ジローラと お宝へ
進んでいくジローラの後を俺もついていく。
俺とジローラの二人は、空き地を出て、家や商店街とは違う方へ進んでいる。進むにつれて段々と自然、木が増え始めた。
それでも俺はジローラの後についていく。
筋を一本、二本と超えていくと、さっきまでいた住宅地とは違った、自然豊かなところへとやってきていた。ただ、森や林というよりかは、自然公園みたいなイメージに近いかもしれない。
自然は豊かだが、木が大量に立ち並んでいるのではなく、草原や小さい茂みが並んでいる。憩いの場としても使えそうだ。
そして、空き地からだいたい5分…、長くても10分くらいだろうか。それくらいたった頃、先導していたジローラが急に立ち止まって、後ろを振り返ってきた。
「ここなんだっ。」
振り返ったジローラが俺にそう伝えてくる。でも、俺らの周囲にはそれらしいものが見当たらない。
だから俺は不思議に思って尋ねた。
「お宝はどこなの?」
俺が聞くと、ジローラはこっちを一度ニヤッと見てから、茂みにへと入っていく。
「こっちなんだっ。」
俺はその言葉についていく。
その茂みの道は何度も人が通ったのか、地面の草木が剥げていて人一人が十分に歩ける余裕があった。俺もその茂みの中へ入っていく。
茂みに入ると、ジローラがうずうずと待ちきれない表情で俺を待っていた。
「これなんだっ。」
茂みの中に落ちている物をジローラが指さす。俺は指さされたものに視線を向ける。
そこにあったのは…
女の人の水着の写真集だった。
見せたかったって写真集かぁ。まぁ、男からしたら宝物か。それにしても君、まだ5歳なのに女の人に興味持つってなかなか早いねー。悪いことではないと思うけど。なんか将来心配だよ。
俺はジローラがニヤニヤとしながら写真集を見ているのを眺める。
5歳のもっさい子供がニヤニヤと写真集を眺める。うん、絵面がすごく嫌だな。なんというか汚い。
「ルートは見ないんかっ?」
お誘いのお言葉をもらった。
まぁ、せっかく来たんだし、せっかくだから…、せっかくだからね、見ていくか。せっかく誘われたんだし。
俺もジローラの隣にしゃがんで、写真集を見る。そこには出るとこが出ている金髪の女の人が良く見るポーズを取っていた。
うん。悪くない。でも確かに、これはミーケには見せられないね。
「ルート、やっぱりお宝だろっ?」
「悪くないね。」
「だろだろっ!」
「ミーケにも見せて。」
俺たちが写真集に集中していると、横から私もという言葉が聞こえてきた。俺たちは声をかけてきた女の子がしゃがむスペースを作る。そして、その女の子も俺らの横にしゃがんだ。
「ルートはどれがいいの?」
「そうだねぇ、僕は…」
そう言って、俺はページをめくっていく。
どれかなぁ、うーん…。この子はいいけど、微妙に好みからずれてるんだよなぁ。髪の色がもう少し明るい、そうミーケの髪くらいの…、ミーケ…
俺はページをめくるのを止めて、さっき俺の隣に座った女の子の方へ顔をゆっくりと向ける。何も意識していないのに、ギギギと自分の首から音が聞こえてきた。
俺が隣を振り向くと、ミーケが俺の方をすごくきれいな笑顔で見ていた。まるでお人形のように作られているかのような、ほんとにきれいな笑顔だった。ただ、瞳に光が宿っていない。
「ルート、どうしたの?早く教えてよ。」
そんな笑顔のミーケが優しい言葉で俺の好みを尋ねてきた。ただ、俺には恐ろしい言葉にしか聞こえなかったけど…。
ははは、何言えば許してくれるかな。
俺が言葉を探していると、ミーケが右手で俺の左頬に手を当ててくる。
この手は何かな? 脈でも量られてる? ははは、すごく怖いんだけど。それにさっきから身体の震えが止まらないんだけど。なんでかな…、なんでかな、ほんとに。
「ルート、早く教えてよー?」
彼女がずっとおんなじ笑みのまま催促してくる。
この状態で何を言えって言うんだよ。
俺は動かない頭をめいいっぱい動かす。そして…
「ミーケ様です…。」
俺は震える身体からなんとか声を絞り出す。震えながらもなんとか声になった。
俺の答えを聞いたミーケは目を薄くして、俺を見つめてくる。まるで何かを見定めて…、どう鉄槌を落とそうか考えているように見える。というか、そうとしか見えない。
そしてようやく彼女の口が開く。彼女の動きがすごくゆっくりに感じれた。
「ふーん。」
そんな言葉が彼女の口から出てきた。
それはどっちなんですかね。許してくれるのか、許さないのか。分からない分、逆に怖いんですけど。ねぇ!
俺はミーケを恐怖しながらも見つめる。
そしたら急にほっぺに痛みが走った。ミーケがぐいぐいとほっぺをつねってるようだ。どうやら許してくれないらしい。
「ルート、帰ろうか。」
俺が痛みに耐えてると、ミーケ様からそんな言葉をいただいた。
「はい…。」
こうして俺たちは家へと帰った。
ジローラと別れるとき、あいつは写真集をニヤニヤと眺めていた。
すごく羨ましかった。




