宴会と 行方
今日2本目
母さんからの雷も落ちたし、そろそろ飲み会も終わりかなと思ったが、どうやらまだ続けるようだ。しかも、何故か俺やミーケも一緒に。怒られてちょっとお通夜気味だったから、カンフル剤的なものが欲しくなったのかもしれない。知らないけど。
「おっちゃんたち全員お酒、弱いね。」
さっそくミーケが役割を果たした。
「「「っ!!!」」」
ただちょっと薬の効きが強すぎたみたいだけど…。
そのせいで、三人が一斉に口を開く。
「いや、き、今日は調子がなちょっとなっ?」
「ほ、ほんま、ほんまっ。」
「そ、そうなんだっ。」
三人ともがすごく動揺しながら説明してくる。ただ、どう見ても苦しい言い訳にしか見えない。
「そうなんだ~。今 日 は 調子が悪いんだね。」
三人の言葉を聞いて、ミーケもちゃんと納得したようだ。ただ、”今日は”の部分がちょっとだけ…、ほんのちょっとだけ強調されてた気がするけど。
「「「うっ…」」」
で、やっぱり言い訳だったみたいだ。痛いところを突かれたからか、みんな言葉に詰まってるし。
「でも、そう言えばこの前も…」
ゴクッ。
ミーケの語り出しに、三人が息を呑む。いや、唾を飲む。無駄な緊張感を三人が纏っている。無駄に。ほんまに無駄すぎる。
酒が強いかどうかって、そんな大事か?
そして、ミーケの言葉の続きがやってくる。
「この時間にはとっくに出来上がってたよね。」
グサッ
ミーケが言い終わると、三人の胸へと何かが突き刺さったような音が聞こえた…、気がした。三人とも胸の辺りが痛いのか、机にうずくまりながら胸を強く押さえている。
「おっちゃんたち、どうしたの?」
そんな患者を心配したのか、薬を投与した本人自らが、首をコテッと倒して可愛らしく尋ねた。
おっちゃんらは苦しそうにしながらも、お医者さんの方へ自らの容体を説明する。
「ちょっと…、ちょっとだけ心がなぁ、痛いだけだ。」
「そうだっ。」「ほんまにっ。」
心が痛いのか、なかなか重症そうだ。たぶん心因的なものが原因だから、今すぐにでもお医者さんを変えたほうがいいかもしれない。
「そうなんだ。あっ、それとね…」
どうやらそれが間に合うことはないようだけど。
お医者さんがどうやら、新しい処方箋を付与するようだ。三人はそれを止めるために手を彼女へと伸ばす。ただ、伸びていく手は短くて、彼女に届くことはなかったけど。
「パパが、”あいつら弱いのに馬鹿みたいに飲むんだよなぁ。しかも騒がしいし。だからちまたでは、三下戸とか言われてるんだよ”って言ってたよ。」
うーわ。
ミーケが言い終わると、三下戸から伸びた手が先から段々と色が剝げ落ちていく。パリパリと色が剝がれていき、それが手全体に…、そして全身へとほころびが回っていく。
そして…
ばたっ
三人ともが机に倒れ込んだ。色と一緒に力まで削げ落ちたみたいだ。そして最終的には、三人とも白一色になってしまった。
あーあ。
周りから下戸って思われるのは三下戸からしたら相当辛かったみたいだ。本人たちも弱いの、気にしてたみたいだし。
そんな中、ミーケの方から言葉が聞こえてきた。
「よし、これで静かになった♪」
ははは。
どうやら、闇医者だったみたいだ。
後日談?
宴会の翌日の朝、俺はいつもの時間に起き、リビングへと下りていく。ここまでは何一つ変わったことがなかった。だけどリビングへとついたら、いつもと少しだけ違う光景が目の前に広がっていた。
それは…
ソファにいつも転がっている父がいないのだ。
もしかして、あの後、俺が寝ている間に飲みにでも行ってしまって、まだ帰ってきていないのかな。
そう俺が思ったとき、母さんが一階にある浴室から現れた。
「かーたん、おはよう。」
「おはよ、ルート。」
俺と母さんは朝の挨拶を交わす。
あー、今日は朝に風呂に入ったのか。珍しい。
そう思って、母さんを見ていると、なんだかいつもより肌がツヤツヤしている気がする。きっとお風呂の後だからだろう。
「今日とーたんは?もしかして、飲みに行ってる感じ?」
俺がさっき疑問に思っていたことを母さんへと投げる。俺の言葉を聞いた母さんは一拍考える仕草を入れた。そしてすぐに、言葉が返ってきた。
「ちがうわ。まだ寝室で寝てるだけよ。」
寝室か。なるほど。もう、そろそろ朝ごはんを食べに行く時間だし、起こさないといけないよな。でも両親の寝室に入るのはちょっとなー…。
だから母さんに尋ねる。
「とーたん起こさなくていいの?」
「今日はいいわ。」
そしたら珍しい答えが返ってきた。
いつもは無理にでも起こすのに…。
俺が不思議に思っていると、母さんから言葉が続いた。
「どうせ、今日はもう昼過ぎまでは起きないだろうし…。」
「へ?あっ、うん…。」
ん?なんで?仕事に遅刻してしまうのに。それに、なんだか結構前にもこんなことがあったような気が…。
ただ、俺の中の疑問が晴れることはなく、この後、俺と母さんはいつものように二人で食堂へと向かった。
父が起きたのは昼過ぎだった。たっぷり寝ていたはずなのに、なぜか顔色が悪く生気を全く感じとれない。青白いすら超越して、まるで真っ白に見える。寝ていたのではなく、もしかして気絶でもしていたのではないかと疑ってしまいたくなるほどに…。
そんな父は、起きるなり体に鞭打って大慌てで仕事へと向かって行った。
大慌てで仕事に行く父を見て、なんとなく思ってしまった。
あー、きっと昨晩から朝にかけての記憶が父にはないんだろうな。誰かさんに生気と一緒に吸い取られちゃって。
そんなことを。
そして案の定、父は仕事を首になった。
もちろん、記憶もなくして。
不思議だなー
お酒回色々反省かな




