翌朝と 自宅警備員の父と
本日2話目
1コロリ。
俺はベッドの上で寝返りを打った。そして、瞼を閉じる。
瞼を閉じて、再度2コロリ。
………。
寝れない…
くー。
あのやろうが無慈悲に俺の睡魔を粉々にしてくれたせいで、睡魔どころか、ベッドの上での至高な時間を過ごす気にすらなれない。まだ建物に見え隠れするくらいしかあのやろうは上がってなかったから、いつもの時間より絶対にまだ早いはずなのに。
あぁ、どうしてこんなことに。俺はなんも悪いことしてないのに。太陽が、太陽が…。
…………
はぁ、あほらし。自然にキレてもしゃーないや。起きよ。
俺は着替えてから部屋を出る。いつも上り下りする階段を下り終えて、リビングへと到着すると、リビングの番人が今日はちゃんといた。しっかりと自宅警備をしていてくれたようだ。
ただいつもと違うのは、この時間にはいつも寝ているはずなのに今日は頭を抱えながら俯いていることだった。
起きているよな?あんな体勢でなんて寝れないだろうし。
気になったから、俺は警備員さんへと近寄る。俺が何歩目か踏み込んだ瞬間、
ヌワッ
淀んだ空気が俺の体にまとわりついてきた。なんも見えてないのに、ほんとに何かが体に密着しているかのように気持ち悪い。体がいつもよりか重く感じる。
俺はそんな不快感を我慢して、もう一歩だけ踏み出した。すると、さらにまたさっきよりも濃度が濃くなった気がする。まるで、発生源との距離が近づいたかのように。
もう少し進んでから話しかけたかったけど、どうやら今の俺の耐久値ではどうやらここまでが限界みたいだ。だから俺は、進むのを断念して少し遠い今の位置から声をかけた。決して、近づきたくない何かがあったわけではない。
「ねぇ、こんな時間から何してるの?」
子供らしい、かわいい我が子のかわいい声が父へと向かう。こんな可愛らしい声を聞こえてきたんだから、父もあんな陰気臭いオーラなんてすぐに取っ払うだろう。そのはずだ。そう思っていたのに…
「………」
ガン無視だった。
さっきまでと何ら変わらず、ずっと頭を抱えたまま俯いている。まるで、かわいい我が子の声がなんも響かず、聞こえてこなかったかのように見える。
カチ
俺の中でそんな音がした。
俺は速やかに父が座っていないソファへと移動する。そしてソファの上に寝っ転がっているクッションを手に取る。クッションを両手で掴んで振りかぶって、
そして…
父の方へとおもいっきし振り下ろした。
俺が投げたクッションは山なりの軌道…、なんかじゃなく、レーザービームかのようにまっすぐと父の顔面へと吸い込まれるように飛んでいった。
ぐもっ。
父からそんな声が聞こえてきた。
知るか、ボケぇ!!かわいい息子のかわいい声が聞こえてきたんだから、即時速攻で癒されたような反応を見せやがれ。
ぶつかったクッションは一瞬父の顔が浮き出した後、地へと落ちていった。クッションがいた位置には呆気にとられたような顔をしている父がいた。
俺はちょっとすっきりしたので、ニコッと笑顔を見せる。
「とーたん、おはよ。」
「おお…。」
「いい天気だね。」
「………。なぁルート君…」
どうやら父には言いたいことがあるみたいだ。
「なぁに?」
「なんか顔が痛いんだけど…」
「ふーん。大変だね。」
「大変って…。これ何か知らない?」
一瞬困惑したかのような顔をした父だったけど、打って変わって、床に落ちたクッションを指さしながら、俺を詰めいるかのように質問してきた。そんなの…
「クッションだよ。そんなのも忘れちゃったの?」
クッションはクッションだよねぇ。そんなの当り前だよ。
「ぐ…。それは分かってるよ。なんでここに落ちているか聞いてるんだよ。」
「落ちてるから?」
そう言いながら、俺は首を倒す。
いやー、僕子供だから、ちょっと何が言いたいかわからないなぁ。
「ぐぬぬぬ…。」
父がなにかもどかしそうに、必死になにか考えている。きっと、俺にどういえば伝わるか、必死に考えてるんだろう。
ふふふ。だから…
「もしかして、こんなかわいい息子がなにかしたとでも思ってるの?」
俺は瞳をつぶらにして、そう尋ねた。こんなかわいいんだから、文句なんて言いにくかろー。
「おいっ!自分でかわいいとか言うな、自分で。」
ぬっ。しょうがない。
「で、とーたんはこんな愛らしい息子が何かしたと思ってるの?」
はー、これで満足だろ。
「さっきよりも、悪化したんだが!?」
むー、何がおかしいんだよ。実際愛くるしいだろ。知らんけど。
「文句ばっかり。」
「えっ!?俺が悪いの?」
「えっ、うん。」
俺は頭を立てに振った。そんなの当り前じゃん。
「なんでや。はー、もういいや。」
気分的にちょっときついのか、父はめんどくさくなったみたいだ。
「えー、つまんない。」
「なんでだよ。」
こうして、俺と父との朝一の軽いジャブが終わった。




