宴会と 三人ごと
「はぁー。」
ジルーのおっちゃんや父のキテレツな話があったかもしれない。バーネのおっちゃんに少し疲れが見て取れて、雰囲気がちょっとしたクールタイムに入ったみたいだ。だからか、バーネのおっちゃんがため息を吐いた。
「バーネっ、どうしたんだっ?そんな陰気臭いため息ついてっ。」
ジルーのおっちゃんがそんな言葉を投げかける。いや、なんか、あんたのせいな気がするんですけど、気のせいですかね。いや、気のせいじゃ…
「いやな、ダビーさんも一緒に飲めたらいいのになって…」
バーネのおっちゃんがそんなことをつぶやく。ダビーと言うのはパパさんのことだ。今はまだ、厨房でご飯を作っている。
バーネのおっちゃんの言葉に父が反応する。
「相変わらず、バーネはダビーのことが好きだな。」
「あたりまえだろっ!ダビーさんは俺の師匠なんだから。」
バーネのおっちゃんが熱く言う。そう、昔パパさんも冒険者をしていたらしく、その時にバーネのおっちゃんを少し面倒を見たことがあるそうだ。父も一緒に見たらしいけど…。ここ大事、らしいってとこが。
だから、父が気まずそうに口を開く。
「なんかそういう気持ち、俺の方には向けてくれたことないよな?俺もお前に色々教えてやった気がするけど…」
そういうの言うとこだと、息子は思う。
「なんも教えてもらったことないけど?」
バーネのおっちゃんが、なんも記憶の中にそれらしいものがなかったかのごとく平然と言い放った。
「あっただろ?例えば…」
「例えば?」
バーネのおっちゃんが父の目を真剣に見据える。まるで、目で訴えているようだ。ねぇから黙っとけ、と。
「うっ、…ないです。」
父はちゃんと負けたようだ。その様子を見て、ジルーのおっちゃんがガハハハと笑っている。
ジルーのおっちゃんは笑い終わると、口を開く。
「でもよっ、ダビーも一緒にに飲みだしたら、オラたちのおいしいつまみどうすんだっ?」
「たしかに。」「ほんまやっ。」
二人が即反応した。そして、父が続ける。
「なら、他の店とかか。」
「かもな。あっ、そう言えば、ルシアさんの料理ってどうだっけ?」
バーネのおっちゃんがそんなこと言い出す。
母さんの料理なぁ。めんどくさくて料理をしないのってのもあるんだけど、そもそも料理の腕の方が…
「コゲだぞ。」
うーわっ。言いきったよ。この旦那様…。
「「コゲって!!!」」
二人もツボに入ったのか、ギャハハハハハと笑い出した。これは…
俺は同じテーブルにいる母さんの方へ、そーと振り向く。母さんはママさんと談笑していて、何もなかったかのように見える。ただ、よく見ると、こめかみのあたりがピクピクと動いている。あぁ、これは間違えなく聞こえてるわ。絶対に…。
俺はあほ三人の方へと視線を戻す。
「それにしてもオヤル、コゲってのは言いすぎだろっ。クスクス。」
「いやいや、食ったことないからそんなこと言えるんだよ!」
バーネのおっちゃんの笑いながらの言葉に、父も楽しそうに返す。ジルーのおっちゃんは腹かかえてずっと笑っている。まぁ、今だけでも楽しんでもらうか。今だけね。
声の出し過ぎで喉が渇いたんだろう。父がコップに入った酒を仰ごうとする。
でも…
「あれ?飲めないんだけど…?」
父がグラスを傾けるも中身が垂れてこない。でも横から見てると、コップには水面が見える。コップの底と水平な。
不思議だなー。
「飲めないって、空なんだろ?飲み過ぎだっ。」
きっと父が空のコップから飲もうとしたとでも勘違いしたのだろう、ジルーのおっちゃんが父を小馬鹿にしたようにツッコむ。
「いやでもほんとにっ…」
父がそう言いながら、コップを自分の真上に上げて覗き込む。そしたら…
「へっ?」
父の頭の上にさっきまで不自然にコップに留まっていた中身が一気に流れ落ちた。湯気のようなものを立てながら。
「あっづづぅぅううううっ!!!」
父が大声で酒の仰いだ感想を叫ぶ。おかしいな、さっきまで熱燗なんて飲んでなかったのになー。
父の反応を見て、他二人が笑い出す。
「なんだっ?熱いって。」
「ほんま、ほんま。あほやな~。」
そう言いながら、二人も酒の入ったコップを握る。
ジュ~~
という何かが焼けるような音が聞こえてきてから、二人の悲鳴をあげる。
「「あっづづぅぅっっっ」」
父は地面を転がり回り、二人は手を必死にフーフーしてる。そこにいつもまにか、あほ三人の目の前に母さんが立っていた。
「どう?頭は冷えた?」
母さんが三人へと言葉をかける。でも、かかったのは熱湯だから、頭冷えるのかなぁ。よりあほになっただけな気がするんだけど。
母さんの言葉を受けて、三人とも頭を激しく縦に振る。どうやら身に染みたみたいだ。お湯だし。
「そう…。」
三人の言葉を聞いて、母さんはつぶやく。そしたら、上に人一人が入るくらいの水球が一つと、その半分くらいの水球が二つ現れた。どうやら母さんが生成したみたいだ。それが三人へと落ちた。
バシャーーン
という音と共に、水に滴る男が三人出来上がった。
「「「ツュベェタァイ(冷たい)」」」
水球はどうやら冷水だったようだ。どこまでの冷水かは分からないが。
そして、そんな三人を一息つかせることなく母さんが言葉を放つ。
「で何?私の料理が食べたいんだっけ?」
口角は上がっているのに、母さんが全く笑っているように見えない。きっと視線のせいだろう。今まで何人か殺めてそうな冷たい視線…。
怖い…。
母さんの言葉を聞いた瞬間、そろって三人が頭を横に激しく降り始めた。身の危険を察知したのだろう。
でも…
「へー、食べたくないんだー?」
うすら寒い笑みで母さんが言葉を投げる。その瞬間、三人の動きが停止した。
そして…
三人共が正座した状態で頭を床へとつけた。
これは勘弁してくださいなのか、ごめんなさいなのかどっちなんだろう。
そんな三人に容赦なく、母さんの言葉が突き刺さる。
「何それ。」
冷徹な声で…。
三人はピックと反応してから…
「「「ごめんなさい。」」」
土下座のままそう言葉にした。
どうやら、謝罪だったみたいだ。
@1 10
単話書けたら、3本目17にも
でも期待薄でヨロで




