも、俺を、家族をちゃんと愛して、愛そうとしてくれてる。良い父親ではこれっぽちもない。ほんとに。でも俺のれっきとした…
「おい、おいルート!」
思考に陥っていたら、急に父が俺の意識を拾い上げた。俺は視線を父へと戻す。すごく焦ったような、緊迫したような表情だった。
どうしたんだろう。
俺と視線があった父は俺の方へと近づいて、顔を近づけてくる。
「大丈夫か?」
「えっ!?」
なにがだろう。
「ルートお前、どうしたんだ?急に泣き出したりして…」
「へっ?」
父の言葉を受けて、俺は目元を触る。確かに、濡れている感覚があった。泣いていたのか。まぁ、きっと、昔を思い出したからだろう。
「大丈夫か?」
そう言って、父が俺の顔を覗き込んでくる。急なことだったから、俺は父から視線を背けた。
「大丈夫だよ。」
昔のことなんて、今更どうにもならないんだから。
「そぉーかっ!」
そう言って、父が俺を抱えてから、俺が膝の上に乗るようにしてソファへと座り込む。さすがに、向かい合わせは避けてくれたようだ。
「きしょいんだけど。」
「はいはい、そうだな。」
顔は見えないけど、父がにこやかに言っているのが伝わってくる。腹立つ。ダメ親父のくせに。
「くさい。」
「それは辛いなー。」
俺の抵抗はあんまり聞いてないようだ。それでも、まだなんだか抵抗したい。
「菌が移る。」
「なんのっ!?」
「ニート菌…」
「それはまずいっ!ルートもまで将来ニートになるじゃねぇか!!!」
自覚あるのかよ。まずは自分の心配をしろよ、まったく。
はぁー
俺がため息をつくと、急に左右両方のほっぺに引っ張られる感覚が現れた。後ろのニート菌が勝手に触ってるらしい。
「いちゃい。」
「それは大変だなー。」
何をぬけぬけと。やってるのはテメェだろ。クソっ、絶対あとで仕返し…
「父さんさー、また頑張るよ。」
後ろから急にそんな言葉が飛んできた。声量は大きくない。でもすごく決意のこもっているかのような声で。
フフ…
「頑張ってよ、バカなとーたん…」
「なにをーーっ!?」
そう言って、父がまた俺のほっぺを引っ張ってきた。
「いちゃーーっ!」
頑張ってね、父さん…。
たまにはこういうのも




